育児をしながらの共働き生活では、多くの「壁」が立ちはだかります。仕事と育児を両立しながらなんとか「小1の壁」を乗り越えたワーママの前に再び立ちはだかる 「小4の壁」。「10歳の壁」とも呼ばれています。
子供が成長するにつれて、「小1の壁」とはまた違った難しさが出てくる「小4の壁」。
ここでは、共働き家庭を悩ませる「小4の壁」の正体と、夏休みや学童に関する変化や「小4の壁」の乗り越え方。実際に「小4の壁」に直面したワーママの体験談をご紹介します。
もくじ
「小4の壁」は「10歳の壁」ともいわれます。学童が利用できなくなる家庭が出てきて、放課後や長期休暇中の子供の居場所の確保が問題になります。
また、より難易度が高くなる学習面のサポートや、そろそろ反抗期を迎えつつある子供の精神的なサポートに親が関わる必要が出てきます。子供のケアにより多くの時間を割かなければいけないため、仕事の両立が難しくなり、働き方を変えたり仕事を辞める選択をするママもいます。
「小4の壁」は「小1の壁」と同じく、共働き家庭の親が直面する大きな壁のひとつなのです。
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小学生になると、放課後は学童保育を利用している共働き家庭が多いのではないでしょうか。学童はこれまで小学校3年生までの受け入れでしたが、2015年から6年生までの利用ができるようになりました。
しかし、学童にも待機児童が大勢いるのが現状。地域によっては低学年優先で退所を促されたり、子供自身が成長するにつれて学童での放課後の過ごし方が合わなくなったりして、行きたがらなくなるケースも増えてきます。学童を卒業した後、子供がどこでどのように放課後を過ごすのかが問題になるのです。
参考文献:放課後児童クラブ関係資料
学童に行かなくなると、夏休みなどの長期休暇をどのように過ごすのかは大きな問題になります。平日で学校があれば、放課後の数時間ですが、休み期間中はパパやママが仕事に行っている間の丸一日をひとりで過ごすことに。
小学4年生にもなればひとりで出歩けるため、親の留守中にどこでどのように過ごしているのか把握するのも難しく、心配事が増えてしまうのです。
小学4年生にもなると、そろそろ反抗期という子供も出てきます。パパやママに口答えしたり、言いつけを守らなかったりと反抗的な態度をとることも増えるかもしれません。
また、この時期は親と過ごすより友達と過ごすのが楽しくなってくる「ギャングエイジ」と呼ばれる時期でもあります。これまでママやパパにべったりだった子供も隠しごとをしたり、友達と遊ぶことが多くなったりと親の目を離れることが増え親も不安を感じることも多くなります。
子供同士のトラブル、いじめなどの問題も増えてくる時期でもあるので、子供の様子に注意を払い、精神面をサポートする必要があります。
小学4年生になるとこれまでより勉強が難しくなり、勉強ができる子・できない子といった学習面での差が出てきます。
そのため、宿題や家庭学習をしっかりさせるなど親のサポートがますます必要に。ただでさえ時間がない共働き家庭にとって、学習面のサポートは大きな負担になってしまいます。
>>関連記事:【小4の壁】勉強問題が顕在化!共働き家庭でできる対策は?
中学受験をするのであれば、小学4年生から本格的な塾通いがスタートします。塾に通う日数も増え、帰宅が遅くなるため夕食用の弁当が必要になったり、塾への送迎をしたりと塾通いにも親のサポートは不可欠。なかには子供の中学受験のために仕事を辞めるワーママもいるほどです。
>>関連記事:中学受験で母親は仕事を辞めるべき?仕事と両立するには?ワーママの体験談を紹介
小4の壁には放課後の過ごし方、子供の精神面、学習面の課題があります。これらの課題の解決策にはどのような方法があるのでしょうか。
塾や習い事に通わせれば、放課後の居場所を確保することができます。本人が楽しみながらできたり、夢中になれたりする習い事を見つけられれば子供にとっても有意義ですし、精神的にも成長することができます。
また中学受験を予定していなくても、苦手科目の克服に塾に通わせる、家庭教師をお願いするのもひとつの手。居場所の確保だけでなく、学習面でのサポートにもなります。
ひとりきりで過ごすとなると、子供を狙った犯罪などのトラブルに巻き込まれるのではと不安に思うパパやママも多いことでしょう。
地域の目がある公共サービスを利用するのも居場所確保のひとつの方法です。利用者が多く大人の目が届く公園、または児童館、図書館を利用しましょう。児童館、図書館は天気が悪い日でも行くことができ、いつでも職員などの大人の目もあるので安心して過ごすことができます。
学童を卒業してしまうと塾通いや習い事をしてもひとりで留守番をせざるをえないことが増えてきます。
合鍵の扱いや戸締り、火を使わないなどの防犯・安全面はもちろん、ずっとテレビや漫画を見続けたり、おやつを食べ過ぎたりして生活や学習習慣が乱れないよう、親子で留守番をする時のルールを決めておく必要があります。
学校が終わってからパパ・ママが帰宅するまでの時間割を決めたり、やることのリストをつくったりするのがおすすめです。
夏休みの長期休暇の際には、子供だけで楽しめる宿泊イベントを計画してみてはどうでしょうか。祖父母宅に子供だけで帰省させたり、友達と一緒に習い事の合宿やキャンプなどに参加したりする子もいます。
