転職するため求人サイト等をチェックしていると、IT業界の募集が多いことに気がつきます。求人数が多いため自分の希望とマッチする会社が見つかりやすく、「未経験OK」を謳う求人も増えているので転職先にIT業界を選ぶワーママも増えました。
しかし、「完全未経験でIT業界に転職するのは不安」「プログラミングなど特殊なスキルがないとIT業界は難しそう」と考える人も少なくありません。
今回は、ワーママが未経験からIT業界に転職する方法を解説します。効率よく転職するためにアピールしたい項目にも触れるので、参考にしてみましょう。
もくじ
まずは、IT業界に対する一般的なイメージと実情を紹介します。「イメージ通り」なこともあれば、「意外にも思い込みなだけだった」ということもあるので必見です。
IT業界に対し、「20代30代を中心とした会社が多くて平均年齢が低い」「若い人が多くて自分と年代が合わない」と感じる人は多いです。
特にワーママが転職する場合、若い人ばかりの会社では子育てに対して理解がないのでは?と心配する人が少なくありません。子育て経験のない若い人が多いと、子どもの体調不良や学校イベントへの参加に理解が得られず、働きにくいのではと感じてしまいます。
しかし、実際には他の業界と比べても同程度の平均年齢です。
業種 | 平均年齢 |
鉱業 | 38.3 |
製造業 | 40.1 |
建設 | 40.6 |
銀行・保険 | 41.2 |
私鉄・バス | 4.27 |
海運・倉庫 | 37.9 |
電力 | 41.0 |
ガス | 42.1 |
百貨店・スーパー | 45.1 |
商事 | 41.2 |
新聞・放送 | 41.7 |
ホテル・旅行 | 39.9 |
情報サービス | 40.5 |
飲食・娯楽 | 40.8 |
医療施設 | 36.8 |
(※)政府の統計窓口e-Stat「賃金事情調査 産業別性別構成比、平均年齢及び平均勤続年数」より作成
上記の「情報サービス」業界における平均年齢は40.5歳であり、他業界と比べても若すぎることはないとわかります。実際の平均年齢は企業によりさまざまですが、「IT業界=必ず平均年齢が若い」とは限らないので注意しましょう。
学生が立ち上げたベンチャー企業やスタートアップ企業は平均年齢が若くなる傾向にありますが、その分柔軟な働き方ができたり評価制度が実力主義であったりすることが多く、デメリットばかりとも言えません。平均年齢だけを気にしすぎず、「自分の理想に合う企業であるか」を第一に応募先を選定するのがおすすめです。
「IT業界は残業が多くて過労になりがち」「ワークライフバランスなんて二の次の激務な働き方が求められる」など、IT業界に対するネガティブなイメージが根強いのも現状です。
子育てや家事との両立が命題となるワーママであれば、当然残業時間にも制限がつきまといます。残業できないとキャリアアップできなかったり、そもそも残業を前提とした業務量になっていたりする会社は、避けた方がよいでしょう。
実際にIT業界の残業時間は、他業界と比較して少し長い傾向にあります。
(※)厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)」より作成
情報通信業における平均残業時間数は月あたり14.7時間で、「運輸業・郵便業」「製造業」に次いで3位であるとわかります。前年比9%増であるため、残業が増えている傾向にあることもわかりました。
実際にIT業界の残業時間数を伸ばしているのはITエンジニアなど一部の技術職であることが多いです。ITエンジニアは人手不足が叫ばれている職種でもあり、どうしてもひとりにかかる負担が増えてしまいがち。プロジェクトの進捗状況次第では残業もやむを得ないというシーンが多く、どうしても働く時間が長くなってしまいます。
一方、同じIT業界でもITエンジニア職以外であれば労働時間が長くなるリスクを下げられます。「IT企業の総務人事部勤務」「IT企業の経営企画部」などIT系技術職を避けて転職し、残業しすぎなくて済むよう対策するのもおすすめです。
IT業界と聞くと、「プログラミングスキルが必須だろう」「トレンドも最新技術も刻一刻と変化していくので勉強するのが大変そう」というイメージを持つ人も多いです。実際にIT分野の技術革新は目覚ましく、少しのブランクが命取りになったり再度スキルセットを習得したりするのが大変であるのは事実です。
しかし、技術についていくための勉強が必要なのは、他の業種でも変わりません。
労務管理職であれば最新の労働法について、マーケティング職であれば最新の分析ツールや消費者ニーズについて詳しくなるため常に勉強が必要です。他の職種でも、自分の仕事に必要な知識は必ず習得しなくてはいけないため、「IT業界だけが特別な難易度である」ということはないのです。
業界知識をキャッチアップする大変さは、異業種・異職種に転職するのであれば必ずつきまといます。ある程度慣れてしまえば情報収集も効率良くできるようになるので、転職を思い留まる必要はないでしょう。
