産休・育休から復帰し熱意を持って仕事に当たっていても、いつの間にかマミートラックにおちいってしまう人は多いものです。仕事へのモチベーションが下がったり、理想的なキャリアパスを歩めなくなったり、思わぬ落とし穴に悩むこともあるでしょう。
今回は、マミートラックに関する体験談を紹介します。
記事後半ではマミートラックからの脱却法にも触れるため、ぜひチェックしてみましょう。
もくじ
「マミートラック」とは、子育てと仕事の両立はできるものの出世や昇給が望めず、ワーキングマザーのキャリア展望がひらけないことを指します。育児中の女性が単調な業務ポジションに転向させられたり、出世コースから外されたりすることが原因で起こります。
マミートラックの「マミー」はお母さん、「トラック」は陸上競技場で走る周回コースのこと。トラックの同じところをぐるぐる走って出世が見込めないことが「マミートラック」が語源です。
「マミートラック」という言葉自体は、もともとは1988年にアメリカで生まれたものです。もともとは、ワーママが育児と仕事を両立しながら働ける環境を企業が整えることを「マミートラック」と呼んでいました。
最近では女性の活躍を阻むネガティブな言葉として認知されていますが、もともとは育児と仕事を両立させるためのポジティブな言葉でした。
「マミートラック」という単語はなかなか聞き馴染みがなく、具体的にどんなことかイメージしづらいと感じることもあるでしょう。
ここでは、マミートラックにまつわる現状を解説します。
21世紀職業財団では子どものいるミレニアル世代(1981年から1990年代中頃までに生まれた人たち)を対象に、夫婦のキャリア意識に関する調査を実施しています。
調査結果では、第一子出産後の復職でマミートラックを感じた人は全体52%を占めることがわかりました。
引用:21世紀職業財団「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究(2022年)」より
「難易度や責任の度合いが低く、キャリアの展望もなかった」という状態は、まさにマミートラックにあると言えます。
マミートラックが起こるのは決してレアケースではなく、業種・職種関係なく多くのワーママにのしかかる可能性があると理解しておきましょう。
引用:21世紀職業財団「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究(2022年)」より
同調査では、第一子出産後にマミートラックに入った人が、現在の仕事やキャリアについてどう感じているかも調べています。
「難易度や責任の度合いが低く、キャリアの展望もなかった」と出産後のキャリアについて回答した人は、70%が現在も「難易度や責任の度合いが低く、キャリアの展望もなかった」と感じていることがわかりました。
つまり、一度マミートラックに入ってしまうと抜け出しにくく、その後のキャリアアップが難しくなる現状が伝わります。
もちろん職場との相談や転職を機にマミートラックから抜け出した人も少なくありません。しかし、マミートラックに入った以上、何かしらのアクションを起こさないとそのまま継続になりやすい点に注意しましょう。
厚生労働省では、民間企業のモデルケースを参考にしながら女性活躍を以下3つのステージに分けています。(※)
マミートラックは特に「第2ステージ」で発生しやすいと言われているので、確認してみましょう。
第1ステージ | 子どもが生まれると女性が働き続けるのが難しく、働き続けるにしても家庭を犠牲にせざるを得ない状況 |
第2ステージ | 子育て支援が整い、子育てをしながら誰もが働き続けられる状況 |
第3ステージ | 男女ともに育児・介護などをしながらもしっかりキャリアアップでき、仕事で会社に貢献できる状況 |
第1ステージも深刻な状態と言えますが、この場合女性の多くは仕事を続けることができず、退職して専業主婦になります。
働く女性の課題である「マミートラック」も必然的に起こらなくなるので、問題が表面化しないフェーズと言えるでしょう。
第2ステージになると子育てをしながら誰もが働き続けられるようになりますが、本質的なキャリア形成ができている状態ではありません。
あくまでも「働けている」という状態に留まるためマミートラックが起きやすく、収入のためだけに働く形になりやすいのがデメリットです。
第3ステージになると男女ともに育児・介護などをしながらもしっかりキャリアアップできるようになり、仕事で会社に貢献することも可能になります。