パパ、ママは留守番の心配をする必要がなくなりますし、子供も楽しい思い出をつくることができますね。
体はすっかり大きくなって生意気なことを言うようになっても、小学4年生はまだ子供。まだまだ親に甘えたい年ごろでもあります。
いつもと様子が違うなと思ったら声を掛けたり、じっくり話を聞いてあげたりすることも必要です。抱っこを求めることがあったら、甘えさせてあげることも大事です。
実際に「小4の壁」でどのようなことに困ったのか、ワーママの体験談をご紹介します。
小学4年生になってから一番苦労したのが、子供が表立って反抗するようになったことでした。それまでは勉強を嫌がる素振りはあっても、勉強をやりたくないと暴れて反抗して困らせるということはありませんでした。
子供にそのような精神的な変化が出始める時期で、どうしたら良いかかなり悩みました。小学4年生になってひとりでできる事が増えたといっても、精神的にかなり親のサポートが必要になる時期だと思ったため、私は仕事をセーブすることにしました。フルタイムから時短勤務にして、夕方前に帰宅できるようにしたのです。
仕事の調整はかなり大変でしたが、子供としっかり向き合って話すのが大事だと思ったので、親子でしっかり話す機会を設けることができてよかったなと思っています。(鳥取県 30代)
学童が3年生までだったので、4年生になってからの長期の休みがとにかくどうなることかと思っていたのですが…。4年生ともなると、子供は親が思っている以上にしっかりしていることに驚かされました。
お昼ご飯はお弁当を用意しておくと、家でひとりで食べるか、児童館のお弁当スペースで友達と食べるなどしていました。日中も、児童館やお友達の家で遊んでいることが多かったようです。
家の鍵を持ち歩くのでなくさないか心配でしたが、鍵に付けたリール付きのキーホルダーを絶対にバッグから外さないように念を押しました。児童館の係員の方がよく見守ってくださり、子供が遊んでいる様子を教えてくれたので本当に助けられました。(東京都 40代)
小学校4年生になると同時に、時短勤務が使えず仕事がフルタイムになりました。学童は低学年児童がほとんどなので、息子は行きたがらなかったです。
仕方なく家の鍵を渡し、帰宅したら必ず私の携帯に電話すること、家に友達を上げないこと、チャイムが鳴っても出ないこと、遊びに行く前や習い事に行く前は私の携帯に電話、帰宅したらまた電話、と色々約束を作りました。
しかし、親がいないことを知ると勝手に上がり込む友達がいたり、宿題をやっていなかったり、電話を面倒がってかけてこなかったり、せっかくかけてきても私が電話に出られなかったりすることが多かったです。
ある日、子供が放課後遊びに出た先で怪我をして、血をダラダラたらしながら青い顔をして、痛みに耐えながら私の帰りを待っていたことがありました。その姿があまりに可哀想で、もうこの働き方は続けられないと感じました。
職場では理解を得られずひんしゅくも買って精神的にきつかったですが、最終的にフルタイムではなく時短勤務できるよう調整してもらいました。(神奈川県 30代)
小学校4年生になると友達同士の付き合いが複雑になって、私の目の届かない放課後の遊ぶ約束などで制限をかけるのがかわいそうになるときがありました。
また、習い事の送り迎えも頻繁になり、時間のやりくりが大変で家のことが疎かになりました。
学習面はとくに心配はありませんでしたが、しっかりサポートできない後ろめたさが残り、勤務時間を減らすことも考えました。ただ、経済的にも仕事を減らすことはできず、そのまま続けてしまったのが実情です。(大阪府 40代)
学童クラブを卒業しなくてはならなくなり、放課後私が帰ってくるまでの時間がそれまでより長くなることが心配でした。
習い事を多く入れて乗り切っている家庭も多かったのですが、我が家は祖母に応援を頼むことにしました。しかし、祖母のほうも毎日家に子守に来るわけにはいかず、私が夜遅くの外せない会議などが入ったりすると預け先を探すのに右往左往しました。
また、小学4年生から地元の野球チームに加入したのですが、土日の親の出番が非常に多くて大変でした。(30代 東京都)
子供の成長にともなって、小1の壁とはまた違った手強さがある「小4の壁」。子供とじっくり向き合ったり、勉強や学校生活をもっとサポートしたりしたいと働き方を変えるワーママもいます。
派遣やパートなど時間に融通がきく働き方をする方法もありますが、小学校卒業まで時短勤務ができる会社や、フレックス制度やリモート勤務を認めている会社に転職するのもひとつの方法です。
時短正社員を専門にした転職エージェント「リアルミーキャリア」では、ワーママの働き方に理解のある会社をご紹介しています。「小4の壁」でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
保活、3歳の壁、小1の壁、小4の壁とワーママには次々と壁が出てきます。いつになったら楽になるの…とため息をつきたくなりますね。
でも、これまでの壁と同じようにどんなことが問題になるのかを知り、対策を考えておけば乗り越えることは可能です。
幼い頃とは違う難しさもありますが、小学4年にもなれば子供もパパやママの頑張りも理解できるはず。家族はもちろん、子供にも協力してもらって一緒に壁を乗り越えられるとよいですね。