出産後に責任のある仕事を任せてもらえなかったり、配置転換を強いられたりして、昇進・昇格コースから外れてしまうマミートラック。
仕事と育児の両立はできるものの、仕事にやりがいや成長を見出せず「このままずっと塩漬けにされてしまうの?」と悩むワーママは少なくありません。マミートラックでモチベーションが下がり、苦渋の決断として退職の道を選ぶワーママもいます。
ここでは、マミートラックが原因で転職・退職をした3人のワーママの体験談をご紹介します。
もくじ
「塩漬け」もともとの意味は、食品を長期間保存するために文字通り塩に漬けておくことを言います。この長期間保存することになぞらえて、会社から長いこと放っておかれるという意味で「マミートラックに塩漬け」と表現されることがあります。
会社に悪気がないのはわかっているものの、子供がいるというだけで責任ややりがいのある仕事を任せてもらえず、その結果スキルアップや成長に繋がらず、昇進昇給からも取り残される…。一度マミートラック状態になると悪循環が生まれてしまい、なかなか抜け出せずに悩んでいるワーママはとても多いのです。
仕事のモチベーションが下がり、子供との時間を割いてまでこの仕事を続ける意味があるのだろうか?と転職や退職を決意するママもいます。
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(Kさん 30代前半 子供2人 大手航空運輸業の事務職)
2回の産休育休を経て、育児と仕事を両立させてきたKさん。フルタイムで頑張ってきたものの、残業や出張に対応できないことで評価されず、昇進からも遠ざかりマミートラックにはまってしまいました。
会社に相談しながらなんとか6年間頑張ってみたものの、最終的にマミートラックを抜け出せず退職を決断。そんなKさんの体験談をご紹介します。
第2子出産後、3歳の娘と1歳の娘を保育園に預け、フルタイムで仕事復帰しました。忙しい部署だったので、毎日の残業や1週間の海外出張は普通。出張は免除してもらっていましたが、仕事が終わらず土日に仕事をすることも多々ありました。
乳幼児2人を育児しながらのフルタイム勤務は過酷で、子供や自分の体調管理がおろそかに。子供だけではなく自分も体調を崩すことが多かったです。仕事があり残業をしたくても早く帰って子供を寝かさなければならない、出張に対応したくても子供がいるから家をあけられない、というモヤモヤした気持ちを抱えながら仕事をしていました。
時には持ち帰り残業をして頑張っていましたが、残業や出張ができないことで、ほかの同僚と比べると低い評価になっていました。後からチームに異動してきた後輩が先に昇進したり、ボーナスを減らされたり、頑張っているのに評価から遠ざかってしまいマミートラックを感じました。
そんな状態が2年ほど続き、心身ともに限界だったので直属の上司に相談することに。しかし、子供がいながら働く人はほかにもいるので、私だけ特別扱いすることはできないと言われ、とくに対応はしてもらえませんでした。
これからも仕事を頑張りたい前向きな気持ちで相談したのに、上司に相談した意味はなく、よけいにつらい思いをしただけでした。結局子供がいることで、私のことをあきらめたのだと感じました。
そのあとも2年ほど頑張ってみたものの、上の子が小学生になりさらに負担が増えたことが後押しとなり、最終的に退職しました。転職も考えましたが、当時は毎日を過ごすことだけでいっぱいいっぱいだったので、転職活動をする気力もありませんでした。
私が働いていた職場は大手で、女性が多く所属している会社でした。表向きには女性活躍を推進しますといいながら、結局は家庭を犠牲にして激務をこなせる人たちが昇格しているようにしかみえませんでした。私がいた会社にはそのような人が上の立場に立っていたため、社内のワーママは家庭との両立に悩んで退職していく人が多かったです。
家庭をかえりみず激務に対応できる人だけがキャリアアップし、子供がいて残業や出張に対応できない女性はマミートラックにはまってしまう。女性活躍とはいったいなんなのか、かなり疑問を持っています。
(Oさん 30代前半 子供1人 法人営業)
育休復帰後に責任ある仕事からどんどん外され、会社にいづらい雰囲気になってしまったというOさん。次第にモチベーションと自己肯定感が下がり、マミートラックで気持ちが落ち込む日々を過ごしました。
現在は無事に転職を果たし、新しい職場で活躍しているとのこと。マミートラックで退職に至るまでに、いったいどのようなことがあったのでしょうか。
以前は重要な取引先企業の訪問営業を任されていたのに、育休復帰後は規模の小さい非注力の取引先しか担当させてもらえなくなりました。当然私はそのような事は望んでいなかったので、もう会社に期待されていないような気がしてかなりショックでした。
確かに出産前より時間に制限はありますし、働きにくくはなったと思います。しかし、だからといって重要な仕事から外されたのは予想外でした。
自分が最初の産休育休取得者だったため、社内でワーママは自分だけでした。なんとなく皆に仕事がやりづらいと思われているように感じ、遠回しに私を厄介者扱いしている雰囲気が伝わってきてつらかったです。
