育休後に転職を検討する方は意外と多いもの。理由は人それぞれですが、いずれの場合でも「キャリアと家庭の両立」がキーワードになっているようです。
今回は、育休後に転職を考えたきっかけを紹介します。
記事後半では体験談や最適な転職時期にも触れるので、同じ悩みを抱えている方はぜひご参考ください。
もくじ
冒頭でもお伝えした通り、育休後に転職を検討するきっかけとして「キャリアと家庭の両立」がキーワードになっています。
下記で具体的な例を紹介するので、共感できる項目があればチェックしてみましょう。
仕事の配置転換を強いられて、成し遂げたかったキャリアプランやワークライフバランスに齟齬が出てしまうケースがあります。
例えば、営業職にやりがいを感じていたのに製造やバックオフィスなど顧客と対面しない職種への異動を命じられてモチベーションが下がってしまうケースがあります。
「小さな子どもがいて顧客第一で動くのは大変だろう」という会社側の配慮である可能性もありますが、やりたかった仕事以外を任されることに不満を覚えるかもしれません。
また、自宅から距離のあるオフィスへ異動するなど、保育園のお迎えに支障が出る人事命令が下ることも考えられます。
最初は自分を会社に合わせようとしていても、どうしてもギャップを埋めることができなければ転職を検討するのも自然なことと言えるでしょう。
マミトラ(マミートラック)とは、単純作業や責任のない仕事ばかりを割り当てられて昇進・昇格のチャンスを失うことを指す言葉です。
母親を表す「マミー」と、陸上トラックのように同じ場所を延々と巡りキャリアが構築できないことを表す「トラック」とが合わさった造語であり、復職後の落とし穴として多くのワーママが経験してきました。
マミトラに突入するとぬるま湯に浸かったような働き方しかできず、モチベーションややりがいが失われてしまいます。
「子育て中だからとキャリアを引きはがされた」など言いようのない怒りが出てくる方も多いでしょう。
であれば実力主義で評価してくれる会社に転職し、今のうちから着実にキャリアを積み上げたいと行動する人がいても不思議ではないのです。
想像以上に家庭との両立が大変で、やむを得ず働き方を変える人もいます。
子どもが小さいときは授乳・離乳食・夜泣き・イヤイヤ期などで悩まされることが多く、3歳以上になれば本人の意思がはっきりしてきて親子で対立したりお友達付き合いのトラブルが起きたり、親の悩みは尽きません。
料理・洗濯・掃除の「3大家事」だけでなく日々の細々した作業も連続して発生し、心身ともに疲れ切ってしまうワーママが多いのです。
そんなときは、フレックスタイム制度やリモートワーク勤務を導入している会社に転職したり、時短にすることを検討したりするとよいでしょう。
働き方を変えて時間を作れれば、気持ちに余裕を持って家事・育児と向き合いやすくなるのでおすすめです。
時短勤務できる期限が近づいてしまい、時短勤務を続けるために転職する方もいます。
育児・介護休業法において「3歳未満の子を養育する保護者から申し出があった場合、会社は時短勤務を許可しなければならない」と定められています。
そのためどの会社であっても子どもが3歳になるまで時短勤務することができますが、それ以降の時短勤務申請に応じるかは「努力義務」であり、強制力がありません。
なかには「子どもが小学生になるまで」「子どもが小学校を卒業するまで」と時短勤務できる期限を長めに設けている会社があるものの、あくまでも会社独自で定めたオプションであることを理解しておきましょう。
つまり、会社がダメと言ってしまえばそれまでで、フルタイムに戻すしか方法がなくなってしまうのです。
しかし、保育園の開園時間や通勤時間によっては、フルタイムに戻すと生活が成り立たなくなる家庭もいるでしょう。
入社してすぐ時短勤務できる会社を探し、転職するしか方法がなくなってしまうので事前の就業規則確認が必須です。
時短勤務であるにも関わらず、産休前のフルタイムと同じ業務量を任されてしまうのは「あるある」なミスマッチです。
会社側は「勝手知ったる従業員だし過去にこれくらいの業務量をこなしてくれたから大丈夫だろう」と判断し、つい多めの業務を依頼してしまいます。
しかし、時短勤務をしていると労働時間そのものが短いので従来通りの働きができないことに加え、お迎えがあるので突発的な残業に対応するのも難しくなります。
「なぜ業務を終えられないのか」と考える会社側と、「明らかに業務量が多すぎる」と考える従業員側との間でギャップが生じ、不満が蓄積することも少なくないのです。
そのため、入社してすぐ時短勤務できる会社へ転職し、最初から時短勤務前提の業務量になるよう調整してもらうワーママが多いです。
