「残業のない会社に転職して、子育てで忙しい妻を支えたい」「もっと子供と触れ合う時間を増やしたい」という希望があり、子育てを理由に転職を考える父親が増えつつあります。子育てを理由に働くパパが転職するのは、転職市場的にはありなのでしょうか。
ここでは、子育てを理由に働くパパが転職活動するときのポイントや注意点、ワークライフバランスを実現するための転職活動のポイントについて解説します。
もくじ
引用:マイナビ転職、「育休に対する男女の意識差と実態調査(2024)」を発表
マイナビの調査では、「育児との兼ね合いで退職・転職を考えたことがありますか?」という質問に対し、「ある(または検討中)」と考えた男性が39.5%いるとわかりました。
女性の43.6%に比べると低い数値となっていますが、10人中約4人の男性が子育てのために転職を考えた経験があるということになります。
「父親が子育てのために転職するなんて…」と言われていたのは、ひと昔前のこと。
女性が出産後も働き続ける現代では夫婦で助け合って育児をするのは当たり前になりつつあり、子育てのために転職を考える男性は少なくありません。
男性育休の取得率も少しずつ伸びており、ワークライフバランスを真剣に検討する男性が増えているのです。
ここでは、働くパパが子育てへの参加を考えたときに障壁となるものを解説します。以下に該当する働き方をしている場合、どうしても家族に頼るシーンが多くなるので注意が必要です。
休みが不定期であったり、土日休みでなかったりする場合、子どもの都合に合わせて動くことが難しくなります。
「今週は習い事の付き添いができるけれど来週はできない」「土日祝日に遊びに連れていってあげられない」などのモヤモヤが、仕事への満足度に影響することも。
保育園の運動会は土日に実施されることが多く、小学校のボランティアやPTA活動もほぼ平日日中での募集となる点にも要注意。
本当であれば保護者として積極的にイベント参加したくても、仕事の都合次第では参加率が低くなってしまうことがあります。
会社が遠くて通勤時間が長いと、労働時間にプラスして通勤時間が発生するため自宅にいられる時間が短くなります。
電車の遅延・道路の渋滞で帰りが遅れてしまうリスクも高くなり、パパが保育園の送迎担当であれば遅刻など深刻な課題となることも。
時間的なロスも大きく、「せめてもう少し家と会社の距離が近ければ…」と感じるかもしれません。
仕事以外の時間はなるべく家庭にフルコミットしたい!と考えるのであれば、通勤時間を鑑みた転職にしてもよいでしょう。
残業が多くて深夜まで仕事を続けたり休日出勤が入ったりする場合、拘束時間が長くなります。
単純に業務量が多い、人手不足で仕事が回らないなど理由はさまざまですが、明確な退勤時間もわからないためその後の予定を立てられません。
急な残業が多いと保育園・学童のお迎え担当にもなりづらく、夫婦での役割分担がうまくいかないことも増えるでしょう。
大事な記念日やイベントの日に避けられない残業が入ってしまうことが続くと、精神的にも厳しくなるのが現状です。
早朝勤・夜勤が多いと、子どもや家族の生活時間と合わずすれ違いの毎日になる可能性があります。
「子どもが起きる前に家を出る」「子どもが寝てから帰宅する」という日々が続くと、その日何があったかじっくり話を聞く時間もなくなります。
帰宅してから子どもの顔を見て癒されたい!と思うパパにとっても、不便で寂しい日々となるかもしれません。
どうしても早朝勤・夜勤を外せない業種・職種もありますが、頻度との兼ね合いで転職を検討する人も多いです。
出張が多いと家族と離れて暮らす時間が長くなり、どうしてもママのワンオペ生活になってしまいがち。
特に子どもが小さいうちや複数人子どもがいる家庭の場合、ワンオペの負担は大きなものとなります。
祖父母や預かり時間の長い保育園などの協力をフルであおげたとしても、パパと子どもとで過ごす時間が短い現状は変わりません。
転勤がある場合、家族帯同で転勤するか単身赴任するかの選択を迫られます。
家族帯同では子どもの保育園の転園(小中学校の転校)が必要な他、ママの仕事も原則変えなくてはいけません。
単身赴任ではママや家族に与える負担が大きく、パパと子どもが一緒に過ごす時間も短くなってしまいます。
転勤・異動のない会社にしたいときは、一般職に切り替えるか転職するかが選択肢となります。
働き方改革が進んでいるものの、まだまだリモートワークやフレックスタイム制が使えない会社は多いです。
業種・職種によっては対面での業務が欠かせないケースもあり、リモートワークしている知り合いに思わず「いいなあ」と思ってしまうことも。
実際に小さな子どものいる家庭でリモートワークやフレックスタイム制が使えると、保育園・学童の送迎や体調不良時の通院・看病で大いに役立ちます。
特に同業他社でリモートワークやフレックスタイム制が導入されているのであれば、無理せず転職を検討してよいのかもしれません。
将来昇進・昇給する見込みがない場合、子どもを抱えて就業し続けるメリットがないと感じることがあります。
「子どもが生まれたからこそしっかり稼げるようになりたい」「教育資金や夫婦の老後資金の準備をしておきたい」と考えるパパは多いでしょう。
