育休が終わりに近づき、いよいよ保活を視野に入れる時期がくると、気になるのは「時短勤務でも保育園に入れるの?」ということではないでしょうか。
もし保育園に入れないと復職できず、家計やキャリアプランへの影響も大きくなってしまいがち。
今回は、時短勤務の人が保活するときのポイントを解説します。
市区町村ごとの事例も紹介していくので、参考にしてみましょう。
もくじ
結論からお伝えすると、時短勤務であっても保育園に入園することは可能です。
保育園は「保育の必要性」を満たしている家庭であれば誰でも利用できる福祉施設であり、雇用形態や就労時間による影響を受けません。
具体的には、下記のいずれかを満たしていれば保育園を利用できます。
時短勤務であっても「1.就労」に当てはまるため、問題なく「保育の必要性」はクリアできています。
ただし、同居する大人全員が上記いずれかに当てはまる必要があるため、「夫が働いていない」「無職の両親が同居している」という場合は注意が必要です。
時短勤務でも保育園の利用そのものはできますが、入園審査を受ける際は注意が必要です。
場合によっては時短勤務であることがネックとなり、審査を受けられなかったり審査に落ちてしまったりすることがあります。
なお、細かな規定は市区町村ごとに異なります。
下記の注意点を参考にしながら、まずは申請予定の市区町村について調べておきましょう。
ほとんどの市区町村では、最低限の就労時間数を超えていないと保育園の利用ができない仕組みになっています。
極端な例ですが、1ヶ月に1~2時間だけスポットで働く、という場合は「保育の必要性」を満たせないので注意しましょう。
ただし、最低限の就労時間数が何時間なのかは、市区町村ごとにさまざまです。
例えば東京都千代田区の場合、週3日かつ1日4時間以上の就労が必須です。
一方、神奈川県横浜市では月64時間以上の就労というルールがあり、週ごと・日ごとの就労時間は問われません。
時短勤務の場合、この就労時間数を超えているかが肝となるので、市区町村ごとのルールと照らし合わせてみましょう。
なお、ほとんどの場合は急な欠勤・遅刻・早退などが発生して就労時間数を満たせなくても問題ないとされており、あくまでも雇用契約書上の就労時間数で判断されます。
「子どもが熱を出しやすく欠勤することが多い」「療育に通っているので急なお迎えがあるかも」という方でも、安心です。
(※)参考:千代田区ホームページ – 保育園入園案内
(※)参考:横浜市保育所等利用案内
市区町村によっては、就労時間に応じて保育時間が異なるケースがあるので注意しましょう。
つまり、就労時間が短い家庭は保育時間も短く、就労時間が長い家庭は保育時間も長くなります。
基本の時間を超えて保育してもらう「延長保育」は有名ですが、反対の「短時間保育」もあるのです。
例えば千葉県市川市の場合、就労時間と通勤時間を合わせて8時間以上の保育が必要な家庭は、「保育標準時間」が適用されます。
最長11時間子どもを預かってもらえるのが特徴であり、保育園が開いている時間帯であればいつでも就労に合わせて利用できます。
一方、就労時間と通勤時間を合わせても8時間未満の保育で済む場合は、「保育短時間」が適用されます。
保育園ごとの規定に合わせて最長8時間子どもを預かる制度であり、全体での遊びプログラムが終わり次第お迎えとなります。
つまり、保育園に入れれば時短勤務であっても長時間預けられるとは限りません。
時短勤務でもフルタイムでも、原則はやむを得ない時間数のみ預かってもらう場所であることを理解しておきましょう。
(※)参考:保育施設利用のご案内|市川市
保育園への応募が多数であった場合は審査を経て合否が決まりますが、同条件での申請が多い場合、就労時間が長い家庭の方が優先されやすいのもポイントです。
千葉県船橋市の場合、保育園の入園可否は家庭ごとの持ち点により判断します。
例えば介護理由の入園の場合は要介護レベルの高低が、障害理由の入園の場合は障害の等級が参考にされます。
そのうえで、より保育の必要性があると認められた家庭から優先的に保育園に入園できるのです。
就労の場合も同様に、就労時間数ごとに持ち点が細分化されており、点数が高い(就労時間が長い)が優先されるので注意しましょう。
つまり、同じく就労を理由に入園審査を出している家庭が複数いる場合、時短勤務よりフルタイムの方が有利になります。
地域によっては、審査は受けられるもののなかなか合格できない、というケースもありそうです。
(※)参考:船橋市保育の利用に関する規則
時短勤務だと保育園の入園審査時に不利になる市区町村があるからこそ、万全の保活が必要です。
特に、保育園選びを妥協したくない家庭や、アレルギーや療育などの個別対応が必要な家庭は注意しておきましょう。
下記では、効果的な保活のポイントを解説します。
まずは市役所に出向き、保育園ごとの入園可能性を調べるのが先決です。
市役所・公民館・児童ホームなどでは保育園の情報冊子を配布していますが、できれば冊子だけでなく窓口の担当者に直接問い合わせた方がよいでしょう。