ワーママでも責任のある仕事を任せてもらえるなど、キャリアアップにつながる実績が作れるのがポイント。
また、柔軟な働き方が認められていることも多いためワークライフバランスも整いやすく、無理せずキャリアアップを目指すモチベーションに変換できます。
(※)内閣府「新たな生活様式・働き方を全ての人の活躍につなげるために~職業観・家庭観が大きく変化する中、 令和モデルの実現に向けて」
ここでは、マミートラックに悩んだ正社員ワーママの体験談を紹介します。
(30代後半 子ども2人 製薬会社営業)
第一子のときに時短勤務制度を利用して、営業職に仕事復帰をしました。しかし時短勤務制度はあるものの、運用方法がしっかりと確立していないものでした。時短勤務でも売上ノルマはフルタイムのときと変わらず、人事考課も時短勤務を考慮したものではなくフルタイムの成果を基準としたものでした。
当然フルタイムの同僚に比べて成果を出すことができず、評価も下がってしまいます。仕事内容が同じなのに、時短勤務というだけで給料も評価も下がってしまい、マミートラックにはまったと感じました。モチベーションを保つことが難しくて、頑張っても報われずつらかったです。
結局モヤモヤを抱えて働き続けながら、第二子を妊娠・出産。復帰後も引き続きマミートラックが続き、現在第三子目を妊娠中です。
第一子のときから数年経っていますが、ワーママの働き方に関する社内の状況は変わっていません。会社には、時短勤務に対する働き方改善を訴えているところです。次に復帰するときには、時短勤務をやめてフルタイムに戻すことも検討しています。
(20代後半 子ども1人 メーカー事務)
自社初となる産休・育休を取得させていただき、感謝の気持ちとともに復職しました。子育てに理解のある職場であり、子どもが体調を崩して仕事を休むときも誰ひとり嫌な顔をすることなく、最大限サポートしていただけるのでとても助かっています。
しかし、「子育てを第一に考えて」という配慮が強すぎると感じるシーンも少なくありません。今日中に片づけたい仕事があるからと少しだけ残業しようとしていたら、「今すぐ子どもを迎えに行ってあげないとかわいそう」「そんなことは私たちがやるから任せて」と言われます。「いつでも休んでいいからね」と言われすぎて、もはや自分がこの会社にいる意味はないのではとすら思ってしまいます。
本当は子どもがいても当たり前にバリバリ働き会社を引っ張っていけるような人になりたかったのですが、今は会社におんぶにだっこ状態で、とても貢献できているとは思えません。ママ社員だからと職場いじめに遭ったり、子どもの有無に関係なく無理なノルマを課せられたりするより、よっぽど恵まれていることは分かっています。それでも、上司や先輩社員の言う通り今は子育てに専念してしばらく専業主婦でいた方がいいのかなと最近は考えてしまいます。
(40代前半 子ども1人 カルチャースクール講師)
出産前は、子どもが生まれてからもこれまで通り働きキャリアアップすることを夢見ていました。子どもの世話をするため急に休みをいただいたりすることがある以上、出産前以上に頑張らなければとニュースのチェック・トレンドやユーザーの分析・生徒からのフィードバック反映などできることは何でもしてきたつもりです。
しかし、育休から復帰して数ヶ月して気づきましたが、明らかに割り振られる業務量が以前より少なくなっています。担当する生徒の数が少しずつ減っていたり、大きなプロジェクトに指名されなくなったり、違和感を覚えることが増えました。いわゆる「干されている」ような状態とは感じませんが、会社側も手探りなのだと思います。このままなんとなく働き続けてしまうと、給料も役職も上がらないのではと不安です。
実際にママ社員でありながら高く評価されている先輩がおらず、この会社で自分のキャリアが作れるだろうかと焦る気持ちも出てきました。
(30代後半 子ども3人 Webデザイナー)
1人目を産む前から、先輩社員の姿を見てきてマミートラックがあるだろうなとは感じていました。産休・育休を複数回挟みながらではありますが自分が最大限活躍できる働き方を模索し、少しずつ責任のある仕事も任されるようになっています。会社も実績や成果で評価しようという動きに変わりつつあり、私にとってはとてもありがたいと感じることが多いです。
後から知ったことですが、同じくママ社員として働く同僚のなかには、マミートラックを歓迎している人もいるようです。「最低限生活できるだけのお金さえもらえればキャリアアップできなくても構わない」「無理に成果を求められるより簡単な仕事だけこなしていたい」と思うからこそ、今のままでよいと感じているのだと思います。
