育休明け転職は勇気の要る決断であり、無事に内定が得られてホッと一息つく人も多いでしょう。
しかし本当のキャリアがスタートするのは「転職先に入社した後」のことであり、内定はあくまでもスタート地点に立った状態に過ぎません。
育休明け初の勤務が転職先での就業となるため、両立に戸惑うかもしれません。
今回は、育休明け転職に成功した人に向けて、転職先で理想的な働き方を叶えるコツについて解説します。
もくじ
まずは、育児明け転職したばかりの頃につまづきやすいポイントを解説します。
どのような点にミスマッチを感じるワーママが多いのか知り、自分にも起こりそうかイメージしてみましょう。
育休明けは仕事に対するブランクが大きく、休職前は当たり前にできていたことでも迷ったり戸惑ったりすることが多くなります。
「こんなときどうすればいいんだっけ?」と立ち止まってしまったり、「いつもならこんなミスしなかったのに…」という自分でも驚きのミスをしてしまったりすることも多いもの。
人によっては産休育休含めて3年近く現場を離れることがある他、第一子の産休・育休と第二子の産休・育休が重なると5年以上の休職になることもあります。
ブランクが長ければ長いほど「働く」ということに対する感覚を失ってしまいやすく、復職したときの戸惑いも多くなります。
理想的な保育園に合格し、理想的な転職先に入社した場合でも、思わぬ出来事は起こってしまうもの。
想像以上に子どもが風邪をひいてなかなか出勤できなかったり、業務負荷が大きくて自分自身が疲れ果ててしまったりする場合、どうしても仕事との両立に無理が生じます。
「このままでは仕事を続けられない…!」と切羽詰まって退職するケースは多く、思わぬ形でキャリアが断絶してしまうことも。
かといって無理して働き続けて心身のバランスを崩すようでは本末転倒で、キャリアプランの理想と現実の間で悩むワーママも多いのです。
上記で解説したつまづきやすいポイントのうち、まずは「働くことに対するブランク」を払拭する方法を解説します。
仕事がうまくいくと精神的な負担も軽くなり、「転職してよかった!」という実感ややりがいを得て働くことができるので参考にしてみましょう。
転職先から特別な事前準備は要らないと言われるかもしれませんが、「あえて言うなら何の勉強をしておくとよいでしょうか」と食い下がってみてもよいでしょう。
特に転職先の業界・企業については、可能な限り情報収集しておくのがおすすめです。
業界に関する情報収集をしたいときは、関連するニュースや直近の動向をチェックしたり、同業他社の新製品や傾向を見ておくだけでも効果的です。
企業に関する情報収集をしたいときは、公式HPを読み込んだり主力製品について学んだりするのがよいでしょう。
長年その業界・企業に在籍しつづけている人のレベルになれずとも、簡単な用語やトレンドを知っているだけでも社内コミュニケーションが取りやすくなります。
休憩時にちょっとした会話をする際にも役立つので、隙間時間を見つけて情報収集してみるのがおすすめです。
自宅で簡単なタスクに取り組み、既存の知識をもう一度見直しておく方法があります。
例えばExcelで簡単なマクロを組みながら使い方を思い出してみたり、PowerPointを使って好きなことを1枚の資料にまとめてみたりするのがおすすめです。
普段何気なく使っていたツールでも、久しぶりに触ると戸惑ってしまうことが多いので、思い出すような感覚で操作しておきましょう。
その他、簡単なプレゼンテーション、自己紹介、営業トークの練習をするのも効果的です。
自信を持てるレベルに到達できなくても、少しの練習が会話をスムーズにすることがあります。
転職先で研修やオンボーディングが用意されている場合、転職直後のタイミングにこそフル活用するのがおすすめです。
参加できる研修があれば都合のつく範囲で全て参加したり、勉強会や社内セミナーに出席したり、積極的な姿勢を示すのがポイントです。
わからないところがあれば個別に質問していければ、「この人はやる気がありそう」「自ら質問してくれる姿勢があれば早く伸びていきそう」と評価してもらえます。
上司や先輩社員から追加で指導してもらえる可能性も高くなり、結果的に自分のためになるのもメリットのひとつ。
入社直後は一番質問しやすいタイミングでもあるので、遠慮せず頼れるものはどんどん頼っていきましょう。
上司から細かくフィードバックをもらうなど、見直しのポイントを増やすのも効果的です。
会社がフィードバックや1on1ミーティングを用意している場合もありますが、不明点・疑問点があればそれを待たず質問しに行ってもよいでしょう。
相手の手が空いているタイミングであれば親身に教えてもらえる可能性が高く、職場で必要なスキルや知識を早く習得することにつながります。
結果、仕事で貢献できるタイミングが早くなり、やりがいやモチベーションにつながるかもしれません。
