育休明けの時短勤務のメリット・デメリットは?時短勤務にするタイミングはいつ?

                   

育休明けは、フルタイムではなくあえて時短勤務にする人も多いです。

「給料が下がる」「いつまで時短勤務できるかわからない」などデメリットもありますが、家事・育児とのバランスを取りやすいというメリットもあります。

今回は、育休明けの時短勤務のメリット・デメリットを解説します。

「いつからいつまで時短勤務するか」という問題にも触れるので、お悩みの方は参考にしてみましょう。

時短勤務とは

時短勤務は「短時間勤務制度」とも呼ばれており、その名の通りフルタイムより短い時間で働くスタイルのことを指します。

取得後も「正社員」というポジションに変わりはなく、労働時間が同じでもパート・アルバイトより雇用が安定しているのも特徴です。

育児・介護休業法23条では、下記の通り3歳未満の子どもを養育する保護者から申し出があった場合、必ず時短勤務を認めなくてはいけないと定められています。

そのため、「小さな子供がいるうちは無理せず短い時間で働きつつ、パートにキャリアダウンすることなく正社員を続けたい」というときも安心です。

育休明けは、フルタイムで働くことも時短勤務することもできるのです。

3歳に満たない子供を養育する労働者が希望する場合には、労働者の申出に基づき、育児のための所定労働時間の短縮措置、いわゆる短時間勤務を講じなければならない

引用:育児・介護休業法

育休明けの時短勤務のメリット

ここからは、時短勤務のメリット・デメリットを解説します。

まずはメリットから紹介するので、フルタイムにすべきか迷っている方はご参考ください。

家事・育児とのバランスを取りやすい

時短勤務最大のメリットは、家事・育児とのバランスを取りやすくなることです。

フルタイムの場合、9時間労働に加えて残業が発生する場合があります。

会社に長時間いることになり、「子どもを寝かしつけたい時間がすぐにきてしまい余裕がない」ということも起こるでしょう。

また、家事に手が回らず家が荒れたり、自分自身がリフレッシュする時間も確保できなかったりするのが難点です。

一方、時短勤務であれば時間に余裕が生まれ、家事や育児の比重が高まります。

保育園から帰って最低限の家事をこなしてもまだ子どもと遊ぶ時間があり、せかせかした毎日を送らずに済むのです。

子どもとしっかり向き合う時間が欲しい!という方は、時短勤務向きかもしれません。

保育園の送迎に間に合う

時短勤務の場合、退勤時間が早まるので保育園の送迎に間に合います。

保育園の開園時間は園により大幅に異なるので、事前にチェックしておきましょう。

例えば朝7時から夜19時まで開園している保育園であれば、9時から18時までフルタイムで働いた場合でも残業なくすぐ退勤すればお迎えに間に合う可能性があります。

しかし、18時に閉園してしまう保育園に通う場合や通勤時間が長い場合、お迎えに間に合わず園に迷惑をかけるかもしれません。

朝夕の通勤時間・残業の頻度・保育園の開園時間を全て見比べて、無理なく通わせられる環境かチェックしておく必要があるのです。

時短勤務であれば都合に合わせて勤務時間を決められるので、送迎に不都合が生じることがありません。

万が一の電車遅延・交通渋滞なども含めて考えると、時短勤務にして安全を取った方がよいかもしれませんね。

万が一の通院に対応できる

時短勤務の場合、保育園にお迎えに行った後でもまだ小児科が開いている可能性が高いです。

特に未就学児のうちは体調を崩しやすい子が多いので、いざというとき病院に駆け込めるのは非常に助かります。

また、平日に予防接種をしたり薬をもらいに行ったりすることもでき、スケジュールに余裕が出やすいのもメリットです。

フルタイムの場合、平日に通院するときは半休を取るなど対策する必要があるので要注意です。

半休が取れれば通院に支障はないものの、「度々仕事に穴を開けて申し訳ない」と自分自身が感じたり「もっと保育園で遊びたかったのになんでお迎えが早いの?」と子どもが疑問に思ったりするケースもあるので、あらかじめ承知しておきましょう。

