第一子のときはなんとか仕事と家庭を両立してきたものの、第二子を考えて「心身ともにもっと時間が欲しい」「もっと余裕を持って妊活したい」と考える人は少なくありません。また、妊活となると通院時間の確保や体調変化への対応も求められるようになり、働き方の見直しが急務となるケースがあるので注意しましょう。
今回は、第2子の妊活のために時短勤務で転職したワーママの体験談を紹介します。なぜ時短勤務と妊活の相性が良いのかにも触れるので、将来的な人生計画と働き方を見比べながらご参考ください。
もくじ
早速、第2子妊活のために転職した体験談を紹介します。どんなことに悩んでどう時短転職を決意したのか、探ってみましょう。
Dさんの家庭は、もうすぐ3歳になる長男と夫、Dさんの3人家族。
夫は建築会社勤務で、Dさんは保険会社勤務、夫婦ともに営業職です。夫婦で「そろそろ2人目が欲しいね」と言いながら、かれこれ1年半が経過。
Dさんは仕事と育児の両立でくたくたななか、妊活のタイミング法を頑張ってきたけれど、ここまで長期戦になるとは予想外。
周囲の同世代の友人が第2子を出産してすでに職場復帰をしている様子を見聞きし、気持ちばかりが焦っていました。
そんなとき夫から「仕事を少しセーブして、不妊治療専門の病院で診てもらって、効率的にタイミングを持つなり治療していくという方針にしないか」と提案され、戸惑うDさん。
今まで仕事と育児どちらも全力投球で日々奮闘してきたDさんにとって、
「仕事をセーブしないか」と提案されるのは思いもよらないできごとでした。
現職では17時半の定時に上がれることはほぼなく、保育園のお迎えには、延長保育を利用し閉園ギリギリに滑り込んでいる毎日。
初期の妊娠治療(タイミング法)では、毎月5回の通院が必要。現在の勤務状況では通院が困難であることは明らかでした。
現職には時短勤務制度は存在するものの、自分のポジションでの利用は難しそう。「いっそのこと、本格的に妊活するには、退職しか道はないのかも…」
とさえ思うようになりました。
しかし、いざ退職してキャリアをあきらめるか、と考えるとそれも違和感を覚えました。長男の育休中はずっと家にいることにストレスを感じ、育休を繰り上げて復帰を急いだくらい、仕事が好きで社会とつながっていたい気持ちがあったことを思い出しました。
やはりここまで積み上げてきたキャリアを捨てることなく、第2子を妊娠・出産してもこれまで同様に働きたい。そのため、第2子妊娠のために仕事を辞めるという選択肢は除外しました。
そんなとき、保育園の保護者会で、クラスの母親の半数近くが時短勤務をしているという事実を知りました。
話を聞いてみると「我が家の場合は時短勤務じゃないと家庭崩壊。フルタイム就業なんて考えられない!」との声が多かったのです。
「1~2時間勤務時間が短くなっただけで、そんなに毎日の生活が変わるものだろうか?」と半信半疑でしたが、17時に退勤すれば保育園のお迎え前に通院可能なことに気付きました。
問題は、現職では時短勤務を取得することが絶対に無理ということ。そこで、時短勤務可能な勤務先に転職することを考え始めました。
自分で求人を探す時間はとれないため、初めてワーママ専門の転職エージェントに相談しました。対面でも電話でも相談できるとのことだったので、出勤前の30分を使って電話で面談をしてもらうことに。
今回の転職の優先条件について聞かれ、Dさんが提示した条件は以下の通りです。
その後いくつか希望に合う企業を紹介され、職務経歴書の添削と面接指導を受けて選考に挑み、Dさんは転職活動を始めて2ヶ月で無事に内定を獲得しました。
年収は現職より少し落ちましたが、条件の範囲内でした。旦那さんもDさんの転職活動に賛成だったため、面接のときは保育園のお迎えを引き受けてくれるなど協力的でした。
なによりDさん自身が転職への意思がブレなかったことが、希望条件での転職成功に結びついた要因でしょう。
時短転職してから、第一の目的だった妊活に思い通りに時間がとれて、日々のストレスが激減したというDさん。
さらに嬉しいことに、時短勤務のおかげで長男と触れ合う時間が多く取れるようになったため、長男のことを今まで以上に愛おしく思うようになったとか。
現在Dさんは、新しい勤務先近くの病院で不妊治療を開始しています。 ライフプランとキャリアを同時に見直すきっかけとなった転職事例でした。
ここからは、妊活中にできる働き方の選択肢について、おすすめ順に解説します。それぞれの理由も加えて解説するためご参考ください。
時短正社員とは、正社員のポジションを維持したまま労働時間だけ短縮できる(時短勤務ができる)働き方です。子育て中のパパ・ママの選択肢として有名ですが、実は会社と本人さえ合意すれば誰でも時短勤務できるのがポイント。そのため、妊活・介護・自分や家族の体調不良・趣味との両立など、さまざまな理由で時短勤務を取得している人は少なくありません。