ここでは、未経験でもIT業界に転職するワーママが多い理由を解説します。単純に求人数が多くて転職しやすい以外の理由もあるので、目を通してみましょう。
(※)引用:総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況より
IT業界には、テレワークやフレックスタイム制など柔軟な働き方を認めている企業が多いです。上記の「業種別テレワーク実施率」を示すグラフでも、「情報通信業」が圧倒的1位の55.7%を記録しています。IT業界のうち過半数がテレワークを導入済みであり、在宅勤務やコワーキングスペース勤務ができることがわかります。
IT業界がテレワークに積極的な理由として、下記が挙げられます。
【IT業界がテレワークに積極的な理由】
テレワークを実現するためのツールは日々進化しており、Zoomなどのオンラインミーティングツールやプロジェクト管理ツールを活用すれば、離れた場所にいても無理なくコミュニケーションできるようになりました。
医療・建設・製造のように現地での活動が必須な職種でもなく、業務内容とテレワークの相性が良いためIT業界のテレワーク化は近年急速に進んでいます。
また、フレキシブルな働き方を希望する人が増えているため、テレワークに対応した方が優秀な人材を確保・定着させやすいという狙いもあります。実際にワーママも「テレワークやフレックスで働きたい」というニーズが多く、テレワーク対応済みの企業であれば雇用の幅が広がります。
新型コロナウイルスなど感染症対策になること、地震など自然災害が発生したときにテレワークできた方がリスクを分散させやすいことなども、テレワーク導入の後押しとなりました。
IT業界はもともとフリーランスや副業社員を受け入れて成長してきた背景があり、多様な働き方に対する考え方が柔軟なのが特徴です。例えばフリーランスの場合、プロジェクト単位で業務委託契約を締結するのが一般的であり、スポット的な採用も多いです。
副業を抱えている社員でも優秀であれば積極的に採用してくれたり、反対に企業側が副業を推奨したりすることも多く、ダイバーシティが進んでいます。
結果、時短勤務を希望するワーママなども参入しやすい業界となりました。お迎えの都合があって時短勤務しかできない人、ワークライフバランスを第一に考えて残業をしたくない人でも、IT業界であれば働きやすい環境が整っています。
IT業界では、勤続年数を重視した年功序列型の人事評価ではなく、実力・実績・スキル重視の人事評価をするのが一般的です。若くても高度な専門スキルを持っていて積極的な開発ができる人であれば、早い段階で高年収を稼ぐことができます。反対に、マネジメントスキルやプロジェクトリーダー経験を活かしてスキルアップしていく人も多く、キャリアパスも多彩です。
マミートラック(通称:マミトラ)に突入してキャリアとの両立に悩むことの多いワーママは、実力主義の会社に身を置いてみるとよいでしょう。実力さえ伴っていれば時短勤務でも昇進・昇格を目指せるので、やりがいやモチベーションにつながります。
「ワーママでいるうちはなかなか評価されない」「フルタイムでないと昇進できない」などのジレンマを抱えている人は、転職先の評価体制をチェックしてみるのがおすすめです。
(※)引用:矢野経済研究所「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2022年)」より
上記グラフでは、年々IT業界の市場規模が伸びているとわかります。急速に進むIT化や業種・職種を問わないDXニーズの増大、IoT技術の進歩などにより、ITを得意とする企業のニーズも伸びるようになりました。今ではITエンジニアなど技術職が不足するレベルにまで需要が大きくなり、IT業界は完全なる「売り手市場」になっています。
結果、求人数が増え、未経験や時短勤務希望のワーママでも転職しやすくなりました。
また、IT業界に勤務しているとIT関連技術に関する知見や専門技術を得やすくなり、今後のスキルアップにも有益です。今後の時代に必要とされる経験や知識が身につくからこそキャリアアップも叶い、やりがいを実感しながら働けます。
ここでは、IT業界に未経験転職するときにアピールしたいことを解説します。選考対策としても有効なので、チェックしてみましょう。
IT業界での勤務自体は初めてでも、IT業界でよく使われているツールの使用経験がある人は多いです。例えばオンラインミーティングツール(Zoom・Google Meetなど)、チャットツール(Slack・Chatworkなど)、プロジェクト管理ツール(Notion・Backlogなど)を使ったことがある人は、履歴書・職務経歴書に記載しておくとよいでしょう。
その他、職種は変えずに業種だけ変える場合も、使用したツールを記載しておくのがおすすめです。例えば別業種の人事職からIT業界の人事職へキャリアチェンジを目指す場合、人材管理ツールや労務管理ツールの使用経験をアピールするのが近道です。
IT業界ではシーンに応じて多種多様なツールを使い分けることが多いです。技術に関する専門知識がなくとも、最低限ツールを操作できるだけの経験があると認められれば、採用のハードルが下がります。