平日に習い事ができる可能性がある

時短勤務にして退勤時間を早められれば、平日に習い事ができる可能性があります。

例えば時短勤務にして平日9時から15時まで働いた場合、その後の時間は自由に使えます。

17時から始まる習い事に通わせたり、家でタブレット学習をしたり、子どものためになることができるのです。

フルタイムの場合、習い事は基本的に土日など仕事が休みの日に集中させることになるでしょう。

「土日は家族で出かけたい」と感じる場合は、平日に習い事ができるよう工夫するのがおすすめです。

育休明けの時短勤務のデメリット

時短勤務はメリットが多い反面、デメリットもあります。

育休が明けて復帰してから思わぬ落とし穴に気づくことのないよう、あらかじめデメリットも理解しておきましょう。

収入が減る

時短勤務にすると働く時間が減ってしまうので、その分収入が減ります。

8時間のフルタイムから6時間の時短勤務にした場合、単純計算で給料は3分の2になると思っておきましょう。

健康保険料や雇用保険料など各種控除額は給料により変動するものの、こちらは単純に3分の2になるわけではないので「意外と手取りが少ない」と感じるかもしれません。

賞与が減ることも多く、フルタイムのときと比べて落ち込んでしまうワーママも多いのです。

ただし、会社によっては時短勤務でも高い成果を出していれば高い給与を稼げるケースもあります。

インセンティブなど成果と連携する給与形態があるか、人事評価制度がどうなっているかなど、あらかじめ確認しておきましょう。

時短勤務に期限がある会社が多い

時短勤務に期限を設けている会社は意外と多く、主に「子どもが3歳の誕生日を迎えるまで」とされています。

3歳である理由は、育児・介護休業法23条において「3歳未満の子どもを養育する保護者から申し出があった場合に時短勤務を認めるべき」とされているからです。

最低でも3歳になるまで時短勤務を認めておけば法律違反になることがなく、それ以降は原則としてフルタイムに戻ることを前提にしている会社が多いのです。

もちろん「子どもが小学生になるまで」「子どもが小学校を卒業するまで」と長めに期限を設けている会社もあれば、そもそも時短勤務できる期限がない会社もあります。

まずは復帰する会社の社内規則を確認し、自分がいつまで時短勤務できるか調べてみましょう。

また、フルタイムに戻した場合、保育園の送迎や子どものメンタルバランスに影響が出ないか、あらかじめ検討しておくことも重要です。

業務内容に制限が出る

保育園のお迎えなど都合があって時短勤務する場合、業務内容に制限が出る可能性があります。

例えば、夜の時間帯から始まる会議・遠方への出張を伴う展示会・土日に開催されるセミナーなど、意外と参加できない業務は多いものです。

重要な会議に出席できないのであれば、やむを得ずプロジェクトから降りる判断も必要です。

「できれば昼の時間帯に会議をやってほしい」と伝えることもできますが、必ずしも希望が通るとは限りません。

働ける時間のなかで可能な限りパフォーマンスを上げることに重点を置き、時には「やりたい仕事」ができない可能性があることを知っておきましょう。

思うように昇進・昇格できない場合がある

時短勤務の場合、思うように昇進・昇格できない場合もあるので注意しましょう。

前項のように、残業・休日出勤ができないことを理由にビッグプロジェクトに参画できず、思うような成果を上げられないこともあります。

また、人事評価制度がフルタイム就労を前提としたルールになっている場合、「頑張っているのに評価されない」というジレンマを感じるかもしれません。

スキルの要らない簡単な仕事だけ任せられる「マミートラック(通称・マミトラ)」に突入するなど、不本意なキャリアを歩むワーママも多いのです。

ただし、昇進・昇格については会社の風土により大幅な違いが生じます。

勤務時間の長短にかかわらず実力を見て評価してくれる会社もあれば、時短勤務している人でも参加しやすいよう時間を調整しながらプロジェクトのスケジュールを組んでくれる会社もあります。