時間と体力的な余裕さえあれば、フルタイム正社員を続けながら妊活をするのもおすすめです。収入とキャリアの最大化が期待できる選択肢であり、妊活や子育ての費用も捻出しやすくなるのがメリット。また、子どもが大きくなってからのキャリアも維持できるので、自分自身の選択肢を狭めることもありません。
とはいえ、残業・休日出勤・出張などを命じられることも多いので注意が必要です。体調を崩したりストレスフルになって妊活に悪影響が出るのでは本末転倒になってしまうため、体力的に厳しいのであれば無理せず時短正社員に切り替えた方がよいでしょう。
パート・アルバイト・派遣社員などさまざまな雇用形態で働くこともできますが、あまりおすすめはできません。
非正規雇用は契約期間が定められていることが多く、契約更新や雇用の延長が保証されていないのがデメリットです。妊活中に「もし契約が更新されなかったら?」という不安を抱えながら働くことになり、産休・育休のタイミングと契約更新のタイミングが重なったらそのまま満期終了となってしまうリスクが考えられます。働き続けていないと保育園に入れることもできず、キャリアも断絶してしまい、その後の数年間は専業主婦になる可能性が高くなるのです。契約社員など、正規雇用への道がある程度確保されている雇用形態であれば選択肢のひとつになりますが、条件面は慎重に確認しておきましょう。
妊活の最中に「いつ仕事を失うか分からない」と思うことは、精神的にもストレスとなり、妊活に集中できない原因になりかねません。非正規雇用の場合、産休・育休・社会保険などの福利厚生が不十分なケースも想定されるため、安定性のためにも正社員でいつづけることをおすすめします。
ここでは、妊活と時短正社員の相性が良い理由を解説します。なぜ時短正社員をおすすめするのか、理由をご参考ください。
時短正社員であれば、通院時間を確保しやすくなるのがメリットです。妊活が始まると通院頻度が多くなるため、平日の開院している時間帯に予定を空ける必要が出てきます。最初の数回であれば有給や体調不良を理由とした欠勤で対応できるかもしれませんが、通院頻度が多くなればなるほど仕事との両立が難しくなるでしょう。退勤時間が早い時短正社員であれば、週に2〜3回の通院が必要となっても対応しやすくなります。
妊活中は、突然の通院が必要になることも多いです。時短勤務・フレックスタイム制・リモートワークなど使える制度は全て使い、ストレスフリーでいられるよう意識しましょう。
時短正社員であれば、長時間勤務のストレスや疲労を蓄積しにくいのもポイントです。フルタイム就労に加えて残業や休日出勤もこなすとなれば、物理的に長時間勤務が求められて身体的にも精神的にも疲れます。仕事のプレッシャーや時間に追われることが続くと、心身の健康が損なわれることもあるので注意しましょう。また、「帰宅時間が不規則になる」「生活リズムが乱れて睡眠不足・運動不足になる」など、自分のメンテナンスに時間が取れなくなるのも危険です。
時短勤務を選ぶことで日常的なストレスを減らし、リラックスした時間を取りながら妊活に集中していきましょう。
時短勤務の場合、比較的柔軟にスケジュールを管理できます。勤務時間が短縮されれば余暇が増え、妊活に必要な時間を確保しやすくなるでしょう。特に排卵誘発剤を使用した場合や体外受精の場合など、医療機関に通う頻度が高くなってからは柔軟なスケジュールにできることが大きな強みとなります。
妊活中は、ホルモン治療・ストレス・体調の波によって、仕事が辛く感じる日もあります。せめてスケジュールに余裕を持つだけでストレスは少し軽減されやすくなるので、意識的に余暇を増やしていきましょう。
時短正社員は、労働時間こそ短いものの、名前の通り「正社員」であることは間違いありません。妊活や子育てには予想以上の費用がかかることが多いため、正社員として経済的な安定を確保しながら治療を続けることは、精神的にも物理的にも大きな支えとなります。今あるローンや奨学金の返済も続けやすい他、将来のキャリアと収入の安定にもつながるでしょう。
つまり、「正社員でいること」が気持ちの安定につながるということです。金銭的な問題に悩まされることなく治療に集中するためにも、なるべく正社員のポジションは手放さないようにしてみましょう。
時短正社員は正社員の福利厚生を受けられるため、妊娠した後の産休・育休取得もスムーズです。労働基準法や育児・介護休業法に基づく法的な保障が完備されていて、万が一切迫早流産や妊娠高血圧症候群による入院が発生したときも、傷病手当金の申請が可能です。出産前後は産前産後休業手当金が、育休に入ってからは育児休業給付金が得られるので、金銭的なメリットも十分です。
また、正社員であれば確実に復職できるので、キャリアが途絶えることもありません。保育園が見つかりさえすれば、いつでも会社に戻れる安心感があるのもポイントです。
ここでは、妊活中に転職する場合の注意点を解説します。時短正社員を目指して転職する場合でも、以下の点を意識してみましょう。
転職前に、応募先企業が入社から何年で育休が取れるか確認しておきましょう。