どちらが正しいというわけではありませんが、本気でマミートラックから脱却したい人がいることを知ってほしいなと感じました。
ここでは、マミートラックが発生する理由を解説します。
マミートラックの原因には考え方や社風が大きく影響しているので、自社に当てはまる部分がないかチェックしてみましょう。
古い性的役割分担意識が根強く残っている会社だと、マミートラックが起こりやすくなります。
「男性は外で働き、女性は家を守る」という考え方が根底にある場合、女性のいる職場であっても仕事の割り振りに影響することがあるため要注意。
外回り・接待・プレゼンテーションなど会社の顔として働く役割を男性に、お茶出し・コピー取り・電話対応・簡単な事務作業などサポート業務を女性に、と割り振られてしまう可能性も高いです。
男女共同参画社会が叫ばれるようになって久しく、少しずつ社会的な価値観が変化しているものの、これまで通りのやり方で成功してきた会社はあえて変革しようとしないこともあるでしょう。
「出産・育児は女性の仕事」という古い価値観がある場合、マミートラックだけでなくマタニティハラスメントも発生しやすいことが懸念されます。
小さな子どもを抱えて働くのは確かに大変ですが、周りが過度に配慮しすぎてマミートラックとなっているケースもあります。
「いつでも気兼ねなく休んでもらえるよう、しばらくは簡単な仕事だけやってもらおう」「無理に管理職を押し付けると負担になってしまうから、昇進試験は受けてもらわなくてよさそうだ」と一方的に判断されてしまい、キャリアアップの道が途絶えているのかもしれません。
会社側に悪意がないケースがほとんどで、むしろワーママのワークライフバランスを考えてこその配慮がされていますが、ワーママ本人の希望と異なる配慮であれば考えものです。
ワーママ本人が「難しい仕事にチャレンジしたい」「子どもがいてもどんどん昇進したい」と考えている場合、職場の配慮とのミスマッチがマミートラックの原因となってしまうのです。
「あの人がいないと仕事が回らない」「あの人にしか判断できないことがある」という属人的な業務フローになっている場合、どうしてもマミートラックが発生する確率が上がります。
属人的になっているということは、ノウハウやナレッジ、意思決定の方向性が社内で享有できていないということでもあります。
だからこそひとりに負担が集中してしまい、子どもの体調不良に伴う急な早退・遅刻・欠勤があったときに誰もカバーできなくなってしまうのです。
「急に休まれると仕事が回らなくて困るから」という悩みは、「休む可能性がある人に難しい仕事は任せないようにしよう」という思考へとつながっていきます。
結果としてマミートラックが起こってしまい、夜間休日問わず残業も出張もできる人材ばかりが重宝されていくことになるのです。
残業・休日出勤・夜間勤務・出張・転勤が必須の業務形態の場合、その時間帯に家を空けられないワーママは出番が少なくなってしまいます。
平日日中でできることだけに業務範囲が限定されてしまい、経験できる業務も身につくスキルも狭まってしまいがち。
結果、同じ年数働いていても実績や業務スキルに差がつくなど、さらにキャリアアップを目指しづらい環境に置かれてしまいます。
何年働いても昇進・昇給しない他、同じ業務の繰り返しになりやすいためモチベーションが低下しがちなのも深刻な課題となっています。
社内コミュニケーションが不足していると、前述したような「本人の希望と異なる配慮がされる」ことも多くなります。
会社側の狙いと本人の希望との間でミスマッチが発生し、お互い気を遣いながら働くようになるので居心地の悪さが深刻化しやすいのもデメリット。
その他、子どものいない若手社員や子育てを終えた中高年社員との社内コミュニケーションがうまくいっていないと、「ワーママばかり配慮されるのはずるい」「子どもがいる人は気楽に休めていいな」など間違った軋轢を生む原因となってしまいます。
ただマミートラックに入るだけでなく、さらに居心地も悪くなってしまうので注意しましょう。
会社側がどんな狙いで誰をどうサポートしていきたいと考えているのか、方針を明確に示すことが大切です。
そこで働くワーママも会社の方針を理解し、時短勤務でもフルタイムでも密な社内コミュニケーションを図りながら貢献していくなど、仕事に対する平等なスタンスが求められます。
前述した事例からも分かる通り、マミートラックにデメリットを感じている人が多いです。ここからは、具体的にどのようなデメリットに悩まされるのか確認していきましょう。
