ワーママ転職・時短転職の基礎知識

ワーママが転職を検討する代表的な理由

妊娠・出産を経て無事に復職したとしても、その後ずっと理想的な働き方ができるとは限りません。

思わぬギャップにぶつかって働くモチベーションが下がってしまったり、会社の制度が変わって働きづらくなったりすることもあります。

なかには復職時から両立に不安を抱えていたケースもあるので、ワーママ転職の理由は人それぞれと言えるでしょう。

以下では、ワーママが転職を検討する代表的な理由を解説します。

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マミートラックに入って仕事のやりがいが減ったから

マミートラックとは、育児中の女性が単調で責任のない仕事ばかり任されてしまう状態を指す言葉です。

昇進・昇給が望めず、やりがいやモチベーションも下がってしまい、同じ場所をグルグルと周回しているような苦しさから「マミー(母親)」「トラック(陸上競技等で使われる周回グラウンド)」と呼ばれるようになりました。

マミートラックは必ずしも悪意ある人事配置によって引き起こされるものではなく、職場による配慮や気遣いの結果であることも多いです。

しかし実際に働くワーママ側がモチベーションを失ってしまっているのであれば、働く虚しさにつながってしまうこともあります。

結果、やりがいを求めて転職するワーママも少なくありません。

小1の壁にぶつかったから

小1の壁とは、子どもが小学校1年生を迎えるに当たって生じる「仕事と育児の両立を妨げる壁」のことを言います。

小学生になると、未就学児とは違った課題が出てくるのも事実。

例えば以下のような思わぬ落とし穴があり、仕事の時間を減らさざるを得ないワーママも多いです。

  • 子どもの登校渋りが強く、しばらく付き添い登校が必要になった
  • 時短勤務できる期限がきてフルタイムに戻すしかなくなった
  • 学童保育の空きがなく、放課後の居場所がなくなった
  • 民間学童の利用料が高く、フルタイムにして給与を上げる必要が出てきた
  • 親の出勤より子どもの出発時間の方が遅く、家の施錠に不安が出てきた
  • 宿題チェックや自宅学習のサポートに支障が出た
  • ママ友や子ども同士の交友関係が複雑になってトラブルが発生した
  • PTA学校イベントなど平日の時間が取られるようになった

小学生になると少しずつ子どもは親の手を離れますが、だからこそ不安なことも多いです。

気づかぬうちに友達と大きなトラブルになっていて、平日に担任との面談が複数回必要になるケースも少なくありません。

「学童に入れない」「時短勤務できる期限がきた」「宿題を管理しきれない」「夏休みの長時間保育」など物理的な問題も生じます。

働き方を見直すタイミングでもあるので、無理なく両立できそうか事前にシミュレーションしておきましょう。

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小4の壁にぶつかったから

小1の壁をなんとか乗り越えても、新たに小4の壁にぶつかることがあるので注意しましょう。

小4の壁では、主に以下のようなことが生じます。

  • 学童の定員を超えて退所せざるを得なくなり、放課後の居場所がなくなった
  • 友達付き合いが増えてより密な親子ののコミュニケーションが求められた
  • 反抗期が始まってメンタルサポートの必要性が高くなった
  • 学力が下がって家庭学習の時間を捻出しなくてはいけなくなった
  • 習い事が増えて送迎に時間がかかるようになった
  • 中学受験に対して想像以上の親のサポートが必要になった