ストレスフリーに働くための動きでもあるので、どうしても現職での不満を解消できなさそうであれば無理せず転職を検討してよいでしょう。
ここでは、育休後転職の体験談を紹介します。先輩ワーママたちがどのように転職したのか知り、成功のコツを学びたい方はぜひ目を通してみてください。
前職はメーカー営業で職場のほとんどが男性社員だったので、子どもを生んだ女性が営業職として復帰するのは私が初めてでした。
もともとは、育休後の4月に前職に復帰する予定でしたが、出産直後に「営業職で復帰することは受け入れられない」と通達されました。
営業職は車での地方出張営業なども当たり前で、残業が多い忙しい職種です。
今思えば職場からの「配慮」だったのかもしれませんが、営業の仕事にやりがいを感じていたのでとてもショックでした。
事務へのポジション変更も打診されましたが、就業場所が今の住所とはかけ離れたエリアで、通勤に無理が生じます。
営業職で出張なしで勤務できないか、都内の他の職種にポジションはないかなどいろいろ交渉したものの、最後まで職場の理解を得ることはできませんでした。
最終的に遠回しな退職勧告を受け、 泣く泣く育休中に退職することになりました。
明確な退職勧告までいかずとも、時短勤務している間は出張や残業ができず昇進が遠ざかるケースも考えられます。
なかには異動・転勤・出張・残業できることが半ば昇進の条件となっている企業もあるので、自社の体質を事前に見抜いておく必要があるでしょう。
復帰直前で気づいて対応するより、早めに実態を掴み、場合によっては転職を検討しておくことが大切です。
私のいる自治体は「4月に1日以上現職復帰すること」と「退職後の翌々月末までに転職先で勤務開始すること」が条件として課されており、子どもの預け先を確保するためにも一度復職する必要がありました。
とはいえ小さな子どもを抱えて長く働ける職場でないことは理解していたので、入園が決まった2月から少しずつ転職活動をはじめました。
4月に現職に復帰してすぐ辞める予定だったので、絶対に4月までに仕事を決めなければいけないプレッシャーがつらかったです。
子どもが寝ている時間に企業の情報収集をし、同時にエージェントに登録しレジュメを作成するなど、とにかく寝不足との戦いになりました。
幸いにも夫が定時で帰宅できる仕事に就いていたので、夫に赤ちゃんを見てもらって夕方以降に集中的に面接の予定を入れるなどフレキシブルに動けたのがありがたかったです。
復職後早めの転職を検討しているのであれば、入園が決まる1~2月にすぐ転職活動を始めるのがポイントです。
2~3ヶ月で転職先を決めなければいけないというプレッシャーはありますが、選考サイクルはだいたい1ヶ月程度なので、早ければ3月上旬頃に内定を獲得できるでしょう。
転職が決まってから退職交渉する、常に複数の選考を同時並行で進める、など工夫していけばプレッシャーを少しでも緩和できます。
新卒からずっと同じ会社に勤め続けていたので転職経験がなく、何から始めればいいかもわかっていない状態だったので転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談しました。
転職の流れ・履歴書や職務経歴書の書き方などを細かく教えてもらえただけでなく、模擬面接までしていただいて自分に自信をつけられたのが大きかったです。
また、ワーママ特化型の転職エージェントだったのでワーママ向けの求人が多く、子育てに理解のある企業ばかりな印象でした。
「ワーママ転職はどうせ上手くいかないだろう」という先入観があったのですが、思いのほかとんとん拍子に話が進み、想定以上の待遇で内定を出していただけたのが嬉しかったです。
もしかしたらキャリアアドバイザーがプッシュしてくれたのかな?とも感じますが、どちらにせよ相談して本当によかったと感じています。
ひとりで転職活動を乗り切る自信がない方は、転職エージェントの活用がおすすめです。
また、既に転職経験がある方でも、ワーママとして転職するのは初めてという方が多いはず。
勝手知ったる転職とは進め方が異なるケースも多いので、気になることがあれば何でも相談してみましょう。
ワーママ特化型の転職エージェントであれば、総合型エージェントと違ってワーママ向けの求人を優先して紹介してくれるのでミスマッチを防げることもポイントです。
育休後はフルタイムで復職していましたが、どうにも家庭との両立ができなくなってしまい、時短勤務での転職をしています。
3歳を過ぎてからの方が、ひらがなや数字の指導・お着替えや片づけなどの生活習慣づけ・お友達やママ友との付き合いなどいろんな心配事が増えるのは盲点だったんです。
最初は元いた会社で時短勤務ができないか相談しましたが、子どもが3歳を超えていたので時短勤務の要件に該当しないと断られてしまいました。
