慌ただしい毎日を過ごすワーママは心身に負担がかかりやすく、なかにはうつ病になってしまう人もいます。ワーママがうつで休職や退職する場合、「子供を保育園に通わせられるのか」「転職はできるのだろうか」と悩んでしまうこともあるでしょう。
ここでは、ワーママがうつで休職・退職する場合に保育園に子供を預けられるのか、また転職する場合のポイントについて紹介します。
もくじ
出産後も社会で活躍する女性が増え、育児と仕事の両立をこなすワーママは多いもの。しかし、子育てと仕事を「頑張ろう」という気持ちが強いあまり、心身への負担が大きくなり、うつ病になってしまう人もいます。
うつ病は「心の風邪」とも呼ばれるもので、誰でもかかるリスクがある病気だといわれています。とくにワーママは子供や家族のことを優先してしまい、自分のことは後回しにしてしまいがちです。その結果、自分の心身の不調になかなか気付けず、症状が深刻化することもあるため注意が必要です。
このような背景により、うつ病で休職するワーママも決して少なくありません。家庭と仕事の両立が難しく、心身のバランスが崩れていると感じた場合は、自分を守るために休職を選択するのも一案でしょう。心身の異変を感じたときは、速やかに家族や職場に相談を行い、対策を考えることが肝心です。
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引用:厚生労働省「女性のうつ | 女性特有の健康課題 | 働く女性の心とからだの応援サイト」
厚生労働省の調査では、うつになる女性は男性より多いことがわかっています。20歳未満から80歳以上までどの年代でも女性の数が男性の数を上回っていますが、特に注目したいのは30代から50代にかけて人数が増える点です。
30代から50代は「働き盛りの世代」と呼ばれることが多く、プライベートのストレスに加えて仕事のストレスも加わります。特に30代以降の女性はライフイベント(結婚、妊娠・出産、育児、介護など)による 環境・役割の変化がうつのきっかけになることも多く、ワーママでうつを抱える人もいるのが事実です。
うつ症状には、女性特有のものも多いです。例えば月経周期に合わせて発生する月経前不快気分障害(PMDD)、妊娠期間中のマタニティブルー、産後から1年程度における発症率が高い産後うつ、閉経が近づくにつれてリスクが高まる更年期うつなどが挙げられます。もちろん男性もうつになるリスクがありどちらも警戒が必要ですが、女性が年齢やライフイベントに合わせてストレスを感じてしまうことは多いことがわかります。
ワーママに関して言えば、産後間もない時期での復職に伴って産後うつになった事例や、産後うつが原因で復職できず退職するしかなかった事例も確認されています。無理せず療養しようにも「子どもがいる状態で自分のことだけ考えるわけにはいかない」「家族のためにも働かなくてはいけない」という状態で悪化してしまうことも多いのです。
ここでは、ワーママがうつになりやすい理由について深掘りしていきます。以下に当てはまるストレス要因がある人は、特に注意しましょう。
産後うつは、軽度のうちに必ずしも本人は気づけるとは限りません。産後うつの初期症状に気づかず復職してしまったり、異常があっても「単純に疲れているだけ」「気のせいだ」と考えてしまったりすることもあるでしょう。
産後は子どもの成長・発達・発育・授乳や栄養バランスなど考えることが多く、ただでさえストレスが溜まりやすい時期です。加えて産休・育休明けの復職は働き方もプライベートの生活リズムも産前と比較して大幅に変わることが多く、慣れないまま日々に追われているうちに産後うつのサインを見逃してしまうことがあるので注意が必要です。
症状が重くなると、当然回復にも時間を要します。完全に回復して就業できるようになるまで数年単位の時間がかかったり、当初予定していたような働き方はもうできなくなったりすることもあります。
産前と産後では、働き方が大きく変わることが多いです。フルタイム就労していた人が時短勤務に切り替えたり、復職に伴って部署移動や役職変更が発生することも。同じ部署に復職しても上司・同僚が変わっていたり、仕事のやり方が変わっていたりするため、新卒と同じ「最初からやり直し」状態だと感じることも多いです。