反対に、フィードバックしてもらわないまま時間だけが過ぎると、今の自分の立ち位置がわからなくなって迷走しやすくなるので注意しましょう。
面接時・内定面談時・入社時など、細かく何度も自分のスキルセットを伝えておくのが大切です。
「自分はこんなことが得意」「こんな経験があるのでこんな分野で貢献できる」「反対にこんな業務は自信がない」とあらかじめ伝えておくことで、適性に合った仕事を命じてもらえる可能性があります。
得意な分野ではどんどん仕事を任せてもらい、苦手な分野では手厚くオンボーディングしてもらう、など理想的な配分ができるのもメリット。
面接担当者に伝えたことが必ずしも現場の上司に伝わっているとも限らないので、配属先が決まり次第面談の時間を設けてもらうのもおすすめです。
次に、上記で解説したつまづきやすいポイントのうち「仕事との両立に無理を感じる状態」を払拭する方法を解説します。
プライベートの負担を減らして仕事への集中度合いを高めたいときにご参考ください。
育休明け転職の場合、保育園の入園と転職先への入社が被ってしまうことが想定されます。
保育園入園間もない頃は「慣らし保育」があり、最短1時間程度でのお迎えが必要になるため、当然ながら働くことができません。
できる限り慣らし保育明けから勤務を開始できるよう転職先に相談しておき、無理なく入園と入社を同時に進められるよう対策しておきましょう。
なお、慣らし保育が明ける頃には子どもが保育園生活に慣れていることが多く、勤務時間に合わせて預かり時間を設定できます。
想定している働き方があれば、事前に職場と共有しておきましょう。
「どんどん昇進・昇給を目指していきたい」など将来的なキャリアに関することでも、「子どもが小さい頃は無理なく働きながら知識を経験を伸ばしていきたい」など直近のビジョンに関することでも構いません。
特に「どんなに遅くとも〇時までに会社を出ないとお迎えに間に合わない」「月曜日だけは絶対に残業できない」など、後からは相談しづらい生活に関することは早めに伝えておくのがポイントです。
最初はお互いに手探りな状態からの勤務開始になりますが、相談しづらいことこそ早く相談しておきましょう。
ベビーシッター・ファミサポ・病児保育など、登録から利用までに時間のかかるサービスは早めに申請してしまうのがおすすめです。
いざ子どもの体調が悪くなって病児保育を使おうとしたとき、「事前にお子様を連れての面談が必要です」と言われてしまうのは「あるある」な事例なので要注意。
使いたいタイミングで使うことができず、結局転職先に無理をいってしばらく休むなど、両立の妨げとなってしまうケースも少なくありません。
将来的に使う可能性のあるサービスがあるときは、登録を済ませておきましょう。
夫や両親など近しい親戚のスケジュールを把握しておき、急なお迎え要請や土日祝の保育園イベントに備えておく方法もあります。
同様に自分のスケジュールも共有するなど工夫し、「今日は誰だったら動けそうか」を可視化しておくとよいでしょう。
また、事前に急な依頼をする可能性があることに理解を得ておいたり、対応できないときの選択肢を挙げておいたりするのも効果的です。
入園や転職が立て続く時期はどうしても視野が狭まってしまいがちですが、家族で協力して乗り越えられるよう対策しておくのがポイントです。
転職先にテレワークやフレックスタイム制度がある場合、転職間もない時期からフル活用するのがおすすめです。
「入社〇ヶ月後までは使えない」など特別な就業規則がない場合、テレワークやフレックスを使った働き方に早く慣れてしまった方がよいでしょう。
問題なく求められているパフォーマンスを発揮できていれば柔軟な働き方も認められやすく、働きやすい土壌が整います。
反対に、初めの頃に遠慮してテレワークやフレックスを理由なく避けてしまうと、出社が前提の働き方になりやすいので注意が必要です。
さまざまな対策を試しているのに、どうしても転職先への就業に無理が生じてしまうことがあります。
下記では、育休明け転職後に両立できないと感じたときの対処法を解説します。
仕事との両立に難を感じていることを素直に相談し、働き方を変える方法です。
時短勤務にしてもらう、担当の仕事内容を変えてもらう、部署や配属先オフィスを変えてもらう…など自分ひとりではできない決定ができるのが大きなメリットとなります。
人材マネジメントする側の後押しをもらえるのでその後の働き方に後ろめたさを感じることもなく、かつ就業も継続できるのがポイント。
ただし、転職間もない時期だと時短勤務できないなど、会社ごとに規則が設けられてるケースも多いです。
相談すれば100%受け入れてもらえるとも限らないので、どうしても無理だと思ったときは早めに相談するのが大切です。
業務に必要なスキル・知識を早めに習得し、スキルアップして業務効率を上げる方法があります。
