経理職の中途採用は、経験年数や過去の担当業務が重視されやすいのが特徴です。
効果的に経験をアピールすることができれば、時短勤務を希望するワーママでも内定を得られるでしょう。
事前に万全の面接対策をしていれば、当日の受け答えで慌ててしまうこともありません。
今回は、経理職として転職したいワーママに向け、転職面接を成功させるコツを解説します。
あらかじめ整理しておくべきポイントにも触れるので、ご参考ください。
もくじ
まずは、そもそも転職面接前の対策が欠かせない理由を解説します。
ワーママに限らず誰であっても面接対策は必須とされているので、事前準備の大切さを理解しておきましょう。
面接は求職者の職務適性・能力・性格・意欲を確認する場であり、企業の採用担当者に評価される場でもあります。
面接での受け答えは内定可否に直結するため、事前に伝えたいことを整理しておくとよいでしょう。
万全の対策ができていれば落ち着いて受け答えしやすく、自信につながります。
人前でもほとんど緊張しないタイプの人であっても、伝え方の工夫ひとつでより好印象を与えることができるので、対策しておくことをおすすめします。
面接では、想定していなかった質問が飛び出してくることも。
事前に回答を作っておくだけでは対応しきれない問いもあり、慌ててしどろもどろになってしまう人は少なくありません。
しかし、事前に自己分析できていればその場で回答を組み立てるなど、臨機応変な対応が可能です。
戸惑いながらの回答でも、自分の考えを持っていることやキャリアの軸があることが伝われば、大きく印象を損ねることはありません。
面接の前には事前の対策を練っておき、可能な限りスムーズに受け答えできるようにしておきましょう。
ワーママが転職する場合、子どもがいなかった時代の転職に比べて配慮事項が多くなりやすいのが特徴です。
「子どもが小学生になるまで時短勤務を取得したい」「残業・土日祝日の勤務・出張を免除してほしい」など、面接時にお願いしなくてはいけない項目も増えてしまいがち。
無理なく長期的に働くためには大切な要素ですが、かといってお願い事ばかりでは採用時に印象を損ねてしまう可能性が出てきます。
しかし、理想的なキャリアプランや時短勤務でも活躍できる理由と絡めて伝えることで、一方的なお願いにならずに済むのもポイントです。
「時短勤務でも十分に活躍してくれそう」「残業なしでもパフォーマンスが高そう」などポジティブな印象を与えられます。
伝え方を事前にイメージしておくなど対策し、理想に近い転職を叶えていきましょう。
ここでは、経理職が転職面接前に整理しておきたいことを解説します。
実際に転職面接で聞かれやすいことでもあり、効果的に伝えれば能力・経験をアピールしやすくなるので必見です。
仕訳・経費精算・小口現金の取り扱い・伝票作成…など、担当経験のあるルーティンワークを書き出しておきましょう。
面接は時間が限られており、当日全てを伝えるのは難しいため職務経歴書などに箇条書きしておくのがおすすめです。
気になる業務があれば面接時に深く踏み込んで質問してもらえるので、どのような仕事だったか詳細を話しましょう。
決算残高の確定・税金や社会保険料の計算・総勘定元帳や事業概況書など決算書類の作成など、決算に紐づいて発生する業務についても整理します。
一口に決算業務と言っても、月次決算・年次決算の取りまとめなのか、開示資料の作成まで関わっているのかなど、業務範囲が異なるので注意が必要です。
一通りの経理業務をひとりで担当していたのか、特定の勘定科目や業務だけを抜粋して担当していたのかなど、担当分野の範囲に触れることも大切です。
正確に伝えておかないと、「仕訳の経験があると聞いているので丸ごとよろしく」と依頼されてしまい、知識・経験とのギャップが出ることも多いです。
後で伝えなおしてトレーニングを受けることもできますが、計画通りの教育・研修にならずお互いにとってデメリットとなるため注意しましょう。
同じ経理職でも、業界によって独特の業務が生じることがあるので整理しておきます。
例えば製造業の場合、製品ごとに製造コストを可視化する原価計算が必須であり、時には研究開発やライセンス取得に関わる申請・処理も要されます。
不動産業界は物件売買や賃貸に関わる税金処理が多い、保険業では準備金の計上が定められている、など特殊な業務も生じるので注意しましょう。
転職先と業務内容が被っている場合は積極的にアピールし、反対に経験がない分野は経験がない旨はっきり伝えつつ別の得意分野でフォローするなどの対策が必要です。