「昇進・昇格したいけれど今の会社では難しそう」という場合、転職も視野に入れてみるとよいでしょう。

「会社に申し訳ない」と感じやすい

「残業できないのが会社に申し訳ない」「時短勤務している人が自分しかいないので肩身が狭い」と感じるワーママもいます。

特に、ワーママのロールモデルが社内にいない場合や、有給消化率が低くて自分ばかり取得しているように感じられる場合は、この気持ちが強くなるでしょう。

気前よく仕事を肩代わりしてくれる先輩社員がいても、どこか居心地の悪さを感じるかもしれません。

時短勤務をすると決めたらある程度周りに頼ることも前提に、割り切った方がよさそうです。

とはいえ、時短勤務しているワーママが多い会社もあります。

お互いに助け合うことが社内風土として根付いていれば、いざ子どもが体調を崩して早退しなければいけないときでも必要以上に罪悪感を覚えなくて済むのです。

どんな会社か次第で復職後の働き心地は大きく変わるので、あらかじめ社内を見回しておきましょう。

時短勤務かフルタイムか迷ったときの判断基準

時短勤務かフルタイムかで迷ったときは、下記の判断基準をもとに検討するのがおすすめです。

夫婦での話し合いが必要なことでもあるので、自分ひとりで悩まず相談することも意識しましょう。

必要な生活費で決める

必要な生活費を算出し、復職後の給与と照らし合わせて決める方法です。

時短勤務すると最低限必要な生活を捻出できない場合は、フルタイムで復職するしかありません。

反対に、時短勤務の収入でも当面の生活には問題がなさそうな場合、時短勤務が選択肢に加わります。

生活費は家庭により千差万別であり、夫の収入も見ながら判断する必要があります。

また、「3歳以降は保育無償化の影響を受けられるがそれ以下だと保育料が高い」「小学生になりやりたい習い事が増えてきた」など子どもの年齢に応じて変化することもあるでしょう。

数年後に期待する収入まで見てしまうとどんどん希望が膨らんでしまうので、とりあえず当面1~2年の生活費をベースに考えることがポイントです。

保育園の対応時間で決める

保育園の対応時間を見て、無理なく送迎できるかで決める方法です。

例えば、朝早くから夜遅くまで開園している保育園であれば、フルタイムで働いても問題なくお迎えに行けます。

反対に開園時間が短めに設定されているのであれば、時短勤務にしてどうにかお迎えに間に合わせる必要があるでしょう。

また、送迎は通勤時間の影響を受けやすい点にも注意が必要です。

同じ18時に終業しても、テレワーク中ですぐお迎えに行ける環境と通勤に1時間かかる環境とでは、お迎え時間が大幅に変わります。

復職後の生活をシミュレーションしながら、余裕のあるスケジュールになるよう勤務時間を調整しておきましょう。

周囲の協力体制で決める

周囲の協力体制を見ながら、フルタイムか時短勤務か決める方法もあります。

例えば、夫が時短勤務できる・自分がテレワークできる・近居している両親が既にリタイアしているので保育園の送迎を頼める、など環境が整っていればフルタイムで働ける可能性が高まります。