マミートラックに入ると出世コースから外れてしまうため、昇進・昇格が遠ざかります。わずかな昇給しかできず、勤続年数や成果に応じた評価がされないことも多いでしょう。
なかには後輩社員にどんどん抜かされて落ち込んだり、年下上司ばかりになって居心地の悪さを感じたりするケースもあるようです。
正当な評価をされたうえで後輩に抜かされるのであれば、ある程度は納得できます。しかしマミートラックにおちいって評価されづらくなった場合、会社への不満が溜まりやすくなってしまうでしょう。
子どもの急な体調不良による欠勤・家族都合に合わせた退職に備え、単調な仕事ばかりを任せる会社も多いです。パート・アルバイトでもできる仕事ばかりになり、スキルアップできないと感じることがあるでしょう。勤続年数を積んでも知識や経験が身につかず、その後の転職時にマイナスとなる可能性もあります。
「こんな仕事を担当した」と胸を張って言えるようなことがないと、やりがいも失いやすくなるため注意が必要です。
大規模なプロジェクトのメンバーに選ばれなくなった、責任のある仕事を任されなくなった、と悩む人もいます。実績につながる仕事を担当できず、さらに社内で評価されなくなるという負のループに突入することも多いでしょう。立候補をしても指名されない状態が続き、いつの間にか立候補するモチベーションすら失ってしまうことも少なくありません。
どんどん評価される同僚と責任のない仕事ばかり担当している自分とを比較してしまい、気分が落ち込むこともありそうです。
上記のような状態が続くと、仕事にやりがいを感じられなくなってしまいます。お金のためだけに働こうと割り切ったつもりでも、ふとした瞬間に「なぜここまでつらい思いをしながら働いているのだろう」と我に返ってしまう人も多いのです。
特に子どもが体調を崩してなかなか出勤できないときや、「保育園に行きたくない」と登園を渋られたときは、なおさら働くモチベーションを見失いやすくなります。やりがいがないことを原因に、退職してしまうワーキングマザーも少なくありません。
いざ子どもが大きくなって再就職しようにもブランクがあることがネックとなりなかなか仕事が決まらず、後悔する人がいるため要注意です。
出産前の働き方とマミートラック突入後の働き方を比較してしまい、落ち込んでしまう可能性もあります。「自分はもっと優秀な人だったはず」「こんな働き方しかできないのは不本意だ」と感じ、焦りやイライラが募るでしょう。
ときには出産前と同じ働き方をしようと無理しすぎるあまり、自身の体調や家族と過ごすプライベート時間にまで影響が出てしまうこともあるのです。自分が考える理想のキャリアと、現実的にどこまでできるかを照らし合わせながら、長い目でキャリア形成する視点が求められます。
では、マミートラックから脱却するにはどうすればよいのでしょうか。下記では、マミートラックから抜け出す方法について解説します。
会社から指示されたことだけをこなす「やらされ仕事」ではなく、自ら仕事を獲得する動きを取ることが大切です。
例えば自社の課題や問題点を見つけ、解決するための施策を提案し続けてもよいでしょう。市場の動きやトレンドの分析を続けながら、新しい商材の企画・開発に着手してもよいかもしれません。
プロジェクトチームとして実行部隊になるのが他の人であっても、意見自体に価値があると思われれば高く評価してもらいやすくなるでしょう。自ら仕事を探し続ける姿勢自体も、周りにポジティブなイメージを与えるため一石二鳥です。
「マミートラックから抜け出したい」「もっとバリバリ働きたい」など、キャリアの展望を会社に伝えるのもひとつの手段です。子育て中の社員が負担なく働けるよう、よかれと思って業務量を調整している企業は意外と多いものです。
もっとキャリアアップしたいというハングリー精神を見落とし、最低限の仕事だけを与えたためにミスマッチにつながっていることを知ってもらいましょう。出産前と同じ働き方に戻してもらえるなど、相談がきっかけとなり見直しされることもあるのです。
ただし、急な欠勤・早退に備え、あえて業務量を調整している会社もあります。願いが100%聞き入れられるとは限らず、自らハードルを上げる取り組みにもなるため慎重に判断する必要があるでしょう。
10年単位のキャリアパスを考え、目先の働き方にとらわれないようにすることも大切です。現在マミートラックにおちいっていたとしても、子どもがある程度手を離れたタイミングで大きなプロジェクトを任されるよう返り咲く人もいるでしょう。
