妊娠中に転職活動をするのはできれば避けたいもの。しかし、なかにはやむをえず妊娠中に転職活動をしたいという人もいることでしょう。
ここでは妊婦が就職活動をする際に気をつけたいポイントや、実際に妊娠中に転職活動に成功した人の体験談を紹介します。
もくじ
大前提として、妊娠中の転職活動はかなり厳しいものになります。転職エージェントのキャリアアドバイザーも、妊娠中に転職を希望する人には、出産後に育休復帰してからの転職活動をおすすめしています。
妊娠生活には不確実なことが多く、体調次第では入社日に確実に入社できなかったり、最悪内定を辞退されたりしまう恐れがあります。また、妊婦さんは入社後に長期休暇に入ることがわかっているので、せっかく入社したのにまた新たに業務の担当を探さないといけません。そのため、どうしても企業からは敬遠される傾向があるのは事実です。
ただし、ごくまれに「即戦力としてバリューを発揮してもらえるなら、入社後に産休育休を取得することがわかっていても問題ない」という会社もあります。会社の社風や面接官の考えによるところが大きいので、こればかりは応募時に判別することは難しいでしょう。
妊婦が転職活動をするときの最優先事項は、自分の体調管理です。気分があまり優れない日々が続くようであれば、転職活動の中止もやむをえないでしょう。
とくに妊娠初期はつわりがきつくなる傾向があるので、今の会社に出社するだけでも大きな負担となりえます。くれぐれも無理な転職活動のスケジュールは控えるようにしてください。
妊娠中は体調面だけでなく、精神面でも不安定になりがち。転職活動自体がストレスの原因にならないよう注意しましょう。
ときどき、妊娠を隠して入社しようとする人もいますが、それは自分にとっても会社にとってもメリットがありません。お腹が目立たないあいだであれば隠せるかもしれませんが、いずれは必ずわかってしまうことです。
確かに、内定を一度出してしまえば、妊娠を理由に取り下げることはできないでしょう。しかし、内定後に妊娠を伝える行為は、会社との信頼関係を崩します。入社したあと、なんらかの理由をつけられて退職に追い込まれるケースもあるかもしれません。
また、会社に妊娠中であることを伝えていないために、力仕事や出張などハードの仕事を任される可能性もあります。妊娠中はこちらの体調を配慮してもらいたい場面もでてくるため、自分の体を守る意味でも、妊娠していることは必ず伝えておきましょう。
妊娠中の人は、いずれ出産・育児で職場を離れる時期があるため、ほかの候補者よりも不利になります。そのため、もし入社できる可能性があるとすれば、即戦力として短期間で活躍できることが必須条件となります。
前職で就職先に役立つ豊富な経験をしていたり、貴重な資格を持っていたりする人材は、妊娠中でも会社から歓迎される可能性がゼロではありません。妊婦が就職活動で成功するためには「即戦力で活躍できるかどうか」が鍵を握っていると心得ましょう。
もしくは、人手不足な仕事も狙い目と言えます。少し言い方は悪いかもしれませんが、猫の手も借りたいほど忙しい現場はとにかく人が欲しいため、妊婦であっても採用してくれる可能性はあるかもしれません。
医療・福祉系のほか、スタートアップのベンチャー企業は業種に関係なく人手が足りていないところが多い傾向にあります。ただし、こういった職場はあまりに多忙過ぎて、仕事がハードなことは否めません。ブラック企業に入社してしまうと長く働くのが難しくなるため、避けたいところです。
正社員にこだわらないのであれば、パートやアルバイトで働くのも悪くないでしょう。非正規であれば、採用のハードルは下がりますし、体調に合わせてシフトを組んで働くことができます。出産前後までは非正規で働き、育児が落ち着いてから正社員を目指す人は珍しくありません。
妊娠中は妊婦健診で会社を休まなくてはいけません。有給のルールがどうなっているかは、必ず事前確認しておきましょう。一般的に入社後半年してから有給が取得できる会社が多いので、休んだ場合は欠勤控除(休んだ分の日給が減る)となることが多いようです。
また、育児休業に関するルールも注意が必要です。法律で定められている産休は入社時期にかかわらず誰でも取得が可能ですが、育休は入社1年経たないと取得できないケースが多いです。
会社によっては産休育休の取得者がこれまでにおらず、制度が整っていない場合もよくあります。できればママ社員が活躍していて、産休や育休に対して理解の深い職場を探すと安心です。
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(Sさん 東京都 Webディレクター)
急に会社が倒産してしまい、妊娠4ヶ月のときに転職をしました。同じタイミングで夫の会社で大幅なボーナスカットがあり、これから出産を控えているのに夫婦ともにお金がなく大ピンチだったため、出産まで働き続ける必要がありました。
つわりはまったくなく体調が良好だったので、ダメもとなのは承知のうえで転職活動に踏み切ることに。妊娠中ということで転職エージェントでは断られてしまったため、一般的な求人サイトから「数撃てば当たる」戦法でたくさん応募をしました。
もちろん書類でほとんど落ちてしまいましたが、妊娠中でも面接に行くことができた会社もありました。会社には現在の状況を正直に話し、最終的に「産休までは契約社員、出産後復帰するときに正社員で入社」という条件で1社内定をいただくことができました。子供や家族に関する事業を行っている会社で、ママ社員が活躍している会社だったため、妊娠に理解があったというのが幸いしたと思います。
無事に産休まで働き、いったん契約は終了。子供の保育園が決まったタイミングで、正社員として再入社をすることができました。働ける場所を残して待っていてくれた会社には本当に感謝しています。
妊娠中は心身ともにストレスを抱えやすい時期。妊娠中に転職活動をするのであれば、体をいたわりながら慎重に行うようにしてください。
採用が狭き門となり、焦る気持ちもでてくるかもしれませんが、会社の見極めはしっかりとするようにしましょう。たとえ採用されたとしても、育児に理解がない現場で長く働くのは、長い目でみて厳しい状況になりかねません。
妊娠中の転職活動が負担になったり焦ったりしてしまうようであれば、育休復帰後に落ち着いてから転職活動を再開することも検討してみてくださいね。
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