また、「一度フルタイムで復職したのだから両立できるだろう」という会社側のプレッシャーを感じたのも事実です。
無理なく働ける環境に移るしかないと考え、入社当日から時短勤務できるベンチャー企業に転職しています。
子どもが成長すれば、親の悩みも変わるもの。
未就学児のときは上手くフルタイムと両立できていても、どんどん状況が変わって両立が難しくなってしまった、というケースも耳にします。
無理なく両立させるためにも時短勤務に切り替え、バランスを取ることを意識してみましょう。
ただし、大企業や有名企業は入社から1年経過しないと時短勤務できないなど、厳格な社内規則を設けていることが多いです。
ベンチャー企業や中小企業であれば柔軟に対応してくれる可能性が高いので、選択肢を広くして転職活動に臨みましょう。
前の職場は従業員の平均年齢が高く、まだまだ働く女性に対する理解がないと感じることが多かったです。
「子どもを預けてこんなに長く働いて大丈夫?」と心配されたり、「バリキャリ目指して何になるの?」と言われたりすることもありました。
人間関係自体は良好だったので子持ちであることを理由に嫌がらせを受けることはなかったものの、よかれと思ってしてくれるアドバイスにギャップを感じていきました。
ふと思い立って転職エージェントに相談し、子育て中の従業員が多い会社を紹介していただきました。
面接の前にカジュアルな面談会を設けていただいたとき、年齢層や社風が変わるだけでこんなに考え方が違うのかと驚いたことを覚えています。
今は子育てに合わせてゆっくり働きたい人も、子どもを育てつつ昇進・昇格を目指してキャリアアップしたい人もいる会社に在籍しており、多様性を認め合える環境に身を置いています。
パパママ社員が多いと子育てを応援する風潮ができており、「お互い様」の精神が根付いていることも多いです。
仕事をカバーし合ったり、協力して有給を取れたりすることもあるでしょう。
理想的な社風の会社に身を置いて、目の前の業務に集中できる環境づくりをしていくことも大切ですね。
最後に、育休後転職に最適な時期・向かない時期について解説します。
結論からお伝えすると、転職の意思が固まっているのであれば「保育園入園が決まってすぐ」転職するのがおすすめです。下記で時期ごとに詳細をチェックしていきましょう。
転職の意思が固まっているのであれば、保育園入園が決まってすぐ転職活動をするのが理想です。
可能であれば保育園申請を出したタイミングから転職情報を収集しはじめ、入園が決まったと同時に選考を受けられるようにしておくとよいでしょう。
場合によっては育休中転職できる可能性があり、現職で発生する引継ぎなどを最小限に抑えることができます。
ただし、現職に復帰することが入園条件である保育園や自治体もあるので注意が必要です。
その場合は一度復職する必要があるので、自治体ごとの要件を確認しておきましょう。
現職に復帰することが入園条件である保育園・自治体であるケースを除き、復職してすぐの転職はあまりおすすめできません。
転職意思が固まっているのであれば、あえて復職する時間が勿体なくなってしまいます。
育休中に変わった社内ルールに対応しながら業務をこなしつつ、転職活動も家事も育児も並行する必要があり、身体的にも精神的にもストレスフルになってしまうのもひとつの要因です。
復職してから最低半年は勤務すべきという意見もありますが、いずれ転職するのであればむしろ早い方がよいでしょう。
既に復職を前提とした人事戦略が練られており、かつ実行されているタイミングなので却って引継ぎに時間がかかります。
新規の採用・教育など会社側に与えるダメージも大きく、「どうせ退職するなら早く教えてくれればよかったのに」など心証を悪くする可能性も否定できません。
復職して1年以上経ってからであれば「職場への義理を果たした」と考える人も多く、心理的な抵抗が少ないのがメリットです。
もはや「育休後転職」ではなく通常の「ワーママ転職」となるので、保育園の問題に直面することもありません。
ただし、1年間不満を抱えたまま働き続けなければいけないのでママ自身のストレスが大きくなります。
1年間という期間に見合う十分な実務経験・知識・実績を積めないのであれば、むしろ早めの転職を検討した方がよいでしょう。
育休後に転職するのであれば、早めの行動がポイントです。
キャリアと家庭の両立にギャップを感じて転職を検討する人が多いので、早めに動いて理想的な環境を手に入れた方がよいでしょう。
また、転職活動のスタートが早ければ早いほど出会える求人の数も多くなり、じっくり応募先を選定できます。
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