子育てをきっかけとした転職はワークライフバランス充実のためと考えられがちですが、実は子育てしているからこそ収入を確保したいという理由で転職を検討する人も増えています。
フルリモートワークできる、有給が多く家族の都合で休みやすい、職場が非常に近くて通勤時間がほぼゼロ、など特筆できるメリットがない限り、収入が上がる見込みがないのは死活問題と言えるでしょう。
家庭が求める経済レベルと今後予想される収入や社内のロールモデルとを比較しながら、将来的な可能性を理由に転職を検討するのもおすすめです。
ここでは、パパが働き方を見直すメリットを解説します。なぜママではなくパパの働き方を見直すのか、根本的な理由を考えてみましょう。
パパが働き方を見直すことにより、パパと子どもが一緒に過ごす時間を増やせます。
野村不動産の調査では、父と子が生涯で一緒に過ごす時間は累計3年5ヶ月しかないことがわかりました。
一緒に過ごす時間をぎゅっと濃縮するとたった3年分にしかならないと考えると、なるべく時間を大切にしたくなりますね。
本当はもっと子どもと過ごしたい!と考えるパパにとっては、ままならない結果と言えるでしょう。
働き方を変えてプライベート時間を増やせれば、その分子どもと一緒に過ごす時間を増やせます。
子どもはあっという間に大きくなってしまうからこそ、小さい頃の時間を大切にしたいですね。
(※)参考:関西大学・溝口佑爾准教授監修により、国民生活時間調査2020と平成28年社会生活基本調査から分析
夕方以降にパパの時間がある場合、夫婦で分担しながら兄弟別々の習い事に送迎したり、子どもの通院に付き添ったりすることができます。
ママが家事をしている間にパパが自宅学習の面倒を見たり、ママと子どもで友達と公園で遊んでから帰ってくる間にパパが食事を作れたり、選択肢も増えるでしょう。
結果、子どもの学習にも効果が見られます。
夕方の過ごし方は家庭によりさまざまですが、「小学校入学前に最低限のことだけでも教えておきたい!」「本人が頑張っている習い事に割く時間を増やしてあげたい!」と考えている家庭にとって、パパが柔軟に働けるのは大きなメリットとなります。
時間を効率よく使えると、家事のやり残しが減るのもポイントです。
掃除の頻度を上げる、洗い物を溜めることなく片づける、水回りやベランダの掃除まで手が回る、など細々としたメリットが多くなります。
家事よりも家族みんなで楽しく過ごす時間を増やすことが理想とはいえ、あまりにも家事に手が回らなさすぎるとストレスになってしまうことも。
栄養バランスを考えた献立づくりやハウスダスト対策ができなさすぎると、子どもへの罪悪感も高まってしまいそうです。
働き方を見直して時間の余裕ができれば、毎日のちょっとした家事を解消しやすくなるでしょう。
ママの完全ワンオペ子育てにならないことは、ママの心理的負担を大幅に減らすことにつながります。
保育園や学校でのちょっとした出来事を夫婦で気軽に共有したり、夫婦で試行錯誤しながら子育ての理想を探ったりすることは、パートナーとして大切な役割です。
忙しすぎてついママにばかり任せてしまう家庭も多いですが、子どもが大きくなったときに「ふたりでやり遂げた」という実感がほしいときは、少しでも夫婦二人三脚での生活を意識してみるとよいでしょう。
もちろん、パパが働き方を見直すことで大人の手が増えるようになれば、物理的な助けにもなります。
パパが働き方を見直すメリットは多いものの、一方でデメリットがあることも事実です。以下では代表的なデメリットを解説します。
転職の仕方次第では、キャリアや収入が下がってしまう恐れがあるため注意が必要です。
ワークライフバランスだけを重んじてとにかく所定労働時間数が少ない会社や福利厚生が充実している会社を優先した場合、自己実現やキャリアアップは捨てなくてはいけない可能性があります。
極端に考えるとパパがパート・アルバイトになって自由なシフトで働けば子育ての時間を増やせますが、家族全体の金銭にもパパ個人のキャリアにもメリットがありません。
もちろんワークライフバランスを改善しながら前職より待遇もよい会社に転職する方法もありますが、必ずしも希望通りの求人が見つかるとは限らないのも現状です。
ワークライフバランスとキャリア・収入のバランスを見ながら、慎重に転職を検討していきましょう。
男性の育児参画や女性の社会進出が進んでいる昨今、仕事において特別な性差を設けることなくフラットに判断する人が増えていますが、それでもまだまだ「男性がしっかり外で稼いで、女性はパート・アルバイトで家計を少し支えるのが理想」と考える人は多いです。
男性が子育てを理由に転職したり育休を取ったりする場合、「男性なのにどうして?」「妻に任せればいいのでは?」という偏見とぶつかることもあるでしょう。
夫婦間では十分に話し合いの上で納得ができている役割分担であっても、外からの印象や一方的な決めつけと戦わなくてはいけないシーンは多いです。
また、パパ自身が「自分が大黒柱なのだから…」と自分で自分を縛り付けてしまっていることも少なくありません。