法律上、前職含めて雇用保険に1年以上加入していれば転職直後でも育休の取得は可能です。ただし、労使協定や就業規則で「入社から1年経過した社員を対象に…」と条件を付与している場合、そちらが優先されます。「1年以上勤続していること」「子が1歳6か月になるまでの間に労働契約が満了することが明らかでないこと」という2つの条件を満たしていないと、育休が取れない企業があるので注意しましょう。正社員であれば労働契約の満了を気にする必要はありませんが、転職直後であれば「1年以上勤続していること」の条件を満たせない可能性があります。
入社から何年で育休が取れるか確認しておけば、入社後に判明するミスマッチを減らせます。
転職先が決まる前に今の仕事を辞めてしまい、企業の在籍期間にブランクが出ないようにすることが大切です。退職から転職までの僅かな期間に妊娠が判明した場合、当然ながら再就職のハードルが高くなってしまいます。妊婦でも関係なく採用してくれる企業もありますが数はまだまだ少なく、妊娠中に正社員として転職するのは困難なのが現実です。無事に転職できたとしても取得できるのは産休までで、育休が取れず、産休満了と同時に退職せざるを得ないケースも多いのでメリットがありません。
無職のまま育児がスタートするため保育園などの預け先を見つけることも難しく、そのまま専業主婦になる他なくなってしまう点もリスクです。
妊活中は急な体調変化が起こりやすい時期でもあるため、無理なスケジュールにしないよう転職活動することが大切です。体調が良い時に集中的に活動し、体調が優れない時は休息するなど、無理のないペースで進めましょう。自己分析や履歴書・職務経歴書の準備などできることはコツコツ進め、面接日など確実に予定を空けておきたい日は通院日と被らないように病院と相談するなど、フレキシブルに動く必要があります。
また、適度な運動や趣味の時間を作るなど、ストレスを溜め込まないようにすることも大切です。あまりにも急ぎの転職活動にするとスケジュールがパンパンになってしまい、精神的にも余裕がなくなるので注意が必要です。
また、妊活中および転職直後の時期はいったん妊活をストップし、転職完了して3ヶ月から半年程度が経過したら再開するよう意識しましょう。転職直後に妊娠が判明した場合、育休が取りにくくなるだけでなく、社内での信頼関係構築や仕事の進めやすさにも影響します。転職と妊活のバランスを取るためにも、事前にスケジュールを可視化しておきましょう。
転職活動を成功させるためには、転職先企業に求める条件を明確にし、優先順位をつけておくことが重要です。妊活中は「フレックスタイム制度やリモートワークが使える」「残業・休日出勤・出張がない」「職場の人間関係が良い」「産休・育休制度が充実している」など、企業側に求める条件がつい多くなりがちです。
いずれも大切な条件ですが、全て満点で満たしてくれる企業はなかなかありません。転職活動の軸を定め、効率的に企業を選ぶための対策として、優先順位づくりを意識していきましょう。「絶対に譲れない条件」「できれば満たしたい条件」「あれば嬉しい条件」のように分類していくとわかりやすくなります。
転職面接で「妊活中である」と伝えるか、慎重に検討する必要があります。非常にデリケートな問題であり、正解はありません。伝えることによるメリットとデメリットを考慮し、自分の状況に合わせて判断するのが理想です。
【妊活中と伝えるメリット】
【妊活中と伝えるデメリット】
相手企業のスタンスを面接前に見抜くのは難しく、伝えても伝えなくても後悔につながる可能性があるので注意しましょう。
妊活中に転職する際は、転職エージェントを使うのがおすすめです。転職エージェントのキャリアアドバイザーから事前に妊活中であると伝えてもらい、それでも良いと言ってくれた企業にだけ応募するなど、フレキシブルな対応も可能です。また、産休・育休関連の福利厚生や取得実績の多い企業を優先的に紹介してもらえたり、長期的なキャリアビジョンを可視化してから求人紹介してくれたり、さまざまな面で力になってもらえるでしょう。
ただし、できればワーママ特化型や時短正社員特化型の転職エージェントを頼るよう意識することが大切です。一般的な総合型転職エージェントでも対応自体はしてもらえますが、妊活中転職に関するノウハウが少なく、応募先企業への事前相談や調整がうまくいかないケースがあります。場合によっては「妊活中に転職するのは避けた方がよい」と否定されてしまうこともあるので、依頼先は慎重に判断しましょう。
妊活中に転職するのであれば、キャリア・収入・通院や体調不良への対応などを総合的に鑑みて、時短正社員として転職するのがおすすめです。時短正社員であれば妊娠・出産中の保障も手厚く、復職のハードルも低いので、キャリアや収入が途絶えてしまうリスクがほぼありません。
リアルミーキャリアはワーママおよび時短正社員に特化した転職エージェントであり、妊活中の転職のご相談も受け付けています。働きやすさやワークライフバランスも重視しつつ、会社員としてのキャリアや収入も追求できる、理想的な職場探しをしていきましょう。気になる方はお気軽にご相談ください。