結果、これまで築いてきたキャリアが全てなくなったかのように感じられてしまい、徒労感に襲われることがあるため警戒しましょう。
ワーママはキャリアに関する理想と現実のギャップに悩まされ、モチベーションを大幅に失うことがあります。本当は産前と同じくらいバリバリ働けるのに、ワーママであるからと行き過ぎた配慮がされてマミートラックに突入してしまう人は少なくありません。また、突発的な残業に対応できない、自分が担当している案件であっても夜以降は誰かに任せなければいけない、など思うように働けないことがギャップになることも多いです。
キャリアに関する理想と現実のギャップが長く続くと、「自分はこの会社にいてもいなくても変わらない」「誰にも必要とされていない単純作業しかできない」と思いつめてしまいがち。結果、出勤すること自体が嫌になるくらい、うつの症状が深刻になってしまいます。
ワーママは毎日仕事・育児・家事に追われるため、精神的・身体的に余裕がなくなることがあります。自分の時間が取れないストレスや、夫と衝突するストレスが加わってさらにイライラする毎日が続くこともあるでしょう。
結果、仕事への集中を欠いてミスやトラブルが相次いだり、同僚や後輩への配慮ができず自分本位な仕事を進めてしまうことも多くなります。やがて家にも職場にも居場所がないような、思いつめた気持ちになってしまうため注意が必要です。
ワーママがうつ病で休職すると決まったときに、不安になる人も多いのが「保育園」に関する問題です。仕事を休職した場合でも、「保育園に子供を預けることはできるのだろうか」と心配になる人もいるでしょう。
結論からいうと、休職中でも原則として保育園に子供を通わせることは可能です。多くの自治体では、「両親が働いていること」以外にも「求職中」「病気」などを入園要件にしているケースが多くみられます。
このような入園要件になっている保育園では、うつ病も病気として認められ、子供を預けられる可能性があるのです。ただし、場合によっては保育園の利用継続のために、医師の書類が必要になることもあります。
なお、休職して保育園に子供を預けたいと考えている場合は、「嘘をつかない」ことが大切です。隠し事をせず、きちんと現状を説明するようにしましょう。とくに、職場を緊急連絡先として保育園に伝えている場合は注意が必要です。
休職中は保育園から会社に電話がかかってきても対応できなくなるため、きちんと自身の携帯や自宅の固定電話などの連絡先を伝えておきましょう。
なかには仕事を続けることが難しく、退職を決断するワーママもいます。うつ病で退職した場合、保育園に子供を通わせることはできるのでしょうか。
基本的に仕事を辞めた場合は「求職扱い」になり、すぐに退園にはならないケースが多いです。
ただし、いずれは新しい職に就くことが前提であり、自治体によって期限が設けられていることがあるため、気を付けましょう。求職期間は各自治体によって異なりますが、2~3ヶ月という自治体が多いようです。
また、うつ病で退職した場合、医師の診断書があれば、「就労」ではなく「保護者の疾病」を理由に子供を預けられる場合もあります。提出期限などが定められていることもあるため、前もって確認しておきましょう。
ワークライフバランスがとれない生活を継続することは、心身に大きな負担がかかる原因につながります。
自身を大切にするためにも、心身の調子が落ち着いたら「転職を考えてみる」のも選択肢のひとつですよ。
たとえば、フルタイムの場合は時短勤務に変えたり、ママが働きやすい環境が整っている会社を探したりするのもよいでしょう。
新しい仕事を探す場合は、家庭と仕事のバランスをとりながら働けるように「ワーママ専門の転職エージェント」を活用することがおすすめです。
ワーママ専門の転職エージェントなら、豊富な知識と経験を持つスタッフと二人三脚で仕事を探せます。仕事への希望や不安を相談したうえで、自身に合う仕事を見つけられることが魅力です。
ここでは、ワーママのうつが疑われる場合の対処法を紹介します。「今のままではいけない」と思ったタイミングですぐに行動し、問題を先送りしないよう注意しましょう。
