フルリモートは出社を伴わない働き方であり、自宅・コワーキングスペースなど社外だけで仕事を完結させるスタイルを指す言葉です。
新型コロナウイルスの流行や働き方改革に伴ってリモートワークの制度を設けた会社は多いものの、フルリモートができる会社はまだまだ多くありません。
今回は、フルリモート正社員で働きたいママに向けて、転職しやすい業種・職種を解説します。
リモートワークにまつわる現状や転職のコツにも触れるので、参考にしてみましょう。
もくじ
まずは、リモートワークにまつわる現状を解説します。新型コロナウイルスの流行により一気に変わってきた働き方が、行動制限がほぼなくなった今の時代にどう変化しているのか、探ってみましょう。
(※)参考:総務省|令和5年版 情報通信白書|テレワーク・オンライン会議
総務省の調査によると、リモートワークを導入している企業の割合は2022年段階で全体の51.7%に達していることがわかりました。
新型コロナウイルスが爆発的に流行した2020年に大きく導入率を伸ばしており、2022年には微減しています。
2022年以降は出勤控えの呼びかけなど行動制限がなくなったことによって、リモートワークをなくす会社も出てきました。
とはいえ現在もリモートワークの制度を設けたままにしている企業は多く、出社とリモートワークとを上手く両立させるなど新たな活用法も見つかっています。
(※)参考:PR TIMES「アフターコロナにおけるフルリモートワークの実施率は約32%」
一方、週に1度も出社せず業務ができる「フルリモート」を導入している企業の割合は、2023年段階で全体の32.3%に留まることが判明しています。
そもそもリモートワークの導入率が48.5%になっているため、2022年の51.7%と比べるとやはりリモートワークを解消する流れがあると言えるでしょう。
フルリモートができる会社でも全ての職種がフルリモートしているケースは非常に珍しく、エンジニアの一部やテクニカルサポート職など職種を限定しての導入であることもほとんどです。
また、コールセンターやカスタマーセンターなどのアルバイトだけにフルリモートを認めている会社もあり、制度の運用方法は企業ごとに大幅に異なります。
(※)参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況
リモートワーク導入率の高い業種は他と圧倒的な大差をつけて「情報通信業」となっており、次いで「学術研究、専門、技術サービス業」「金融業、保険業」となっています。
「IT業界」とも呼ばれる情報通信業ではパソコンとインターネット環境さえあれば仕事ができる職種が多く、かつ無形商材を扱うため比較的リモートワークがしやすいのが特徴です。
反対に、対面でのケアが必要な「医療、介護、福祉」や「宿泊業、飲食サービス業」はそもそもリモートでの業務が難しく、バックオフィスなど一部の職種を除いてリモートできないことから、他業種と比べてリモートワークの導入率が低くなっています。
リモートワークを目的に転職活動するのであれば、IT業界をターゲットにしてみるとよいでしょう。
ここでは、リモートワークしやすい職種を解説します。下記で通用するスキルを持っている人は、リモートワークやフルリモートの選択がしやすくなるかもしれません。
営業職といえば客先に足繁く通って取引先と信頼関係を構築するイメージが根強いですが、近年はリモートでの営業も増えています。
既にメール・電話・チャットなどリモートツールを使って顧客に提案をする「インサイドセールス」という手法が確立しており、直接客先を訪問するフィールドセールスとは異なる手法として注目されるようになりました。
営業職同士の情報共有に役立つツールやソリューションも次々に開発されているため、あえて自社オフィスに出勤せずともよくなっているのも現状です。
ソリューション営業など無形商材の営業経験はIT業界で歓迎されることが多く、結果としてフルリモートの求人に出会いやすくなります。
経理などのバックオフィスも、リモートワークしやすい職種です。
とはいえ郵便で届く請求書や会計事務所・税理士事務所との打ち合わせも多く、全ての経理職がフルリモートできるとは限りません。
一方、年次決算をひとりでまとめられるなど高いスキルのある経理経験者であれば、応募できる会社の選択肢が多くなるためフルリモート求人に出会いやすくなるのがメリットです。
ITエンジニアやPM(プロジェクトマネージャー)も、リモートワークしやすい職種です。
パソコンとインターネット環境、デジタルツールやクラウドサービスさえあれば、仕事をする場所が問われません。
スキルの希少性が高いため求人倍率も高く、フルリモート以外の待遇が期待できるのもポイント。