IT業界に関する知見・知識をアピールする方法もあります。当然長くIT業界に在籍し続けている人と比べれば知識レベルは低くなりますが、付け焼刃でも少し勉強してきた姿勢をアピールするとよいでしょう。日経オンライン・ビジネス誌・ネットニュースなど手軽に情報をキャッチアップできるツールを使うのも便利です。
また、最近ではAIやChatGPTなど流行りのツールについてチェックしておくのもおすすめです。最低限「ChatGPTとは何か」「どんな活用方法があるのか」を知っておくだけでも、面接時の話が膨らむかもしれません。
応募先企業に関する研究は、未経験であれば尚更欠かさないようにしましょう。主な商材・大まかな歴史・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や行動指針など、基本的な項目をチェックするだけでも構いません。そのうえで自分のポリシーと一致する部分や理想だと感じた部分について語れるようにしておけば、志望動機に説得力を持たせることができます。
反対に、完全未経験なのに企業分析すら不十分である場合、本当にやる気があるのか疑われてしまうことがあるので注意しましょう。例え専門知識が不十分でも、やる気や志望度の高さをアピールするためには企業分析が必須です。
完全未経験からIT業界に転職したいワーママは、できる限り転職エージェントを使うよう意識しましょう。下記では転職エージェントを使った方がよい理由に触れていくので、ご参考ください。
未経験からIT業界に転職したいワーママが転職エージェントを使うメリットは、下記の通りです。
【未経験からIT業界に転職したいワーママが転職エージェントを使うメリット】
特にポイントとなるのは、一般向けの総合型転職エージェントではなくワーママ特化型転職エージェントを使う点にあります。
総合型転職エージェントで転職できるワーママも多いですが、フルタイム就労やフル出勤が前提となっている求人が多いので注意しましょう。必ずしも子育てと両立しやすい環境になっているとは限らず、むしろ配慮されている求人の方が少ないため、応募先の選定に時間がかかります。最悪の場合、転職してからミスマッチに気づくこともあります。
一方、ワーママ特化型転職エージェントであれば、ワーママ向けの時短求人を紹介してもらえます。ワーママならではのキャリアプランを一緒に可視化してくれるので目指す方向性が決まったり、ワーママとして転職した場合の市場価値を診断してもらえたりするのもメリットです。
もちろん、総合型転職エージェントと同じく、履歴書・職務経歴書の添削、自己分析・業界分析・企業分析サポート、模擬面接、退職相談なども受け付けてくれます。自分の属性に合った転職エージェントを使うことが、成功と効率化の秘訣と言えるのです。
転職エージェントでサポートしてもらえることは、下記の通りです。
【転職エージェントでサポートしてもらえること】
総合型転職エージェントでもワーママ特化型転職エージェントでも、基本となるサポート内容は変わりません。ただし、サポートの種類が変わることが多いので注意しましょう。
例えばワーママ特化型転職エージェントの場合、キャリアプランも子育てとの両立や子どもの巣立ちに合わせたプランニングにできることが多く、将来の見通しを立てやすくなります。
その他、テレワークやフレックスに対応できる求人を紹介してくれる、産休・育休から復職せず転職する場合のプランニングができる、などのメリットも多いです。
特に産休手当金・育休給付金周りの手続きや保育園申請と転職活動の両立など、プライベートも鑑みた転職相談ができるのが大きなメリット。転職するタイミングに迷っているワーママや、過去に転職を失敗した経験のあるワーママでも安心です。
ワーママにおすすめな転職エージェントの特徴は、下記の通りです。
【ワーママにおすすめな転職エージェントの特徴】
ワーママならではのニーズを理解している転職エージェントであれば、時短求人や未経験歓迎求人の取り扱いも多くなります。実際に未経験でIT業界に転職する場合でも、時短勤務できる求人が多いのは圧倒的にワーママ特化型転職エージェントと言えるでしょう。
また、応募先企業の産休・育休取得実績やワーママ比率などのデータが揃っていれば応募先の選定もしやすく、今後第2子以降を検討しているワーママにもおすすめです。忙しい合間を縫っての転職活動となるため、チャットやLINEなどを使ってオンラインで相談できる転職エージェントを探す方法もあります。
IT業界は急成長中であり、今後の時代に必要とされる経験や知識が身につくこと、求人数が多く売り手市場であることが特徴です。多様な働き方に寛容な業界なので未経験でも時短転職しやすく、近年ワーママからの人気も高くなりました。
ワーママ特化型転職エージェント「リアルミーキャリア」では、IT業界で時短勤務したいワーママを応援しています。具体的な求人紹介や選考対策も支援しているので、ひとりで転職するのが不安な方はお気軽にご相談ください。