または、環境が整っているなかでもあえて時短勤務を選択し、子どもとの時間を十分に確保するのもよいでしょう。

周囲の協力があまり見込めない場合、まずは時短勤務を選択するのがおすすめです。

最初からフルスロットルで両立を目指すと、数ヶ月働いているうちに息切れしてしまうことも多いです。

家事代行やミールキットなど家事を時短できるアイテムを使いながら、工夫していきましょう。

社内の環境で決める

社内の環境を見て、フルタイムはもちろん時短勤務でも理想の働き方ができるかを検討する方法です。

時短勤務をしている先輩社員が多くて前例があり、成果を正当に評価してもらえる風土が整っているのであれば、時短勤務向きの環境です。

実力に合わせて昇進・昇格できる可能性も高く、「時短勤務でも思ったより給与が下がらない」など嬉しいギャップも生じます。

ただし、社内の環境は会社ごとに差異が大きく、時短勤務向きではないケースもあるので注意しましょう。

また、リモートワークやフレックスタイム制度が導入されているかなど、働きやすさも会社により千差万別です。

「どうしても時短勤務したいけれど会社の環境が整っていない」という場合、転職も含めて検討するのがおすすめです。

自分が理想とするキャリアに応じて決める

「30代のうちに課長になりたい」「早い段階で経験を積んで独立したい」など、理想とするキャリアに応じて決める方法もあります。

早めの昇進を希望する場合はフルタイムで復職するしかないと考えがちですが、会社によっては時短勤務でも十分評価してもらえるケースがあります。

限られた時間でも効率よく仕事を進められる環境が整っていれば、ビッグプロジェクトに参画できることもあるでしょう。

経験・実力を早い段階で身につけて独立するなど、多彩なキャリアを描けます。

とはいえ、これもやはり会社の風土による差が大きいです。

キャリアを重視したいのであればフルタイムで復職するか、時短勤務でも評価してもらえる会社に移るかを検討しましょう。

理想の子育てスタイルに応じて決める

理想の子育てスタイルに応じて決めるのも、ひとつの手段です。

「多少家計を節約してでも子どもと向き合う時間を確保したい」「子どもが小さいうちはなるべく子ども第一で生活したい」など、子育ての考えは家庭ごとに異なります。

反対に、「子どもが未就学児のうちにフルタイムで働いてなるべく貯金を増やしたい」と感じる家庭もあるでしょう。

夫と相談しながら方針を決め、それに合わせて働くスタイルを決めるのもおすすめです。

時短勤務に切り替えるタイミング

最後に、時短勤務に切り替えるタイミングを解説します。

大きく分けて下記3つが挙げられるので、チェックしてみましょう。

育休から復職するとき

最もオーソドックスなタイミングは、育休から復職するときです。

復職時期が近づいてきた段階で「時短勤務にしたい」と伝えておけば、職場も時短勤務を前提に人員調整してくれます。

業務内容の見直しや配置転換の検討も同時にできるので、お互いにとって一番負担の少ないタイミングと言えるでしょう。

育児との両立に限界がきたとき

まずはフルタイムで復職してみて、万が一育児との両立に限界がきたタイミングで時短勤務を申し出ることも可能です。

最低でも子どもが3歳になるまでの間であれば、ルール上はいつでも時短勤務にできるので検討してみましょう。

ただし、途中で時短勤務にすることを好ましく思わない会社もあります。

フルタイムでの復職を前提に調整していたからこそ、後で業務内容や人員を調整するのが難しく、フルタイムのままでいられないかお願いされることも少なくありません。

また、「時短勤務にしたはずなのに仕事量はフルタイムのときのまま」など思わぬギャップも生じやすくなるので、注意が必要です。

転職するとき

会社によっては、入社後すぐに時短勤務できるケースがあります。

ほとんどの会社は勤続1年程度経たないと時短勤務できないものの、なかには柔軟な働き方に対応している会社もあるので探してみましょう。時短勤務を希望する方を専門で支援する転職エージェントを利用すれば、そうした企業に出会える可能性も高まるでしょう。

特に、「育休明けは時短勤務をしたいが今の会社では難しそう」という方におすすめの方法です。

時短勤務をすると極端に給料が下がる・昇進や昇格が見込めない・時短勤務をしてもなお保育園のお迎えに間に合わない、という場合は思い切って転職を検討するのもひとつの手段です。

ワーママのロールモデルがいる会社や働きやすさを重視し、理想を諦めない仕事環境を手に入れていきましょう。

まとめ

育休明けの働き方は、メリット・デメリットをどちらも視野に入れながら決めるのが理想です。

特に保育園への送迎や給料など、大きなギャップになりそうな点があれば早めに解消しておきましょう。

「時短勤務にしたいが今の会社は理想的な環境ではなさそう」という場合、思い切って転職するのもおすすめです。

会社によっては時短勤務でも昇進・昇給のチャンスがあったり、お互いの助け合いが当たり前に根付いていたりするケースもあるので、社外に目を向けてみてはいかがでしょうか。