物理的な作業がほとんどなく、オフィスにいなくても仕事ができるのもメリットとなっています。
タスクの進捗状況や成果物をリアルタイムで共有できれば、フルテレワークや海外からの仕事でも不便になることはないでしょう。
テクニカルサポートとは、システムや製品に関する技術的な質問に応対する職種です。
技術的な専門知識が必要な職種なのでスキル保有者の希少性が高く、転職市場での注目度が高いのがポイント。
基本的にチャットやオンラインミーティングツールを使ったサポートが提供されるため、時差のないエリアであれば就労場所も問われません。
WebマーケターはWeb上での集客施策を考案する職種であり、場所に縛られることなく働けます。
実際にフルリモートをしているWebマーケターも多数おり、Webコンサルティングファームやマーケティング会社などで働いていることが多いです。
また、IT業界のWebマーケティング職は求人数が多く、フルリモートとの相性がよいのもメリット。
女性向け商材を扱う会社のマーケティングをする場合、女性Webマーケターがリモートワークで参画することもあるので注目しておきましょう。
ここでは、ワーママがフルリモートになるメリットを解説します。時には「オンオフの切り替えが難しい働き方」と言われることもありますが、依然としてワーママに人気である理由も解説します。
フルリモートにすると自宅をそのまま職場にできるため、通勤時間がゼロになります。
保育園が自宅から近ければ仕事が終わり次第すぐにお迎えに行ける他、自分で登下校できる小学生になれば一切家から出ずに仕事を完結できるのがポイント。
通勤時間は長ければ長いほどロスが生じやすく、急な遅延・渋滞の影響も受けやすくなるので注意しましょう。
「通勤時間さえなければもっと生活に余裕が出るのに…」と感じているときは、働き方を見直してみましょう。
働く場所が自宅であっても業務時間中は仕事にフルコミットする必要がありますが、休憩時間などの合間に小さな家事ができるのが利点です。
宅配便を受け取る、お米を炊いておく、急な雨に合わせて洗濯物を取り込む、など業務に支障のない範囲であれば目をつぶってもらえます。
小学生以上の子どもであれば、隣で宿題をさせるなど大人の目が届く範囲で仕事ができるので夕方以降の時間に余裕をもたせられることも。
仕事が終わって帰宅してから家事をスタートするのでは限界があると感じているときにこそ、リモートワークがおすすめです。
リモートワークであれば、子どもの体調不良に対応しやすいのも大きなメリットです。
通常、体調不良で保育園や学校をお休みしなくてはいけなくなった場合、看病をする親も出勤することができず有給や欠勤での対応になってしまいます。
一方リモートワークであれば子どものすぐ隣で仕事ができるので、相談しながら業務量の調整さえできれば、急変にも対応しやすくなるでしょう。
インフルエンザの登園禁止期間明けまでの間など、「子どもは元気なのに登園はできない」などの期間にもリモートワークが役立ちます。
有給・欠勤による処理が必要なく、体調不良が続いても収入が下がってしまうことがありません。
通勤時間がなく、朝の送りから夕方のお迎えまでの時間を全て仕事に充てられるのであれば、フルタイムでの就労も可能です。
「ワーママは時短勤務しかできない」「子どもが小さいうちは時短勤務にせざるを得ない」というイメージも根強いですが、リモートワークを日常的に使えるのであればフルタイムでも問題ないでしょう。
特にフルリモートの場合、日によって出勤とリモートワークが切り替わることがないため、安定した生活リズムを築くことにもつながります。
収入面だけを考えるとできるだけフルタイムにしたいけれど…という家庭こそ、リモートワークのある会社への転職を検討してみましょう。
フルリモート目的で転職活動するワーママは多いですが、以下の注意点を抑えておかないと、なかなか内定が出なかったり理想の働き方と現実との間でミスマッチを感じたりすることがあります。転職活動を始める前に、以下をチェックしておきましょう。
10年前と比べると圧倒的にリモートワークできる会社の数が増えているとはいえ、フルでリモートワークできる会社はまだまだ少ないのが現状です。
かつ新規採用をしていて、自分のスキルセットとマッチする求人となると、かなり限られてしまうため要注意。
倍率も高く、希望すれば100%転職できるとは言えないのが現状です。
希少性の高い求人だからこそ、希望に合う求人が見つかったらすぐに応募することが欠かせません。
迷ったり選考書類の準備に時間がかかったりしているうちに採用枠が埋まってしまうこともあるため、いつでも応募できる準備は進めておきましょう。
フルリモートで働く場合、一切出社しなくても職場のメンバーと円滑に情報共有できるコミュニケーションスキルや、細かなオンボーディングがなくとも業務に着手できる高い専門知識が求められます。