無理のない範囲で仕事を続け、生涯年収を確実に伸ばし続ける人もいます。反対に、マミートラックがつらいからと一時的なつもりで退職したものの、その後の再就職が叶わずキャリアを失ってしまう人もいるのです。
どうしても出産前の働き方や理想的なキャリアと照らし合わせてしまいがちですが、今が耐えどきと割り切って働く視点も持ってみましょう。
収入の減少やキャリアの喪失が心配なのであれば、副業する方法があります。自分のペースで仕事を得られるため理想的な働き方になりやすく、キャリアアップや収入アップも見込めます。
ただし、フリーランスとして活動できるだけのスキルがない場合、思っていたように稼げないため注意が必要です。フリーランス用の勉強時間ばかり嵩んで却ってプライベートの時間を阻害したり、本業に集中できなくなり共倒れになったりすることもあるため対策しておきましょう。
思い切ってマミートラックがない会社に転職することも可能です。マミートラックは全ての会社で発生していることではなく、ワーキングマザーでも正当な評価を受けキャリア形成のためステップアップできる会社があります。
そのような会社に転職できれば、理想とするキャリアを歩むきっかけとなるでしょう。今の会社のままでは10年後も自分が成長できなさそうな場合、転職を視野に入れてみてもよさそうです。
最後に、マミートラックがない会社に共通する特徴を解説します。また、どういう会社だとマミートラックになりやすいかも紹介します。併せて確認してみましょう。
転職先を選ぶときの基準にもなるため、目を通しておくことをおすすめします。
働き方に応じた評価基準がある会社では、マミートラックが生じません。フルタイムにはフルタイム用の、時短には時短用の評価基準が適用される場合、人事評価の不公平感もなくなるでしょう。各々に与えられた役割が明確なため会社が期待していることが分かりやすく、努力の方向性がブレずにいられることもメリットです。
反対に、出張・転勤・海外赴任・土日祝日の勤務・残業などができないと評価につながらない会社では、マミートラックが生じやすくなります。子育て中はどうしても転勤や海外赴任しづらくなるため評価につながらず、いつの間にか昇格が遠ざかってしまうのです。
成果主義で人事評価している会社も、マミートラックが起きづらいと言えるでしょう。時短勤務をしていて働ける時間が限られていても高い成果を上げていれば、フルタイムと同じように評価してもらうことが可能です。無理のない範囲で責任のある仕事を任せてもらいやすく、キャリアと育児を両立できます。
一方、働く時間で評価する会社の場合は注意が必要です。どうしても残業・休日出勤できるフルタイムだけが評価されやすく、時短で働くママ社員の給料は上がりません。そもそも時短勤務している人を昇進の対象としていないなど、不公平感のある評価体制になっていることが多いです。
キャリア教育が充実している会社であれば、自らのスキルアップが期待できます。勉強会・セミナー・業界内外の交流会などを盛んに企画している会社であれば、参加のチャンスが増えるでしょう。「自分は確実に成長している」「学んだことを仕事に活かしたい」と思えるようになり、モチベーションも上がります。
反対に、従業員の自発的な学びを歓迎せず与えられた仕事だけこなしてくれればよいと考える会社に居続けると、キャリアアップの道が遠ざかります。働く意義を見失いやすくなってしまうため、あらかじめ注意しておきましょう。
自分のスキルを最大限活かせる会社であれば、評価される可能性が高まります。過去に習得したスキル・知識・実務経験をフル活用し会社に貢献することが、マミートラック脱却の第一歩と言えるでしょう。自分の強みを知り、ニーズのある会社に就職・転職することが近道です。
マミートラックが起きると、スキルがなくてもできるルーティンワークばかり依頼されやすいものです。自分の強みが何であったかも見失いやすくなるため、該当する環境にいる人は転職・相談など早めの行動を心がけましょう。
マミートラックにおちいると、昇進・昇格が遠ざかったりモチベーションが下がったり、さまざまなデメリットが生じます。働いている意義を見失い日々の張り合いがなくなるため、楽しみも見いだせなくなっていくでしょう。
今の会社でマミートラック脱却が難しそうな場合、転職を検討してよいかもしれません。リアルミーキャリアは時短勤務をしているワーキングマザーの転職支援事例を多数有しています。今回紹介した「マミートラックがない会社の特徴」を参考に、自分に合った職場探しをしてみてはいかがでしょうか。