育休復帰前に突然会社から連絡があり、「単身赴任を伴う転勤が決まった」「異動を受諾しないなら辞めてもらう」など、無理難題な配置転換を言い渡されることがあります。
また、育休明けを境に急に上司からパワハラを受けたり、「育児と仕事の両立が大変そうだから、家庭に入ったらどうだ」「会社をクビになるより自分で辞め方がいいだろう」などと、暴言をはかれたりするケースもあります。
これらは「退職勧奨」と呼ばれ、会社はさまざまな手口を使って、育休明けのワーママを辞めさせようとするのです。 このような育休明けの退職勧奨を受けてしまったら、いったいどうしたらよいのでしょうか。
もくじ
育休明けの退職勧奨は、法律で違法だと定められています。
会社から退職勧奨を受けたとしても、社員がそれに従わなくてはいけないということは、絶対にありません。たとえ会社側がどんな手口を使ってきても、退職勧奨を拒否するのは社員の自由だからです。
育休明けの社員に対して、会社が退職を強要することは、男女雇用機会均等法と育児介護休業法によって違法とされています。ところが、この法律を守らずに子育て中の女性社員を辞めさせようとする会社が、実は結構あるのです。
退職勧奨をする会社の中には、業務悪化などを理由に、「うちも業績が悪くて大変なんだよなぁ」というような泣き落としで、社員を辞めさせようとするケースも少なくありません。
子育て中の女性社員を辞めさせようとする会社は、あの手この手を使って、社員が泣き寝入りするのを待っているのです。
もし会社を辞めたくないなら、そうした退職勧奨には絶対に同意しないことです。たとえ会社からどんな嫌がらせを受けても、それに従う必要はありません。
育休明けは久しぶりの出社ということもあり、他の社員との気持ちのつながりも薄く、孤立感からどうしても弱気になってしまいがちです。そのため、会社から退職同意書を渡されると、思わずサインしてしまいそうになる気持ち、とてもよくわかります。
でも、退職同意書にサインしてしまうと、もう退職するしか道はなくなってしまいます。会社を辞めたくなかったら、絶対に同意書にはサインをしないことです。
育休明けの退職勧奨を止めさせるには、いったいどうすればよいのでしょうか。
もっとも理想的なのは、会社側と温和に話し合ってみることです。それで両方が合意できる妥協点が見つかれば、それに越したことはありません。会社に労働組合があれば、組合を通して話し合いの場をもつ方法もあります。
ただし、退職勧奨のような手口を使ってくる会社が、そうやすやすと話し合いに応じることは、考えにくいかもしれません。
もし「会社と話し合いで解決することは無理」とはっきり思うのなら、労働局の「雇用均等室」に相談する方法もあります。
各都道府県にある雇用均等室では、妊娠・出産・育児休業などの理由で不利益を被った人の相談に応じており、現状を相談することによって事業主に行政指導を行うなど、紛争解決の援助をしてもらえます。
ただし、労働局に相談することで、会社側とは事実上の紛争状態に入ってしまいます。
労働局の雇用均等室でも解決できなかった場合は、最後の手段として弁護士に相談するという選択肢もあります。
弁護士に相談すると、調停や裁判といった手段に進むことになります。でも調停や裁判は長期にわたることも多く、多額のお金と気力・体力を使うので、その点は覚悟の上で臨まなければなりません。
労働局や弁護士に相談することによって、法律的には会社を辞めずに済む可能性が高いのですが、残念ながらそのことで完全に社内で孤立してしまう場合もあります。
上司や同僚から冷たい視線を浴びせられたり、ランチタイムになっても誰も話し相手がいなかったりと、つらい思いをすることになるかもしれません。
労働局や弁護士に相談する場合は、「どんな思いをしてもいいから、絶対に会社を辞めたくない!」という強い気持ちがあるときのみ、実行した方が良いでしょう。
「いろいろ悩んで、やっぱり会社を辞めることにしようと思う」と決めた場合は、退職後に失業給付をもらいながら転職活動を行うことになります。
会社都合で退職をすると、1週間の待機期間を経てすぐに失業手当を受給できますが、自己都合で辞めると、失業手当をもらえるのはその3ヶ月後です。
「今回はまさに会社都合で退職させられるのだから、当然会社都合で辞められるだろう」と思うかもしれませんが、実際はそうではない場合が少なくありません。
会社都合の離職があった会社は、一定期間雇用関係の助成金がもらえなくなるなどの事情があって、会社側は何とか社員に自己都合で辞めてもらおうとするのです。
会社都合で退職したいなら、その意思をはっきりと会社に伝えて、話し合う必要があります。次の転職先が決まっている場合は、退職金を多めにもらって自己都合で辞めた方が得策という考え方もあります。
会社側も、多少お金を多く払ってでも辞めてもらいたいと考えている場合は、交渉に応じてくれる可能性も高いでしょう。
育休復帰に向けて環境も気持ちも前向きに準備していたにもかかわらず、思いがけない退職勧奨を受けてしまうと、本当にショックでやり切れない気持ちになりますよね。
でも、たとえ退職勧奨を受けても、辞めるか辞めないかを決めるのは会社ではなく、あなた自身です。育児中の女性は複数の法律で社員としての立場を守られているので、けっして焦ることなく、落ち着いて身の振り方を考えましょう。
ワーママ専門の転職エージェント「リアルミーキャリア」では、入社すぐから時短勤務可能な正社員の求人をご紹介しています。育休復帰後の配置転換や職場の雰囲気に悩むママからの相談も多数寄せられています。お気軽にご相談ください。
有給休暇の日数や残業の有無・時短勤務可能な子供の年齢、リモート勤務の可否など、細かい条件をあなたに代わって企業に確認します。子育てに理解のある会社で家庭も仕事も充実させませんか。