子供が小学校に入学すると育児が一段落し、仕事に注力しやすくなると思われがち。
しかし、小学校では保育園時代とはまた違った負担が生じ、むしろ仕事がしづらくなるケースが多いようです。いわゆる「小1の壁」の話をまわりから聞いて、戦々恐々とされているご家庭も多いのではないでしょうか。
今回は、共働きフルタイム、まわりに頼れる大人のいない状態で小1の壁に向き合ったワーママの体験談をご紹介します。
もくじ
子供が小学生になって大きな制約となるのが、子供の預かり時間。保育園の預かり時間は朝7時半~18時半、延長保育が可能といった、親の仕事に最大限配慮した設定となっていました。
しかし、小学校は4~5時間の授業で14時過ぎには下校。その後の預かりを担う学童保育は、公立の場合17時や18時に終了する施設がほとんどです。
預かり時間の制限だけでなく、職場の時短勤務制度が小学校入学までというケースも少なくありません。
小学生になったとはいえ、まだ一人で帰宅させたり、家で一人で待たせたりするのは抵抗がある方も多いことでしょう。
また、環境変化による子供のストレスも親を悩ませる要素のひとつです。保育士さんが手厚くサポートしてくれるなかで毎日のびのびと遊んでいた保育園とは違い、小学校では座って勉強する時間がほとんど。
子供に対する先生の数も圧倒的に少なく、知らないお友達とゼロから人間関係を築き、毎日家では宿題もこなし…と、子供を取り巻く環境が大きく変化します。
小学校入学にともなう環境の変化が子供にとって大きなストレスとなり、ケアに追われて親までうろたえてしまうことも多いようです。
Tさん(30代・子供2人)
Tさんはフルタイムの営業事務、夫は設計職で連日残業あり。小1になり学童に通う長女と、保育園年少の長男の4人暮らし。
両親の実家は遠方で、自宅周囲で頼れる大人はいない環境。
小1の壁が大変だという情報は知っていたのですが、 小学校に入学する前は何が問題なのか具体的にわかっていませんでした。
ネットで情報収集しても、「小1の子供をサポートするために、仕事を退職する母親の割合が約30%いる」「子供のケアと行事でいっぱいいっぱい」などという、不安をかき立てられる情報だけが目立っていたように思います。 ただ漠然とした不安を感じていました。
そんな漠然とした不安のなか「実家など頼れる人がまわりにいない状況で、子供のために仕事をセーブするべきか」という考えが一瞬頭をよぎったことも。
ただ、保育園時代からフルタイムで何とかやってきた自信はありましたし、ここまで踏ん張ってきたのにここで辞めるわけにはいかないという意地もあり、「とりあえずやってみよう!」とそのままフルタイム勤務を続ける決断をしました。
フルタイムを継続する決断をしたからこそ、できる限り子供にストレスのないスタートを切れる準備をしようと考えました。
一番気になっていたのは、通園していた保育園が学区外だったため、保育園の友達の中で同じ小学校に通う子がいないということ。
そこで、同じ小学校に通学する子と事前にお友達になれるようにと、入学前の休日に小学校の近くの公園に行き、友達作りを試みたんです。
ただ、そんなにうまくはいかないですよね。娘が「一緒に遊ぼう」と声を掛けたら、相手に「いやだー!」と走って逃げられてしまいました…。
勇気を振り絞って行動を起こした娘は、深く傷ついていましたね。結局、友達がいない状況で小学校入学を迎えました。
事前準備に失敗したこともあり、ただ漠然と色々なことを心配していましたが…。今思うと「どうってことなかった」ですね。
顔見知りがいない状態での小学校デビューでしたが、登校中に出会った上の学年のお姉ちゃんがお世話してくれたことで安心できました。自分からクラスメイトに話しかけて仲良くなり、娘も自信がついたようです。親の心配をよそに、子供なりに上手くやってるみたいです。
学校生活に慣れてくるとさまざまな問題は出てきましたが、その都度対応してきました。
たとえば、私が家に帰ると、奥の部屋で娘が一人しくしく泣いている日がありました。そんな時は「泣いていてもわからないから説明して」と伝え、何がつらいのか自分で説明させるようにしていました。
何度かとういうことがあり、その都度説明させるようにしていたら、だんだん自分から相談してくるようになってきましたよ。
