出産を機に退職された方からよく聞くのは、「子供が3歳になったら復職するつもりだった。しかし、いざ出産してみたら子供のことで頭がいっぱいで、働く意欲が下がってしまった…」という声です。
今回ご紹介するYさんも、出産後の復職にしばらく足踏みしていた期間がありました。しかし子供が成長するにつれ、家庭にずっといることに違和感が出てきて、自然にまた仕事がしたいと思ったそう。
今回は、出産退職からブランク4年を経て、短時間正社員として見事復職をとげたYさんの就職活動の実例と成功のポイントをご紹介します。
もくじ
Yさん(30代・子供1人)夫(自営業・不規則勤務)と3歳になる長男の3人暮らし。Yさんは、出産を機にBtoB Saasシステムのカスタマーサポート職を退職。4年の専業主婦期間を経て、長男が3歳になる直前にスタートアップ企業のバックオフィス職へ時短正社員として再就職。
子供や家族との時間を大切にしたいと思い、出産を機に退職しました。しかし、息子が2歳を過ぎて赤ちゃんのときほど手がかからなくなり、「働くことで社会とかかわりたい」「家庭以外でやりがいを感じられることに出会いたい」という思いがふくらんできました。
週5日、6時間程度の短時間正社員として復職することを目標に、就職活動をすることにしました。
ただ、再就職を決意したものの、社会復帰が不安で仕方なかったです。ブランクがある状態で業務がちゃんとできるのか、そもそも子供は保育園に入園できるのかなど不安は尽きず、「ママになった私」が働くイメージがつきませんでした。
就職活動をするにも、子供の預け先がないことには面接にも行けません。預け先がない状態だと企業も採用してくれないだろうと思い、まずは4月入園枠で保育園を探すことに。
2歳児クラスでの入園は空き枠が出ないことには入園できないため、認可保育園2つと小規模保育園を1つ申し込みましたが、初回はすべて落選。
たまたま、一度落選した小規模保育園の募集人数が増員されることになり、二次募集で滑り込むことができました。これは本当にラッキーでしたね。
4月からの預け先が確保できたため、その時期に合わせて復職のための活動をしました。子供の預け先が確保できたことで、就職活動もスムーズでしたね。
ただ、預けられたのは小規模保育園なので、2歳児までしか預かってもらえないんです。やっと復職できましたが、すでに来年のための保活を再開しています。
とはいえ、預けられなければ今の職場で働くこともできていないので、入園できてとてもありがたいです。また、次回の入園申し込み時には加点をつけてもらえるので、おそらく希望に近い保育園に入れるかな、と期待しています。
最近では幼稚園でも預かり保育の時間が充実している園も増えているようなので、あわせて検討することで、仕事を継続することはできると思っています。
子供が小さいうちは働く時間が調整しやすいパートで働こうかな、と漠然と思っていました。
しかし、友人から時短の正社員で家庭と両立している話を聞き、短時間正社員なら家庭を大事にしながら正社員として働ける」ことを知りました。
この先、子供の成長と家庭環境の変化に見通しが持てないからこそ、「安定した職があった方がいい」という経済的観点は重要でした。
また、子供が大きくなって完全に手を離れた時を想像し「フルタイム、時短、パートなどの選択の余地が残せる方が良いだろう」と、自分自身の将来的なキャリアをイメージしながら短時間正社員での勤務を希望しました。
ブランクあり・子持ち・30代という自分のステータスに不安を感じたため、女性に特化したエージェントや、時短正社員の転職を扱っているエージェントに相談しました。
復職したての頃は、それこそタイピングの速度もかなり落ちていて、ブランクを実感しました。ただ、いざ軌道にのってしまえば、すぐに感覚を取り戻せましたよ。
職種を変えたこともあり未経験の業務もありますが、その都度調べたり、職場の方々に確認することで円滑に進められています。
もともと私は、すべての準備をきれいに整えてから慎重に進めたいタイプ。時短勤務の限られた時間で新しい業務となると、そうも言っていられません。とにかく動いてみてから考える、考えながら動く、ということを日々心がけています。
時短勤務で限られた時間だからこそ、ある程度割り切って、必要な部分に集中して効率良く業務を進められている、という側面はあると思います。
時短勤務のメリットは、やはり育児・家事に必要な時間をあてられることですね。
夫は不規則な勤務のため、私が家事・育児をするウェイトが大きくなりがちですが、今のところは気持ちにも時間にも余裕をもって、家事・育児を回すことができています。
今後も仕事を続けながら、家族との時間に重きを置いていくつもりです。子供の成長や家庭の変化とともに、自分の働き方を追求していきたいですね。
Yさんの就職の希望条件
Yさんは職種を変えての再就職でしたが、前職でのベーススキルをいかしつつ、現職で必要なスキルを獲得しながら業務を遂行していこうという意思が明確でした。
一般的に、ブランクありの就職は転職よりもハードルが高いのは間違いありません。ただ、Yさんの場合は、前職の経験が汎用性のあるものだったこと、そして前職での仕事のクオリティが大変高いことが、復職のチャンスを得られた大きな要素となっています。
「自信がないから、もう少し独学で勉強してから就職活動しよう」と考える方もいるかもしれませんが、 独学で学んだことが即戦力になるとは限りませんし、年齢を重ねるほど動き出しにくくなります。
Yさんのようにある程度前職での基礎的スキルがある方は、「就業後に実践経験を積む」という決心の上、チャンスやタイミングを逃さないのが重要です。
再就職活動を開始するにあたり、子供の預け先を確保することは最優先です。
企業の採用選考過程において、いくらスキル的にフィットしていても、保育園が確保できていなければ就業開始できる保証がないため、内定はほぼ出ないといっても過言ではありません。
通常の認可保育園だけに固執するのではなく、認証・認可外保育園、小規模園や保育ママといった地域型保育事業、ベビーシッターの定期利用など、さまざまな選択肢を想定しておくことで、子供を預けられる可能性が広がりますよ。
ブランクがあることで躊躇し、一歩を踏み出せずにいるのはもったいないことです。
今回ご紹介したYさんは、前職での経験に自信を持ち、必要なスキルは現場で習得するという明確な意思のもと、まず動き出すことで復職する道を見つけることができました。
ブランクや勤務時間の制約、預け先の確保など、躊躇する要素はたくさんあることでしょう。
自分のスキルや経験に対する自信や、復職したいという強い意思があるのであれば、再就職への一歩を踏み出してみることをおすすめします。
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