「症状が軽い状態で相談したら大袈裟かな?」と考えず、まずはメンタルクリニックの医師などプロに相談することが大切です。自分にはなかった新たな視点を授けてくれたり、認知療法など薬に頼らない治療策を提案してくれたりします。もちろん治療を要する状態であれば薬の処方や就労に対するドクターストップもしてくれるので、自分の状態を客観的に判断する基準にもなるでしょう。
今の段階で気づいている症状は全て嘘偽りなく伝えつつ、「どうすればいいかわからない」「このままでいいか悩んでいる」などぼんやりとした相談でも、どんどん投げかけていくのがおすすめです。
会社の産業医相談やカウンセリングを活用する方法もあります。内容を直接上司・同僚に知られたくない場合でも、人事部やカウンセリング窓口に直接連絡して受診できる場合があるので自社の制度をチェックしてみましょう。必要に応じて自宅近くのメンタルクリニックやサポート制度を紹介してもらうこともでき、一石二鳥のシステムとして活用できます。
特に、仕事でのストレスが原因でうつ症状が現れているのであれば、会社の制度を利用することで後日業務上の配慮をしてもらえる可能性が高まります。「こんな業務を免除してほしい」「今まさにハラスメントを受けていて困っている」などセンシティブな内容も相談できるので、活用しない手はありません。
うつが疑われるときは、決して無理をせず療養することが大切です。必要に応じて無理せず休職し、心と体を休めましょう。
休職に至る申請方法は会社によりまちまちですが、自己申告だけで休職できる場合もあれば、医師の診断書など客観的な判断が必要な場合もあります。制度上は当日突然の欠勤からそのまま休職に入ることもできますが、最終的に復職することを考えるのであれば少しでも後ろめたさを解消しておくのがポイント。少し早めに会社へ相談するなど工夫し、限界がくる一歩前に動き出すのが理想です。
休職後は、状況に応じて復職・転職・退職を検討します。ほとんどの会社では就業規則で休職できる上限期間を定めており、期間満了とともに復職・転職・退職いずれかを決断しなくてはなりません。無理をして復職することも、退職して完全に無職になることも、転職して新しい環境に飛び込んでさらにストレスを抱えてしまうことも、どれも心配な選択肢に感じるかもしれません。
自分にとってのベターを探り、無理しない決断ができるよう意識しましょう。
復職後に改めて転職を検討するときの注意点を解説します。特に気を付けたいポイントをまとめているのでご参考ください。
うつが理由で転職するときは、無理せず自分第一での転職活動にしていく必要があります。どうしても気持ちが焦って「すぐに転職先を決めなくては」「キャリアに遅れを取った分よい待遇の会社に入らなければ」と考えてしまいがちですが無理は禁物。特にドクターストップがかかっている期間中は療養に努め、転職活動は少しずつ始めるのがおすすめです。
また、転職エージェント等を利用する場合でも、転職希望時期を伝えてスローペースに情報収集を始めることは可能です。必ずしも急ぎで転職する必要はないため、傷病手当金の受給期間や休職できる上限期間と照らし合わせながら、自分なりのペースを掴んでいきましょう。
転職直後は時短勤務制度などを活用してスローペースで働くのもおすすめです。時短勤務は、小さい子どもがいるワーママはもちろん、それ以外の理由でも取得できる制度です。リワークプログラムとして時短勤務を設けている会社もあり、いきなりフルタイムで働くより精神的・身体的な負担を軽減できます。
ただし、転職直後から時短勤務できる会社は限られているので要注意。ワーママに強い転職エージェントや時短勤務に強い転職エージェントを活用しながら、まずは「時短勤務できる会社探し」から始めるとよいでしょう。
現職とそっくり似ている会社を避け、ストレスを避ける方法もあります。現職と似ている会社であれば仕事内容も似ていることが多く、スキルや経験を活かすという意味ではおすすめです。ただし、就労条件や社風があまりにも似通っている会社の場合、前職を思い出して厳しい思いをするかもしれません。