小4になるとある程度自分で自分のことをできるようになる一方、親の目が届かないからこその苦労も増えてきます。

一方、中学受験のサポートや交友関係の仲介、スマートフォンやお小遣いの管理など、どうしても親の手が離せない部分もまだまだ多いのが特徴。

「小4になればもう少し楽になると思った」というギャップも生じます。

中学入学準備期間に突入する高学年ならではの悩みに合わせて、働き方を変えるのもひとつの手段です。

子どもと向き合う時間が足りないから

仕事に忙しすぎる毎日を送っていると、どうしても子どもと向き合う時間が短くなります。

保育園や小学校から帰ってきた子どもの話を満足に聞く時間もなく、家事に追われてばかりではふとした瞬間に強い罪悪感を抱くかもしれません。

ノンストップで続く家事に意味を感じられなかったり、遊びたい盛りの子どもを放置しがちになったりすることも罪悪感の原因になります。

また、子どもと向き合う時間が足りないことで、学業成績の低下や友達トラブルに発展するなど、深刻な課題を抱える家庭もあります。

「もっとママらしいことをしてあげたい!」と感じたときに、働き方を見直す人が多いのです。

職場環境がストレスだから

以下のような理由で職場環境がストレスになっているときも、転職を検討するタイミングです。

  • 業務量が多すぎて残業・休日出勤の頻度が多くなっているとき
  • 理想的な仕事内容を任せてもらえないとき
  • 役職があるのがプレッシャーになっているとき
  • 職場の人間関係がストレスになっているとき
  • ハラスメントに悩んでいるとき
  • 客観的な人事評価がされず不満が募っているとき
  • 職場が遠く通勤にかなりの時間がかかっているとき

ワーママの有無を問わず生じるストレスも多いので、該当する理由がないかチェックしておきましょう。

また、ワーママだと「時短勤務は他の人に迷惑がかかるから」「子どもの体調不良で頻繁に休まれるのは困るから」など、子ども由来の指摘をされてしまうこともあります。

育児と両立できるストレスレベルではない!と感じたときに、転職を検討するワーママが多いのです。

ひとり時間を確保できないから

仕事・育児・家事に忙しいワーママは、あまりの忙しさにひとり時間を確保できないことも多いです。

体力的にも精神的にも疲れ果ててしまったときは、働き方を見直すのがおすすめ。

働く時間を短くする、通勤時間を短くする、テレワークやフレックスを使える会社に転職

する…など工夫すれば、自由時間も生まれます。

その他、家事代行など外注サービスを使ったり時間家電を入れたりしながら家事を効率化する方法もあります。

ベビーシッターや協力してくれる祖父母なども頼りながら、自分のリフレッシュ時間も確保していきましょう。

ワーママ転職に関する実情

ワーママとして転職する場合、独身や子どもがいない時代での転職と比べてハードルが高いと感じるかもしれません。

実際にワーママ転職を取り巻く環境は複雑化しており、事前に十分な対策をしておかないと転職活動が長期化してしまいやすいので注意しましょう。

以下では、ワーママ転職に関する実情を解説します。

転職直後から時短勤務できる求人も少ない

転職直後から時短勤務できる求人は少なく、「最初のうちはフルタイムで」と言われてしまうことも多いです。

仕事に慣れるまでのオンボーディング期間中はフルタイムでしっかりコミットしてほしいという会社側の狙いもありますが、そもそも時短勤務制度自体が既存社員向けに作られている企業がほとんどです。