情報収集すべき項目は、主にパンフレット等に記載されていない下記の項目についてです。
つまり、「〇〇保育園の0歳児クラスは去年どれくらいの倍率でしたか?」という問い合わせをするのが理想です。
また、合格した人の持ち点や申請条件を、個人情報に触れない範囲で教えてくれる市区町村もあるので問い合わせてみましょう。
これらの情報は、認可外保育園でない限り保育園が直接保有していることは非常に稀です。
ほとんどの場合、保育園に直接問い合わせてもわからないので、あくまでも市役所の窓口で聞くのがおすすめです。
保育園の見学を申し込み、先生と直接コミュニケーションを取るのもおすすめです。
先生やクラスの雰囲気・持ち物や準備物の有無・PTA活動や保護者参加イベントの数など詳しいことが聞けるので、入園後のイメージづくりに役立ちます。
つい入園後の生活ばかり気になってしまいますが、できれば利用者層も探っておきましょう。
延長保育が充実している保育園の場合、フルタイム家庭の利用が多く、次年度も同じ傾向になることが多いです。
反対に、保護者のお迎えが夕方16~17時頃に集中している場合、時短勤務やパート・アルバイト家庭の利用が多いとイメージできます。
「フルタイム家庭が多いか時短勤務・パート家庭が多いか」と直接問い合わせても回答してもらえないことがありますが、保育園の状況からおよそのイメージが掴めることも多いです。
地域のママ友ネットワークを活用し、インターネット上だけでは分からないリアルな情報収集をするのもおすすめです。
子育てイベントで知り合った在住歴が長いママ友や、既に小学生の子どもがいるママ友などを頼れば、口コミ・評判がわかるかもしれません。
また、児童ホームの職員・保健所の職員など、ママ友以外の人が頼りになることも多いです。
「あの保育園は毎年倍率が高くてフルタイムしか受からない」「あの保育園は駅から遠いから人気がないけれど先生の質がよい」など、思わぬ情報を耳にする可能性があります。
育休を延長できるのであれば、無理に急がずゆっくり保活するのもひとつの手段です。
育児介護休業法において、育休が取得できるのは原則として子どもが1歳になるまでと規定されています。
しかし、保育園が見つからないなどやむを得ない事情があれば、半年ずつ延長し子どもが2歳になるまで取得できるので注目しておきましょう。
その分育休給付金も支給されるので、生活が大幅に困窮することもありません。
また、早めの復職を狙う家庭が使う0歳1歳クラスより、2歳3歳クラスの方が定員に余裕がある保育園も多いです。
会社独自の福利厚生として子どもが3歳を迎えるまで育休を取得できる会社もあるので、後半1年間は無給になりますが育休を延長してもよいでしょう。
家計やキャリアプランと相談しながらにはなりますが、確実に狙っている保育園に入りたいのであればひとつの選択肢となります。
早めの復職を希望するのであれば、万が一審査に落ちてしまったときのことを考えて、認可外保育園を予約するのが大切です。
認可外保育園は市区町村の入園審査に従う認可保育園と異なり、自園独自の入園基準を設けていることがほとんどです。
学年ごとに先着順の受付だったり、私立幼稚園さながらに面接があったり、方法はさまざまなので近所の認可外保育園を調べておきましょう。
もし認可保育園に落ちても入園させる場所があれば、親側の気持ちにも余裕が生まれます。
ここでは、万が一時短勤務で保育園に入れなかった場合の対処法を解説します。
あらかじめ手段を確保しておき、安心して第一志望の保活ができるようにしておきましょう。
育休期間を延長し、無理なく保育園に合格できるタイミングを待つ方法です。
子どもの年齢が上がるほど保育者1人あたりの受け持ち人数が拡大するので、0~1歳クラスより2~3歳クラスの方が入園しやすくなります。
特に応募が集中するのは1回目に育休が切れる1歳クラスなので、早く確実に復職したいのであれば0歳クラスからの入園を狙いましょう。
ただし、合格できないままズルズルと時が過ぎ、最終的に子どもが2歳になっていよいよ育休が終わるタイミングになっても入園できない可能性もあります。
遅くとも1歳半から2歳までの間に保育園を見つけ、復職できるよう対策することがポイントです。
認可保育園だけでなく認可外保育園も視野に入れ、確実に復職する方法もあります。
独自の教育プログラムを充実させている保育園も多く、場所によっては英会話・リトミック・体操などを取り入れているケースもあるので、習い事も兼ねられるのが利点です。
また、認可保育園の申請を出したままにしておけば、認可保育園に空きが出たタイミングで転園することもできます。
最初は自宅から遠めの認可外保育園に通い、3歳のタイミングで校区の認可保育園に通い直す、という家庭もあるので参考にしてみましょう。
保育ママとは、資格を取得した人の自宅(レンタルスペースやオフィスの場合もあり)において保育をする人およびサービスのことです。
1人の保育ママが預かれるのは原則2人までと規定されていることが多く、アットホームな環境で少人数をきめ細かに見てくれるのが特徴です。