必要なのは、これまでに培ってきたスキル・経験を活かして別の角度から転職することです。業種・職種は同じでも社風が全く異なる会社や、スキルを活かせるが別職種の求人など、意外と応募できる案件は多いはず。まずは自分と関連性がある求人を探してみましょう。
病状については、主治医やカウンセラーなどの判断を優先しましょう。無理な自己判断は禁物です。自分の判断で薬の服用をやめたり、十分な休養を取らなかったりするのも危険です。
復職するにしても転職するにしても、まずは体と心が資本となります。いざというときは腰を据えて療養に専念するなど工夫し、焦りすぎないキャリアを構築していきましょう。
いよいよ転職する場合は、プロのキャリアアドバイザーに相談しましょう。キャリアアドバイザーは個人ごとに異なるバックグラウンドやキャリアプランに合った方法を提案してくれる存在であり、基本的に完全マンツーマンのサポートが提供されます。そのため、メンタルヘルス休職の経験があっても相談しやすく、むしろ注意点や応募先との交渉法を指導してくれる頼もしい存在となります。
また、「ワーママ特化型の転職エージェント」「時短勤務特化型の転職エージェント」など、特定分野に強いエージェントも多いので必見です。ワーママが働きやすい会社を紹介してくれるので、積極的に活用しましょう。
最後に、復職後に改めて転職エージェントを利用するときのポイントをお伝えします。以下のポイントを抑え、理想通りの転職を叶えましょう。
うつで休職したことがあるという事実や悩み事・配慮事項については、転職エージェントのキャリアアドバイザーへ包み隠さず伝えておきましょう。特に休職の履歴については、隠しておくメリットがありません。
「メンタルヘルス休職は転職に不利なのでは?」と考えて話すのを躊躇ってしまうことがありますが、キャリアアドバイザーは応募先の選考担当者ではないため、自分の味方に立ってアドバイスしてくれます。心配事を解消できるよう先回りして動いてくれたり、応募先の情報を集めて無理なく働けそうかシミュレーションしてくれたりもするので、むしろネガティブなことほど正確に伝えておいた方がよいでしょう。
キャリアアドバイザーは、応募者が無理をしすぎないよう止める役割も持っています。うつを押して無理な応募になっていたり、理想から遠い会社に応募していたりすれば、しっかりアドバイスしてくれます。
特にうつになった後の転職活動では小さなミスマッチが大きなダメージになってしまうことがあるので、キャリアアドバイザーと理想を共有しながら二人三脚で動いていくのがおすすめ。時には無理をしすぎないよう止めてもらい、時には発破をかけて背中を押してもらいながら転職活動を進めましょう。
転職先に関する希望があれば、明確に伝えておくのも効果的です。特に、再度のうつを防ぐための条件や会社に求める項目は余すところなく伝えて問題ありません。「希望が多すぎて応募できる会社がなくなってしまうのでは?」という懸念もありますが、まずは理想を全てピックアップし、その後キャリアアドバイザーと一緒に優先順位をつけていくとよいでしょう。
結果、自分のなかで何を優先したいかなど、軸が見つかって転職活動がしやすくなることが多いです。まずは無理でもダメ元でも理想を挙げ、そこからベターなものを選択していきましょう。
うつになった経験があると、「また同じようなことが転職先で起きるのでは?」「ストレスが怖くて仕事ができない…」と悩んでしまいがち。とはいえ転職は職場環境を一新する貴重な手段でもあるので、まずは再発しないようストレス解消につながる転職にするのがおすすめです。
例えば、上司との折り合いが悪くてストレスを感じていたのであれば、社内コミュニケーションが円滑でフラットな社風の企業を選びましょう。激務がたたってうつになったときは、ワークライフバランスや休暇日数を事前にチェックしておくのがおすすめです。
うつ病で休職や退職をした場合にも、子供を保育園に通わせる方法はあります。また、仕事を続けることが難しい場合は、転職を検討することも一案です。その際は、転職エージェントを活用すると力強くサポートしてもらうことができます。無理をせず、自身に合う方法で育児と家事の両立を目指しましょう。
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