勤続1年以上ないと時短勤務できない就業規則になっていたり、転職直後から時短勤務する前例がなくて教育制度が整っていなかったりすることも多いので注意しましょう。

首都圏近郊でないと条件の良い求人が見つかりづらい

テレワークできる企業やフルフレックスで働ける企業の求人は、どうしても首都圏に集中しています。

働き方改革に積極的なIT企業が首都圏に集中していることが多いので、地方転職でテレワーク(またはフルフレックス)を狙うのは厳しいかもしれません。

もちろん地方でも非常に条件の良い会社はありますが、相当の競争率になるであろうことが予想されます。

また、地方で条件の良い会社には応募が殺到しやすく、あえてハローワークや転職サイトなど多くの人の目に触れる求人媒体を使っていないことも多いです。

転職エージェントの非公開求人になっていることがあるので、チェックしてみましょう。

未経験分野での転職は厳しい

未経験の業種・職種に転職する場合、どうしても提示条件が希望に届かないことが多くなります。

年収や待遇が希望に届かないと転職するメリットが少なくなり、よほどやりたかった仕事でない限り旨味を感じないかもしれません。

また、経験や知識に基づく自己PRができないので実務経験者と比べて不利になりやすく、そもそも内定が出づらくなるのもネックです。

あまり転職活動期間が長くなってしまうと、ワーママの場合体力的にも精神的にも負荷が多くなるので注意しましょう。

未経験転職自体が不可能なわけではありませんが、できる限り自分の経験が活きる分野で挑戦するなど、対策が必要です。

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ワーママが転職するときの注意点

ワーママ転職は、仕事と家庭との両立や保育園の継続利用など、考えることが多いからこそ複雑化しやすいのが特徴です。

まずはミスマッチ転職や後悔を防ぐため、事前に注意点を把握しておきましょう。

以下ではワーママ転職時に特に気を付けておきたい注意点について解説します。

保育園の継続可否に影響することがある

保育園は原則として「保育に欠ける家庭」を支援する福祉施設であり、保護者のうち片方でも仕事をしていないと利用することができません。

転職により一時的に無職になるときは求職要件で保育園を利用できますが、無職期間が長いと保育園を退園するしかなくなってしまうので注意しましょう。

保育園を使えないと子どもの預け先を確保できなくなり、転職や再就職を考えるときの大きなハードルとなってしまいます。

求職要件で保育園を利用できる期間や具体的な手続きの方法は、市区町村により異なります。

まずは利用している保育園や住んでいる市区町村のルールを確認し、退園することなく転職できるようタイミングを図っておきましょう。

転職のタイミングを見極める

転職がキャリアアップを目指すための有効な手段であっても、タイミング次第では後悔する可能性があるので注意しましょう。

例えば、妊活中・保活中・育休中の転職は保育園の継続利用に影響します。

子どもの生活リズムが変わるタイミング、夫が転職するタイミング、親の介護が必要になったタイミング…など、プライベートが忙しくなりやすいときに転職するのも慎重になった方がよいかもしれません。