経理業務のフローを構築してマニュアル化したり、経費精算システムを抜本的に変更したり、業務設計に関する経験があれば書き出します。
ルーティンワークだけでなく積極的な業務効率化に向けた企画ができる人だと評価してもらえれば、業務の合理化を目的に採用される可能性も高まります。
また、経理の観点で経営を支える「経営管理」の経験があれば、数字で会社の成長をバックアップする人材として評価してもらえるでしょう。
IPOや合弁会社の設立・MAなどの経験もあれば、今後同様の業務が発生するかもしれない会社にメリットが生まれます。
小規模な企業で経理の業務量がそれほど多くない場合、経理だけでなくバックオフィス全般を依頼されることがあります。
経営層の宿泊・新幹線・航空券手配やお歳暮の準備など秘書系の仕事や、ハローワークや年金事務所への社会保険手続きなど労務系の仕事を依頼されることも少なくありません。
もし経理以外で担当できる業務があれば、同時に伝えておくとよいでしょう。
付加価値のある経理人材として評価されやすく、フレキシブルな仕事ができるのが魅力となります。
経理職として転職する際の対策に加え、ワーママであれば自身の働き方や私生活とのバランスについて対策しておくことも重要です。
なるべく早く内定がほしいからと無理な条件を飲み込んでしまうと、入社してから大きなギャップになってしまい、勤続できなくなることもあるので注意しましょう。
面接時に効果的な相談・交渉をするためにも、事前の条件整理をおすすめします。
求人票に掲載されているフルタイム向けの就労時間、自宅から勤務地までの通勤時間、保育園・学童の開所時間を比較し、働ける時間を逆算します。
結果、フルタイムで就労できるのか時短勤務にする必要があるのか、イメージしておきましょう。
時短勤務を希望する場合、何時から何時まで働けるのか正確に伝えるのがポイントです。
残業の有無は職場によって異なるので、「残業があって遅くなっても〇時までには退勤したい」と伝えることも大切です。
転職理由と志望動機を整理し、「この会社だからこそ応募した」と説得力を持たせられる伝え方をするのが内定への第一歩です。
ただし、ワーママの場合、ワークライフバランス向上目的での転職理由・志望動機になりやすい点に注意しておきましょう。
ワークライフバランスを重視して転職を検討するのは自然なことですが、それだけを理由として伝えてしまうと、企業側の人材募集背景とのミスマッチが生じます。
企業側は「自社に貢献してくれる優秀な人材」を募集するために求人を出しているので、個人のワークライフバランス向上を第一に考えているわけではありません。
採用した後本当に自社に貢献してくれるのか、働きやすい会社であればどこでもよいのでは、という疑念につながってしまいます。
疑念を払拭できるアプローチができなければ、結果として不合格になってしまうことも多いのです。
子育てや家事との両立だけでなく、自分が経理職としてキャリアアップするための転職理由・志望動機を考えておきましょう。
時短勤務を申請する場合、希望年収も同時に伝えましょう。
会社ごとに時短勤務者向けの給与規定が異なるため、求人に掲載されている年収を単純に時間で割った分がもらえるとは限りません。
事前に相談しておかないと、いざ内定が出て入社条件交渉をするときに「想定より100万円も低かった」というミスマッチが生じてしまいます。
内定が出てから金額面の交渉をすることは難しいので、書類選考もしくは面接の際に伝えておくことをおすすめします。
経理職の場合、決算月の前1ヶ月から後2ヶ月後は特に忙しくなるのが特徴です。
年末調整をする11月から1月にかけても忙しくなるので、会社によっては繁忙期と閑散期の差が大きいこともあります。
上場企業で決算情報の開示をしなくてはいけない場合、「閑散期は残業なしで帰れるけれど、繁忙期になると休日出勤も多い」というケースも少なくありません。
非上場企業や中小企業であれば大幅な残業が生じないことが多いですが、事前に確認しておくのが理想です。
企業分析の際に残業の有無を確認したり、面接時に繁忙期対応が可能か伝えたりしながら、入社後のミスマッチを防ぐ対策をしておきましょう。
最後に、経理職の時短ワーママが転職面接時にアピールすることを紹介します。
直接聞かれることの多い項目でもありますが、聞かれない場合でも違和感のない程度に織り交ぜて伝えることができれば、効果的なアプローチになるかもしれません。
経理職と一口に表現しても、実際の業務内容は多岐に渡ります。