他の子と兄弟のように育つので、第二の自宅のような存在となるでしょう。
保育日や時間は個別に調整しながら決められるので、変則的な勤務の方でも利用しやすいこともポイントです。
一方、同年代との関わりや集団でのルールを学びにくい環境にあること、お弁当の持参や保育ママが体調を崩したときに休園してしまうことなど、デメリットもあります。
地域によってはそもそも保育ママのシステムがなかったり、受け入れ人数が非常に限定されていたりすることもあるので、まずは制度を調べてみましょう。
家族・親戚に子どもを預かってもらい、復職する方法もあります。
祖父母が元気で、就業などによる制約が少なく自宅近くに住んでいるのであれば、思い切って相談してみてもよいでしょう。
身内だからこそお願い事もしやすく、保育園の空きをゆっくり待ちながら親は仕事に専念できます。
ただし、祖父母によっては「毎日預かるのは負担」「小さい子とどうやって遊べばいいかわからない」と感じる方もいます。
保育士のようなプロではないからこそ戸惑ったり、お互いに遠慮がなくなりすぎてしまうこともあるでしょう。
預かってもらう場合は何曜日に何時までお願いするかなどを決め、双方にとって負担のかかりすぎない方法にするのが大切です。
親の働き方を変え、保育園入園を乗り切ることも検討しましょう。
例えば、フルタイムで申請してフルタイムで復職し、しばらくしたら時短勤務にする家庭があります。
入園直後には親子ともに疲れてしまうかもしれませんが、送り迎え時間の都合さえつけば、不可能ではありません。
または、自宅近くの部署に異動してもらい通勤時間を短縮してもらえば、多少自宅から遠い認可外保育園も視野に入ります。
とはいえ、自分の希望が必ずしも通るとは限らず、会社側にも都合があるものです。
どうしても就労と保育園生活の両立ができなさそうであれば、時短正社員として早めに転職することも視野にいれておきましょう。
テレワークやフレックスタイム制度を使える会社に転職すれば、働き方の柔軟性も上がります。
ただし、保育園が決まっていない状態で転職活動しても、なかなか内定には結びつかないもの。
あくまでも保育園に入れてから転職することを前提に、準備だけ進めておくのがおすすめです。
最後に、時短勤務と保育園に関する「よくある質問」を紹介します。
市区町村ごとのルールも確認しながら、自分の家庭にとって最も負担の少ない保活を検討していきましょう。
入園後にフルタイムから時短勤務にすることはできますが、入園直後からはできないケースがあるので注意が必要です。
特に就労時間の長さが入園可否に直結する市区町村では、フルタイムで申請があったのにフルタイムで復職しなかった場合、不正での入園だと疑われてしまうことがあります。
復職証明書の提出が必須の保育園もあるので、特に注意しておきましょう。
もし勤務時間を変更する場合でも、入園から数ヶ月はフルタイムのままでいることが前提
です。
また、会社によっては一度フルタイムで復職したワーママが時短勤務になることに、難色を示されてしまう可能性があります。
どうしても時短勤務したい場合は、時短正社員として転職することも考えましょう。
入園後に時短勤務からフルタイムにするのは、フルタイムから時短勤務にするより容易です。
ただし、保育園によっては延長保育の人員調整が必要なケースもあるので、早めに相談しておきましょう。
また、就業後のお迎えに間に合うか、急な残業・電車の遅れ・道路渋滞なども加味しながらシミュレーションすることが大切です。
もし収入アップのためフルタイムに戻すことを検討しているのであれば、通勤時間のないテレワークを活用して就労時間を伸ばすなど、工夫していく方法もあります。
近年はテレワークを積極導入している会社もあるので、転職を視野に入れてもよいでしょう。
市区町村によっては、時短勤務で就労時間が短いと入園審査で不利になることがあります。
反対に、規定の就労時間さえ満たしていれば時間の長短で判断しないという市区町村もあるので、千差万別です。
まずは希望する地域の詳細を確認してみましょう。
ほとんどの市区町村では、正社員かパートかによって保育園の審査に有利・不利が生じることはありません。
時短で6時間働く正社員と6時間のパートが同じ扱い、ということも多いです。
そのため、将来的な稼ぎやすさや昇給の可能性を考えるのであれば、同じ時短勤務でもパートではなく正社員でいた方がメリットがあります。
保育園に関する項目や審査基準は、市区町村ごとにさまざまです。
時短勤務でも一切影響のない市区町村もあれば、フルタイムより不利になってしまう市区町村もあるので注意しましょう。
とはいえ、入園後の家庭生活やお迎えに行ける時間のことを考えると、余裕が生まれやすいのは時短勤務です。
「子どもが3歳になって以降も時短正社員を続けたい」という方は、保育園が決まり次第早めに時短勤務制限のない会社に転職した方がよいでしょう。
時短正社員の転職をサポートしているリアルミーキャリアでは、早めの相談も歓迎です。
仕事と家庭の両立に不安がある方は、お気軽にご相談ください。