スキルが身についていればひとつのタスクをこなすまでの時間が短くなり、同じ就業時間でもできる業務量が大きく変動します。
終わらなかった仕事を人に任せて帰る後ろめたさから解放されたり、早く仕事が終わった分残業のリスクが減ったりするのもメリット。
スキルアップだけでなく業務効率化ツールを使うなどさまざまな工夫が考えられるので、今ある非効率を探すところから始めましょう。
家庭を見直し、両立の道を探る方法もあります。
両親の協力を得ていなかった場合は相談して週1~2日だけでも子どものお迎えを頼んだり、家事代行やミールキットを使って家事を時短したり、さまざまな手法が考えられます。
特に家事の時間は短縮すればするほど子どもや仕事に割ける時間が多くなるので、何かと忙しいワーママには必須の対策と言えるでしょう。
とはいえ、育児時間をどこまで削りたいかは人により異なります。
「子どもと遊ぶ時間は最低でも毎日1時間はほしい」と考える人もいれば、「保育園の送迎はできるだけ誰かに任せたい」という人もいるので、自分の理想を諦めない道を探るのが大切です。
どうしても物理的に両立が難しそうだと判断できる場合、再転職するのもひとつの方法です。
育休明け転職したばかりなので再転職するのは非常にハードルが高く感じられますが、実際には心理的ハードルの高さだけであるケースも少なくありません。
経験や実績のある人であれば、育休明け転職できたのと同様に再転職も成功する可能性があります。
転職先に対して申し訳ない気持ちが出ることもありますが、自分にとってどちらがストレスのないキャリアかシミュレーションしてみることが大切です。
最後に、理想的な育休明け転職のコツを解説します。
これから育休明け転職を目指す人は下記を参考にしつつ、転職活動時だけでなく入社して以降のことも考えて対策していきましょう。
育休明け転職をする際、背伸びしすぎてしまうのは危険です。
具体的には、スキルや経歴を盛って伝えてしまったり、できるかどうかわからないことを「できる」「努力します」と伝えてしまったりするのは避けましょう。
育休明け転職は「ブランクがある」「小さな子どもを抱えるワーママである」などネガティブ面ばかり目立ちやすく、転職できなかったらどうしようというプレッシャーもあるのでつい背伸びして自己アピールしてしまいがち。
しかし無理な転職活動は入社以降のミスマッチやギャップにつながりやすく、自分にとっても転職先企業にとってもメリットがありません。
できないことは素直にできないと伝えるなど工夫し、背伸びしすぎない転職活動にしておきましょう。
自分の経験を活かせる業種・職種・企業に転職するのもおすすめです。
既に経験のある分野で転職した場合、産休・育休前の知識を活用できるケースが多いです。
会社が変わっても基本的な知識は一緒で学び直しが少なくなったり、基本的な専門用語を理解できているため社内コミュニケーションが早くなったりするのもメリットとなるでしょう。
育休明け転職に合わせて情報収集するときも、「何から調べればいいかわからない」という状態になりません。
職場で即戦力になれるからこそやりがいやモチベーションを維持できるなど、ストレスフリーになれるのもポイントです。
事前に家族の協力を得ておくことで、お迎えや家事を分担できることが多いです。
特に生活を一緒にしている夫や同居の両親には、転職後の自分のスケジュールを細かく共有しておきましょう。
また、保育園入園に伴う子どもの様子や保育園の先生との会話も逐一共有し、家族全体で同じ情報量を持っていられるようにするのもおすすめです。
そうすることにより、「誰でも保険証の位置がわかって子どもを病院に連れていける」「誰でも保育園の準備物がわかって支度ができる」などの状態にできます。
育休明け転職をこれからするのであれば、ワーママ転職に強いエージェントを利用するのがおすすめです。
キャリアアドバイザーがワーママのキャリア形成に理解があるため、転職後に無理しない働き方や子育てとの両立について正直に相談しやすいのがメリット。
入社直後から時短勤務できる企業や、子どもの慣らし保育が終わってから入社できる企業も探してくれるので、自分で直談判しつつ交渉する手間がありません。
当然、通常の転職エージェントと同じく選考対策や自己分析サポートもしてくれるので安心です。
育休明け転職に成功しても、転職先で無理なく仕事と両立できるかは別問題です。
転職中や復職後の対策が不十分だと、ミスマッチを感じたり思わぬところで両立が不可能になったりすることがあるので注意しましょう。
リアルミーキャリアでは、入社後の活躍も視野に入れたワーママ転職をサポートしています。
「初めてのワーママ転職で心配」という人はもちろん、「過去に失敗した経験があって不安」という人も支援しているのでお気軽にご相談ください。