実務経験年数と知識の広さが比例しない職種でもあるので、まずは経験のある業務を正確に伝えるとよいでしょう。
深く広く一通り自分だけでできるのが理想ですが、なかには業種特有の経理処理もあり、自発的に学んでいく姿勢が大切です。
日々の業務が立て込んでいるとつい目の前のことばかりに集中してしまいがちですが、経理はあくまでも現場を支援する部署であることを忘れないようにしておきましょう。
営業・企画・開発・マーケティング職のように、クライアントや顧客と直接関わる部署を支援する姿勢を忘れず、業務を効率化していく必要があります。
そのため、「現場からの経費申請が遅い」「再三通達しているはずの社内マニュアルを守ってくれない」などの課題があったとき、安易に現場を敵視してしまうのはNG。
ボトルネックを一緒に探しながらより便利なツールを探るなど、課題解決に向けて動ける経理職であることをアピールしていきましょう。
転職理由・志望動機は、可能な限りキャリアアップやスキルアップを目的にした内容になるようアレンジしていきましょう。
「現職では月次決算までを自社対応していて、年次決算は税理士の助けを借りている。転職先では年次決算や納税処理も担当してスキルアップしていきたい」
「現職は大手企業だからこそ担当分野が細分化されている。経理のことであれば一通りできるという状態を目指したくて、裁量の大きいベンチャー企業を志望している」
など、現職にはなくて応募先では叶えられることを織り交ぜながら転職理由・志望動機にしていけば、説得力を大幅に増すことができます。
時短勤務を希望する場合、限られた時間で業務をこなす工夫が欠かせません。
ExcelやPowerPointなど業務に必須のツールを使いこなせることや、タスクやスケジュール管理の面でさまざまな工夫を凝らしている点を伝えておきましょう。
働ける時間が短くても極端にパフォーマンスが下がることがないとわかれば、採用してもらいやすくなります。
もし夫や親戚を頼れる場合、日によっては残業・休日出勤ができる旨を伝え、会社側に協力する姿勢を示す方法もあります。
ただし、確定でないことを無理して伝えるのは禁物。後で自分の首を絞める結果になりかねないので、できる範囲のことだけを伝えましょう。
過去にどんな会計ソフトを使っていたか伝え、扱えるツールを示すのも大切です。
転職先でも同じツールやソフトウェアを使っていれば、必要最小限の指導で実務を任せることができるので、即戦力と評価してもらえます。
また、オンラインミーティングツールやチャットなど、コミュニケーションに役立つツールの利用経験を伝えておくのもよいでしょう。
経費精算システムや給与管理システムの扱いに長けていれば、人事・労務・総務部門との連携もしやすくなります。
「〇〇というツールを使って経費精算を簡略化していた」「マニュアルは〇〇を使って社内共有していた」など具体的な利用イメージが伝わるアピールができれば、業務効率化に向けたアプローチも叶います。
今後5年10年の間に経理職としてどうキャリアアップしていきたいか、展望を固めておきます。
まずは転職先での可否を考えず、個人の考えとして何が理想か言語化していきましょう。
そのうえで、転職先の特徴・魅力と照らし合わせ、理想が叶うか判断します。
応募時に優れた能力があるだけでなく、入社後の成長も期待できそうだと評価してもらうことができれば、ワーママでも時短勤務でも転職できます。
キャリアプランだけでなくライフプランを語り、オンオフともに充実した生活を目指していると伝える方法もおすすめです。
どちらも組み合わせて伝えるのであれば、「子どもが小学生になったらフルタイムに戻していきたい」「子どもの手が離れるまでに経験を積みつつ40代以降は管理職を目指したい」とやる気をアピールする方法もあります。
また、「平日は仕事と子育てで忙しいが、土日の休みは趣味のサーフィンを楽しみたい」など、趣味・特技について語るのもよいでしょう。
ワーママが経理職として転職する場合、ワーママとしての面接対策と、経理職としての面接対策の両方が求められます。
ワークライフバランスだけを転職理由・志望動機にしないよう配慮しながら、選考先からの評価もキャリアアップも得られそうな会社を選定していきましょう。
リアルミーキャリアでは、経理職ワーママの転職を支援しています。
よく質問される項目や企業ごとの選考データなども保有しているため、より効果的な面接対策もしやすくなるのがメリットです。
「志望動機をどう伝えればいいかわからない」「求人の選び方に自信がない」など不安がある方は、お気軽にお問い合わせください。