今まで呼ばれていた会議に呼ばれなかったり後輩に仕事を引き継がせたり、重要な仕事から私を外して、別の人間でやっていこうとしているのがはっきりわかりました。こんなことが今の時代もあるのかと驚いたものです。
何か直接嫌がらせをされたわけではないし、明らかな嫌味を言われたわけでもない。ただただ、マミートラックの真綿で首をしめられる感じがつらく、会社にいづらくて苦しい日々でした。自分でも今の状況について会社に聞けず、ずっとモヤモヤしていました。
マミートラックで悩みに悩み、まずは社長に相談しました。(小さな規模の会社なので、直属の上司が社長にあたります。)
しかし、同僚たちが私に対して不満があるということを言われただけで、相談した意味がありませんでした。嫌なら辞めてくれてもいいと言わんばかりの対応をされて、もう自分はこの会社に必要ないのかとショックで落ち込みました。
この会社でマミートラックに悩む時間がもったいないと思い、前向きに転職を決意したことですぐに気持ちを切り替えることができました。
転職先の会社ではママだからといって配慮されたり仕事を外されたりすることがなく、大変だけど責任ある仕事を任せてもらい、毎日がとても充実しています。ワーママに対する扱いが会社によってこんなに違うものかとびっくりしました。
(Hさん 30代後半 子供1人 営業事務)
営業事務でマネージャー職として働いていたHさんは、育休復帰後に会社からパート扱いになることを言い渡されます。降格・減給・仕事外しといったマミートラックに苦しみ、最終的にキャリアアップにつながる転職に成功しました。
Hさんが転職を決意したマミートラックの体験談をご紹介します。
出産前はマネージャー職に就いてバリバリ仕事をしていた私。育休復帰後も当然同じ仕事を続けることができると思っていましたが、実際は違いました。私はマネージャー職から外され、給与も仕事内容もパートタイムの方と同じにさせられたのです。
復帰前の面接で、子供の保育園の送り迎えのため時短勤務を希望すること、残業はできないことを申し出ました。その際会社からは、残念ながら復帰前のポジションには戻せないので、給料もパートさんと同等にすると告げられました。
復帰しても以前のように責任のある仕事をしてバリバリ働きたい、この先も長く仕事を続けていきたいということを伝えましたが、聞く耳など持ってはくれませんでした。
育休復帰後は、電話対応や資料作成といった簡単な事務作業しか任されませんでした。出産前は仕事の第一線に立ってマネージャーをしていたのに、こんなにも扱いが変わるのかと愕然としたものです。正直、会社にいてもいなくてもいいような扱いをされることは、虚しくて悲しい気持ちでした。
もちろん上司には面談など要所要所で、自分のできることは時間に制約があったとしてもやる自信はあるし、任せて欲しいと伝えました。私自身、子供の誕生を境により良い仕事ができると思っていましたし、新しいことにも挑戦したかったです。
ただ、限られた時間ではどうしようもないというのが会社の意見であり、私の希望は聞いてはもらえませんでした。
出産して仕事に復帰した結果が、降格・減給・仕事外し。法律では妊娠出産で不利益な扱いをすることは禁止されているものの、実際は会社の社風に任されている状態だと思います。
本当に働く母はこんな扱いを受けるしかないのかと疑問に思い、より活躍できるフィールドを探すために転職活動をすることにしました。
転職活動をするなかで、多くの企業が多様な働き方を取り入れていることを知りました。当たり前のようにワーママが活躍している会社も多く、働き方の多様性から生まれる可能性を感じました。
結果、キャリアアップを叶えられる会社に縁があり、再び管理職を目指して仕事に前向きに励む毎日です。マミートラックにはまっていた会社に見切りをつけ、私は転職活動をしてよかったと思っています。
マミートラックなんて本当ナンセンスです。男とか女とか独身とか子供がいるとか関係ありません。やれる人はやれます。やれる人、やりたい人にチャンスを与える。そんな世の中であって欲しいと願う毎日です。
マミートラックに長期間はまると、誰に何か言われたわけではなくても、自己評価が下がってジワジワと自分を追い詰めてしまうことがあるかもしれません。もう会社に必要とされていないのかも、会社に居場所がない、とネガティブな気持ちになってしまう人もいることでしょう。
マミートラックは決してあなたの能力が低いせいではないし、努力が足りないせいではありません。一時的な会社の評価に、どうか自己肯定感を下げないでください。会社に相談しても状況が変わらないことが目に見えているのであれば、退職や転職を検討することは悪いことではありません。
マミートラックを理由に転職を検討する場合は、仕事内容以外にも、活躍しているママ社員がいるか、育児に理解のある社風かといった点が非常に重要になります。面接では質問しづらい社風や育児に関する制度の質問は、転職エージェントを通して確認すると確実ですよ。
ワーママ専門の転職エージェント「リアルミーキャリア」では、入社すぐから時短勤務可能な正社員の求人をご紹介しています。マミートラックに悩むママからの相談も多数寄せられています。お気軽にご相談ください。
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