想像以上に家庭との両立が厳しくなり、せっかく転職しても就業し続けられないことも出てきます。

結果、「あのとき転職しなければよかった」「これだったら前の会社にいた方がよかったかも」と後悔する結末になりかねません。

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転職に焦りすぎない

「ワーママ転職はハードルが高い」というイメージがあるため、つい転職を焦ってしまう人も多いです。

希望する条件とマッチしていなくても、「せっかく内定を出してくれたのなら…」と入社してしまうこともあるでしょう。

しかし、マッチ度合いが少ないまま無理に働いても、将来的に無理が生じてしまいます。

結果的にまたすぐ転職するしかなくなり、職歴が続かなかったり経験・知識が身につかないまま会社を転々としてしまったりすることもあるので要注意。

全ての希望が叶う職場を探すのは難しいですが、絶対に譲れない条件を可視化しながら転職活動を進めていくのがおすすめです。

ミスマッチのないワーママ転職にするポイント

ワーママ転職で大切なのは、「ミスマッチのない転職」にすることです。

焦る気持ちを抑えきれず無理な転職にしたり、安易に転職を決めて後悔したりするのは避けるのがポイント。

コツさえ抑えれば時短勤務しながらの転職活動もでき、理想的なキャリアが手に入ります。

以下では、ミスマッチのないワーママ転職にするためのポイントを解説します。

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求人の探し方を工夫する

時短正社員求人やワーママ歓迎求人は、一般的な転職サイトではなかなか見つかりません。

「時短可」と記載されていても実際には入社直後からの時短勤務ができなかったり、「ワーママ歓迎」と記載されていても実はワーママ比率が低かったりすることも多いです。

求人探しに困ったときは、ワーママ専門の転職エージェントを頼りましょう。

ワーママ専門の転職エージェントには時短正社員求人やテレワーク可能求人が多数集まるので、ワークライフバランスを意識した転職がしやすくなります。

在籍しているキャリアアドバイザーもワーママの働き方に精通しているので、具体的なアドバイスや親身な共感を得られるでしょう。

ワーママの働き方を理解してサポートしてくれるプロフェッショナルがいれば、転職時の頼もしい存在となりそうです。

ワーママ雇用に積極的な業種・職種を狙う

ワーママの雇用にどの程度積極的かは企業により異なりますが、業種・職種ごとの傾向があるのも事実です。

自分の経験が活かせそうな仕事を狙うのも大切ですが、ワーママ雇用に積極的な企業や業種・職種を検討してもよいでしょう。

代表的な例として、以下が挙げられます。

反対に、ワーママ転職しづらい業種・職種もあるので要注意。

どうしても希望する仕事の場合、強みをアピールしたりワークライフバランスが取りやすいよう家庭を見直したりするのが必須です。

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自分のスキルや経験を可視化しておく

自分のスキルや経験を可視化しておくと、自分の強みとなる部分が明確になります。

応募先企業が求めるスキルセットや人物像と照らし合わせれば、「自分が必要とされている人材か」見極めやすくなるのがメリット。

反対に、応募先が求めるスキルセットや人物像とマッチしていない求人に手あたり次第応募しても、不合格が続くばかりで精神的に消耗してしまうかもしれません。

運よく内定が出て入社しても、その後の活躍やキャリアアップにつながらないので注意しましょう。

まずは、自分がこれまで関わってきた業務をもとに、培われたスキルや経験を洗い出しましょう。

体験を深掘りしながら客観的に自分の強みをアピールできれば、説得力も高くなり内定の可能性も上がります。

ワークライフバランス由来の志望動機ばかりアピールしない

ワーママが転職を検討する理由は、ほとんどが「ワークライフバランスを良くしたいから」です。

もちろん仕事のやりがいや昇進・昇給を求めてハングリーに転職するワーママもいますが、それでも小さな子どもがいる以上、ワークライフバランスとは切っても切れない要素となるでしょう。

とはいえ、選考の場でワークライフバランス由来の志望動機ばかりアピールしてしまうのは危険です。

「テレワークさえできればどの会社でもいいの?」「仕事は二の次なのだろうか?」と思われてしまい、意欲を疑われてしまうことがあるからです。

面接は仕事への貢献ややる気をアピールする場だと捉え、ワークライフバランス由来の動機はあくまでも追加の項目として伝えましょう。

履歴書職務経歴書も同様に、ワーママであることを必要以上にアピールする必要はありません。

転職理由を可視化しておく

ワーママが転職を考えるときは、事前に転職理由を可視化しておきましょう。

ぼんやり漠然とした不安に駆られて転職する場合、目的意識がはっきりしていないため転職活動の軸もブレてしまいがち。

「転職理由は?」「志望動機は?」と聞かれたときの説得力もなくなり、自分が何を求めて転職活動しているのかわからなくなってしまうことも多いです。

まずは仕事に関する理想的な状態を思い描き、今の状態との差分を明らかにしていくのが近道。

「なぜ転職したいのか」という理由を明らかにしておけば、それを解消してくれそうな企業のリストアップもしやすくなります。

選考書類は早めに準備する

ワーママが転職する場合、時短勤務の交渉など応募先の企業と相談しなくてはいけない項目が多くなります。

これらの項目について履歴書・職務経歴書であらかじめ伝えておくなど、応募先企業への配慮も欠かせません。

特に子どもが小さいうちはお世話に時間が取られてしまい書類作成が後回しになりがちなので、隙間時間を使って選考書類を準備しつつ、プロに添削してもらうなど対策しておくとよいでしょう。

まとめ

ワーママ転職はハードルがとても高く感じられるかもしれませんが、適切な対策をしておけば決して不可能ではありません。

むしろ、ワーママになってから転職して理想的な働き方を叶えた人は多く、転職がキャリアアップのきっかけになるケースも増えています。

ワーママ専門の転職エージェントも増えているので、フル活用しながら転職活動の準備をしていきましょう。

育休明け転職・育休中転職の基礎知識