インサイドセールスであればオンライン営業の経験が、経理であれば深いレベルでの経理・会計知識や実務経験が求められることが多いので注意しましょう。
加えて営業成績や見込み客数など目に見える形での成果も求められるので、ハイスキルでないと応募先の選択肢が限られてしまいます。
フルリモートに憧れる人は多いですが、出社しながら働く以上のパフォーマンスを発揮できるか、改めて検討してみましょう。
業種・職種によっては、そもそもリモートワークができない場合があります。
例えば店舗での接客業や病院・介護施設・保育園など医療・福祉業の場合、現場で働く人はリモートワークすることができません。
コロナ禍によく耳にした「エッセンシャルワーカー」がこれに該当しており、ライフライン維持のために現場で働く人々の職種は原則としてリモートワークできないと考えてよいでしょう。
工場勤務の多いメーカー、スーパーマーケットなど小売業、運送業、農業・漁業・畜産業などもこれに該当します。
リモートワーク目的で転職するのであれば、どの業種にフォーカスを当てるかが重要です。
希望する業種・職種や転職したい企業でフルリモートができない場合は、以下の選択肢を検討してみましょう。フルリモートでなくても働き方を見直すことはできるので、一考の余地があるかもしれません。
フルリモートでなくても、まずはリモートワークできる仕事に転職する方法があります。
リモートワークとオフィスワークとを切り替えながら働く方法は「ハイブリッドワーク」と呼ばれており、曜日ごとにルールを決めている企業もあれば、子どもの体調不良など特別な事情があるときだけリモートワークを認めている企業もあり、運用方法は多岐に渡ります。
「どうしても」のタイミングだけでもリモートワークができれば、無理なく仕事と家庭とを両立させやすくなるでしょう。
また、対面の方が上司・同僚とコミュニケーションしやすく、仕事の成果が出るという人も一定数存在します。
「フルリモート転職できたはいいが業務上の成果を出せなかった」「フルリモートに絞り込んだ結果応募できる企業がほとんどなかった」という結果になるよりは、ハイブリッドワークを視野に入れてみるのがおすすめです。
時短正社員として転職して、勤務時間を減らす方法も有効です。
そもそもの所定労働時間数を減らすことができれば、通勤があっても夕方以降の忙しい時間帯に仕事が食い込んでしまうことがありません。
時短正社員であればパート・アルバイトより高いレベルで業務スキルを身につけることができ、正社員としてのポジションも継続できます。
事情があって労働時間を短くしているとわかるため残業も断りやすく、無理のない範囲で働きやすくなるでしょう。
フレックスなど他の制度を使って働き方を見直す方法もあります。
フルリモートにあこがれているとリモートの有無だけに注目してしまいがちですが、フレックスやその企業独自の働き方を導入している企業が増えており、子育ての有無に関わらず比較的自由に働きやすくなっています。
フレックスであれば家族で役割分担しながら送迎シフトを組んだり、習い事のある日だけ業務時間を調整したりできるので、想像以上に使い勝手がよいかもしれません。
ただし、企業によってフレックスできる時間帯・曜日・対象者に制限があるケースも多いので、事前に制度の詳細を確認しておくことが大切です。
フルリモート転職をしたいときは、転職エージェントに相談するのがおすすめです。
一般的な総合型転職エージェントでは出社を前提とした働き方で提案されてしまうことが多く、リモートワークではなくフルリモート希望となると紹介される求人が一気に少なくなってしまうので注意しましょう。
ワーママ専門の転職エージェントや時短正社員専門の転職エージェントであれば、フルリモートを含む多様な働き方を認める会社の求人を数多く扱っているため、効率よく提案を受けることができます。
もちろん、転職エージェントなので履歴書・職務経歴書の添削や模擬面接・自己分析もフルサポートしてもらえるのがメリット。
働き方の見直しが目的で転職するのであれば、それに見合った専門の転職エージェントを使うのが近道です。
フルリモートの正社員になりたいときは、専門の転職エージェントに相談しましょう。
まだまだフルリモートの求人自体が少ないためフルリモート転職専門の転職エージェントもほとんどありませんが、ワーママ向けのエージェントや時短正社員向けのエージェントであればリモート可な求人を多数取り扱っています。
リアルミーキャリアも、時短正社員を目指すワーママ向けの転職エージェントです。
「リモートワークに切り替えたい」「働き方を見直したい」というワーママが集まるサービスなので、今の働き方に限界を感じている人はお気軽にご相談ください。