家庭にとって何がベストかを第一に考えながら、理想の道を探っていきましょう。
ここでは、パパが子育てのために転職するときの注意点を解説します。キャリアダウン転職やミスマッチ転職にならないよう、以下に注意しましょう。
転職面接の場で、ワークライフバランスの改善だけを目的とした転職理由・志望動機を伝えてしまうのは問題です。
もちろんワークライフバランスの改善も大切な転職理由のひとつですが、「有給さえ多ければ他社でもいいということ?」「休み第一に考えすぎてプロジェクトを責任もって担当してもらうことができるだろうか?」と懸念されてしまうことがあるので要注意。
転職理由も志望動機も、キャリアや業務内容への興味を第一に伝えるのが大前提です。
そのうえでワークライフバランスのことも少し添える程度にしておけば、印象が大幅にマイナスになることはないでしょう。
夫婦でそれぞれのキャリアビジョン・役割を共有しておくことも大切です。
パパが「子育てを理由に転職したい」「もっと子どもと過ごす時間を増やしたい」と考えていても、ママは「家のことは自分がやるから夫にはしっかり稼いできてもらいたい」と考えている場合があります。
逆に、夫婦ともにバリバリと働きたい場合もあれば、夫婦ともに最小限の労働時間で働きたいと考えている場合もあるでしょう。
働き方の多様化が進み、明確な「正解」がない今の時代だからこそ、家庭単位での正解を見つけていくことがポイント。
夫婦で同じビジョンを共有できていれば、不要な喧嘩やミスマッチ転職を避けられます。
最後に、パパが子育てのために転職活動をするときのコツを解説します。理想的な求人を見つけ、少しでも内定獲得率を上げていくためにも、以下のポイントを抑えておきましょう。
子育てのために転職活動する場合、つい目先の働き方・待遇ばかりが気になってしまいがち。
しかし子どもが育ってからも仕事が続いていくため、将来のキャリアビジョンも視野に入れて転職することが欠かせません。
「子どもが小さいうちは今の会社でよかったと思えていたけれど、子どもが成長してからは物足りなく感じる」と思っても、そのタイミングでまた理想的な求人に出会える保証はないのです。
せっかく転職するのであれば、応募先で10年20年過ごす場合を想定し、納得できる転職先かどうか判断する必要があります。
数年後にもう一度転職する前提でいる場合、なおさら次の会社でどんなスキル・経験・知識・実績を身につけて次の転職を有利にできるかシミュレーションしておきましょう。
通勤時間が短い、残業や休日出勤が少ないなどの条件も大切ですが、柔軟な働き方が充実している会社を探すのもおすすめです。
例えば残業がある会社でも、リモートワークできる会社であれば一度子どものお迎えに行ってから自宅で仕事をすることができます。
リモートワークは子どもの体調不良時や数時間の園・学校イベント前後の仕事とも相性がよく、使い方次第では欠勤することなく働ける手法として確立しています。
また、フレックスタイム制や看護休暇などが充実している会社であれば、フレキシブルな働き方ができるでしょう。
自分の強みを活かせる業種・職種に転職することも大切です。
中途採用市場では経験やスキルを重んじて採用している企業が多く、男性女性問わずハイスキルな人材が重宝される傾向にあります。
子育てやワークライフバランスの充実を目的に転職活動する場合でも、即戦力になれないと判断されてはそもそも選考に通過することができません。
子どものいない家庭や独身の方と同じ土俵で転職活動する以上、自分の強みを最大限活かせる場所で戦うのが理想です。
また、スキルを評価してもらえれば入社時の提示年収も高くなりやすく、ワークライフバランスとキャリアの両方を追及した転職活動にできる可能性が高まります。
ワークライフバランス改善目的での転職活動は、転職理由や志望動機をどう伝えるかが難しく、なるべく転職エージェントなどプロのアドバイザーを頼ることをおすすめします。
とはいえ一般的な転職エージェントではフルタイムに残業・休日出勤・出張・転勤を加えた就労が前提になりやすく、男性であることも相まってキャリアアドバイザーに理想を伝えることすら難しいと感じるかもしれません。
勧められるがままに転職して結局ワークライフバランスを改善できないのであれば、転職した意味もなくなってしまうので注意しましょう。
一方、時短正社員に強い転職エージェントや働くパパの転職に強いエージェントであれば、キャリアとワークライフバランスの両立を目的とした提案をしてくれます。
どちらにも妥協したくないときこそ、専門の転職エージェントを頼りましょう。
子育てを理由に転職するパパは意外と多く、男性の育児参画が進んでいます。
子どもが大きくなってから「もっと一緒に過ごす時間を作ればよかった」「あまり構ってあげられなくて申し訳なかった」と後悔するより、今の時間を大切に過ごす方法を探ってみましょう。
とはいえ、ワークライフバランスの充実だけでなくキャリアや収入との両立も不可欠です。
リアルミーキャリアは実力主義で評価してくれる会社や柔軟な働き方を認めている会社が数多く登録している転職エージェントなので、子どものために生活を見直したいパパ・ママはお気軽にご相談ください。