内容としては「お友達にこんなこと言われたから、もう学校・学童へ行きたくない!」といった友達関係の悩みが主でした。
まずは私は介入せず「明日、その子にこんな風に言ってみたら?」といったロールプレイングを繰り返していくうちに、自分で解決できるようになってきたようです。
いざという時は私から学校や学童の先生に相談するという切り札を残していますが、今のところは必要なさそうです。
入学から半年経った現在では特に苦労は感じていませんが、入学して生活スタイルが落ち着くまでは苦労しました。
子供の生活リズムが変わることで、親の生活リズムが狂いました。
今思えば当たり前の話ですが、保育園時代は親の働く時間に合わせて子供を動かせましたが、小学校に入ると子供は小学校の時間に合わせて行動します。この小学校の時間と私の仕事の時間が合わなかったのです。
朝は両親ともに7時半に家を出ないと間に合わないのですが、子供が家を出るのは7時45分。夕方は私の帰宅時間が最速で18時半ですが、通っている学童は18時で閉館します。
そのため、どうしても朝と夕方にそれぞれ30分前後の時間、娘が家に一人でいる時間が生じます。
どうしたものかと悩みましたが、鍵を持たせ、留守番のルールを徹底させれば問題ないと判断。帰りは 同じ方向で途中まで一緒に帰れる子がいたことも安心材料になりました。
どうしてものときはファミサポやベビーシッターなどに依頼しようと思っていましたが、今のところ問題なくやっています。
小学校は、親が参加する行事が保育園時代よりも圧倒的に多いです。まだPTA役員にはなっていないものの、共働き家庭にも容赦なく役割が降りかかってきます。
たとえば、朝の交通安全指導(旗振り)は、3ヶ月に1回程度強制的に回ってきます。子供の登校時間に通学路に立ち安全を呼びかける活動なので、その日は半日休暇を取得せざるを得ません。
PTA役員になった場合、ポジションによっては土日だけでなく、平日の日中にも会議や準備があるようです。
学期に1回ある保護者会と授業参観には、小1の親はほぼ全員出席しているのが現状です。ほかにも家庭訪問や土曜授業の代休で月曜が休みのときの対応など、学校行事の大変さは保育園の比ではありません。
なるべく私か夫どちらかが出席するようにしていますが、有給休暇が足りなくなってしまうので、割り切って欠席することもあります。その場合は、事前に子供に話して納得させています。
幸運にも娘のクラスはとても落ち着いていて、大きな問題はあまりありません。しかし隣のクラスは小1にして学級崩壊を起こしてしまい、担任の先生は精神を病んで学校を休みがちになっています。
所属するクラスは選べないので、こればっかりは仕方ないですね… 。これからの長い小学校生活でこういうこともあり得るな、という心構えは常にしています。
親ができることとしては、子供がまわりの環境に左右されないよう、自分の芯のある心を作る手伝いをすることでしょうか。
あとは、子供は毎日頑張っているので、家庭ではなるべく発散させてあげたいですね。なかなか平日に家族の時間を持つことができないので、家族共通の趣味を作り、休日に家族時間を楽しめるように心がけています。
我が家は子供を体操教室に通わせているのですが、私達夫婦は体操教室に併設されているトランポリンでダイエット。 体を動かすことで親子ともに良いストレス発散になっています。また、親の趣味であるスキーやゴルフに子供を親しませ、それを目的とした旅行も計画しています。
子供が反抗期に入ると「親と旅行なんか行かない」となるらしいのですが、共通の趣味があるとそれが回避できるのではないかと思っています。
保育園時代の延長では対応しきれなくなる小1の壁。ただ、共働き家庭だからといって、必要以上に悲観的にとらえる必要はありません。
子供の心の安定と身の安全を第一に考えながら、課題に一つひとつ正しく対処することで乗り越えられるものです。
家族の誰かのライフスタイルの変化に合わせて生活スタイルを変えるのは、子供の小学校入学に限ったことではありません。
Tさんのように課題に対して前向きに取り組むことで、また新たな家族の関係が生まれるきっかけになりそうですね。
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